あらゆる時代を国を駆け巡り、魔神柱を倒し人類悪を倒し、そうして神殿からカルデアへと帰還するその最期の一歩をバテバテに疲れた俺は踏み出せなかった。崩れて落ちていく道と同じく落下する身体、不思議と恐怖もなくてあるのはやっと終わったという満足感。自らが失敗したら最後というあまりにも大きすぎる重圧が消えて、体が軽くなったような錯覚。その心地よさに思わず目を閉じた。けれど、その満足した満ち足りた世界を壊したのは一つの声だった。おめでとう!君は今から英雄だ!なんて言われたことにどうして俺なんだろうと思う。英雄に至るための何かなんてしていないのに、どうしてって首を傾げていたらそれはこう言った。
『たった一年で人理を修復しただろう?』
つまり、人類最後のマスターとして人を救ったかららしい。その声はアラヤと言うそうだ。なんだかどこかで聞いた気がする。その引っ掛かりを確かにする前に声は続ける。もしかしたらまた人類が滅びるかもしれないその時のために、契約をしてほしいと言う。魔術も体術もからっきしの俺でいいのならと契約を交わした。そこに正義は覚悟は決意はおそらく何一つなかったと思う。アラヤというそれは俺を色んな場所へ放り出し、さあ人類を救ってくれと言う。そのどれもが人が人の欲で滅びていく場所。求められるのは人を人類を殲滅を行う道具。その場にある人の命全てを刈り取った後、座に戻るまでの僅かな時間に戻る意識。赤い何かで汚れた手を見て何かが崩れ落ちていく。怖い、たやすく命を奪える自分が、こわい、その事に何も感じなくなってる自分が、コワイ、優しく暖かな記憶を忘れていく自分が、何もかもが怖くてたまらない。けれど、誰かのそれを真似ているような気がして、それはふとした時に思考を支配する。こうして俺は英霊として産声を上げた。
「ああ、そうか、これは英霊エミヤと同じだ」
アラヤというそれに引っ掛かりを覚えたのは、この英霊としてのあり方に思考を囚われたのは、そうかの英雄と英霊としてのあり方が似ていたからだ。中身は全く持って違うけれど、彼は人を救いたいと願って決意も覚悟も持っていただろう。けれど自分は、そう自分はそれらを何一つ持っていなかった。持つことなくそれを自分がせねばならないならと受け入れた、それだけだ。些か気づくのに遅すぎやしないだろうか。これだとまた皆に叱られてしまうなと記憶が記録に埋没するその狭間でなんとなく思った。
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- ラーメン🍜February 21, 2018