<社説>南城市長セクハラ隠蔽 市長は即刻辞職すべきだ


<社説>南城市長セクハラ隠蔽 市長は即刻辞職すべきだ
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 南城市の古謝景春市長による市職員へのセクハラ問題で、市長自らがセクハラ行為を認めた新たな音声記録が明らかとなった。古謝市長は市の設置した第三者委員会からセクハラを認定されながら行為を否定してきたが、その主張はもはや成り立たない。直ちに辞任すべきだ。

 深刻なのは被害者がダメージを受け続けていることである。音声記録は市長室でのやりとりで、古謝市長は自らハグをするなど行為を認めた上で「『変なことやられていない』って言ってね」と威圧的に口止めをした。別の日には、露見したことについて「あんた話、したの」などとなじるように問い、被害者側からハグをしてきたと言い含めるような発言もあった。

 被害者は当初の行為で傷を負った上、究明がなされないまま再び市長から面前で威圧を受けた。責任を転嫁するような念押しまでされた。隠(いん)蔽(ぺい)工作というべき行為で到底許されるものではない。被害者はその後に休職している。

 行政サービスを提供する自治体職員は、特定の顧客のいる民間企業とは異なり「全体の奉仕者」とされる。納税を扱う立場でもあり、利用者から不当な要求を受けやすく、ハラスメント問題が全国で深刻化している。ハラスメントから職員をいかに守るかは、自治体の新しい課題である。その組織のトップ自身が職員を傷付け続けているのだ。

 安心して職務に専念できることは行政に限らず全ての職場に求められる。南城市役所はその環境になっていない。

 勇気を持ってセクハラを告発しても、実態の究明や責任追及がなされない職場だからだ。訴え出た被害者はやるせない思いで過ごしてきたのは想像に難くない。なおかつ二次被害にさらされている。これで自らの能力を市民のために発揮しようと活力を持って働くことができるだろうか。

 中立の立場の第三者委がまとめた報告書は、市長の在任が長期となる中で誰も意見することができない役所内の状態も指摘している。ハラスメント被害があっても被害者が相談する体制が機能していないとも記した。ガバナンス(庁内統治)が機能不全なのだ。

 市長部局を牽(けん)制(せい)すべき議会も権能を発揮できていない。この問題で市議会にはこれまで3度、不信任決議案が提出されたが、いずれも否決された。可決していれば、音声記録に残された二次被害は防ぐことができたかもしれない。市民からの議会への信用も失墜したと言わざるを得ない。新証拠の出現で、議会としての姿勢も改めて問われている。

 議会は再び決議案を審議する方向だという。議会判断を待たずに古謝市長は辞任すべきである。市長は来年2月の任期満了まで市長職を続ける意向だが、これ以上の市政の停滞は許されない。市役所内を正常化し、本来の市政を少しでも早く取り戻すには、市長の判断は避けられない。

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