ぐだ子のカルデアにぐだ男が落ちてきた話 5
【あらすじ】FGO「if」の物語。第1部途中のぐだ子のカルデアに第2部まで進んだぐだ男が落ちてきた話です。
これは5話なので、もしよかったら最初からどうぞ。⇒ novel/series/1128016
おかげさまでランクインしました!
2021/04/13~2021/04/19の[小説] ルーキーランキング 88位
ありがとうございます!(2021/4/20追記)
【ご挨拶など】
だいぶ間があいてしまいました。
なんとか1年以内に……と思っていたのですが超ぎりぎり1年未満になってしまいました。
続きが読みたいと言ってくださった方、待っていてくださった方、ほんとうにありがとうございます。
おかげさまで続きました。
次の話はそれほどお待たせしないつもりですので、もう少しお付き合いいただけると嬉しいです。
【attention】
・ぐだ男♂藤丸立香がメインですが、ぐだ子♀藤丸リツカも出てきます。
・ネタバレにはまったく配慮しておりません。
・捏造満載です。捏造しかありません。
・口調、呼び方、人称等、いろいろ曖昧ですがご容赦ください。
・公式設定や史実と違っていても「この話ではそういう設定なんだな」と思ってください。
・腐向けではありません。エロもCPもございません。健全なる全年齢向け。
「すべて問題ないよ気にしない」と言ってくださる心の広い方に。
感謝を込めて。
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ふんわりと意識が浮上する。
ほんの少し遅れて身体の感覚が重なり、自分の存在を取り戻す。
やがて、見慣れた天井が目に入る。
藤丸リツカはこうして目覚める瞬間が好きだった。
しかし。
(いやあ、さすがに眠いなあ)
今朝も目覚めは爽快だが、身体は重く、起き上がることを拒否している。まるで布団から無数の手が生えて押さえつけられているようだ。
それもそのはず。昨夜はかなり遅い時間まで、もうひとりのマスター、藤丸立香と話をしていたのだった。
話しても話しても、尽きることなく言葉が出てきた。話したい。聞いて欲しい。聞かせて欲しい。そんな衝動のままに話し続けた。
そうして話していると、同い年、いや、時間のズレを考慮してもわずか一年ほど年上なだけであるはずなのに、立香は時折、驚くほど大人びて見えた。
(わたしよりもだいぶ落ち着いてるんだよなあ……)
それは人理修復を成し遂げたゆえの老成なのか、もともと落ち着いた性格なのか、自分の世界からひとりで離れた寂しさに沈んでいるのか、他人の家に来て緊張しているのか――。
(きっと全部が少しずつ、なんだろうなあ)
素のままの彼は、自分のカルデアでリラックスしている彼は、どんな感じなんだろう。はしゃぎ過ぎてダ・ヴィンチに叱られたり、おやつにパンケーキ焼いてとエミヤにねだったりするのだろうか。
そうだといいな、とリツカは思った。
達観したようなところも、言葉の端々に諦観が滲むところも、寂しげに笑うところも、似て非なる世界に飛ばされたゆえのものであったらいいのに、と思う。本来の彼は年相応の彼であってほしい、と。
よいしょと声を出しつつ上掛けを除けて、日課であるストレッチを開始する。いかに若い身体といえど睡眠不足はてきめんに気力体力を削ぐ。四肢はまるで砂袋でも入っているかのように重かった。それでもどうにか気力と気合いで日課をすすめていく。
(――似て非なる世界、か)
いまだによくわからない『英霊の座』なるもの。
それは、無数にあるという並行世界それぞれに存在するのだろう、と、これまでリツカはそう思っていた。理屈も理由もなく、なんとなく。
しかし最近、その考えは大きく変わった。
もしも並行世界それぞれに『英霊の座』存在するならば、リツカがいるこの世界の『座』にいるのは自分の知っている英雄であるはずだ。自分が知っている歴史を作ってきた英雄たち。サーヴァントはそこから召喚されるのだから、サーヴァントになってもその姿や在り方が大きく異なることはないはずだ。
その、はずなのに。
それにしては、腑に落ちない点のあるサーヴァントが多く存在する。
これまでリツカはそれについてあまり深く考えていなかった。男性とされてきた英雄が女性サーヴァントとして召喚されても、驚きはしたが理由を考えたことはなかった。そういうこともあるかもねと思うだけだった。
しかし藤丸立香に出会った今は、それらは違う世界線の歴史から生まれた英霊なのではないかと考えるようになった。
(だからたぶん……人類史まるっとひとつに対して、英霊の座はひとつしかないんじゃないかな)
隣り合った世界線では些少な違い。
離れるほどに大きく乖離する並行世界。
無数に存在する世界線の数だけ存在する歴史。
その歴史を作り、歴史に刻まれた英霊たち。
そして召喚の際にどの世界線の英霊が現界するかは――
(……やってみるまでわからない、ルーレット? 的な?)
例えば、もしも。
このグランドオーダーが、人理修復が、人類史に残ったとしたら。
リツカの世界ではマスターは女性として、立香の世界のマスターは男性として、後世に語り継がれるのだろう。そして遠い未来、『人理を修復したマスター』がサーヴァントとして召喚されるようなことがあったとしたら。男女のマスターどちらにも召喚される可能性があるのではないか。
ただそれだけのことなのだと、リツカは理解した。
(もしもサーヴァントになったら。――藤丸くんならキャスターか、それかルーラーとか? わたしはバーサーカーかもなあ)
自分の想像が可笑しくて、くすくすと笑ってしまう。
子どもの頃から知っている英雄英傑が女性サーヴァントとして召喚されればもちろん驚いたが、当事者になってみれば、性別など些細な違いに過ぎなかった。
もっとずっと遠く隔たった世界線での『マスター』は、モンゴロイドではないかもしれない。いや、ヒトですらない可能性もある。獣人とかエルフとか。
責任を伴わないことをあれこれ想像するのは楽しい。このままベッドの中でこんなふうにとりとめもなく考えごとをしたりぼうっとしたりしていたい気分だったが、あいにく今日はそうしてもいられなかった。
(――今日は大事な仕事があるんだ。もう起きなくちゃ)
勢いよく立ち上がると手早く身支度を整え、マイルームを出て食堂に向かった。