薄暗い、床が硬くて冷たい。
夏だというのに肌寒くて身体がこおばる。
私を照らすのは
小さな窓、
それだけ、
1つだけ。
辛くなんてない。寂しくなんてない。怖くなんてない。
これも全て─────
あの子のためなら。
あの子のためだと思えば、こんな事、どうってことありません。
たとえ。
たとえ薄暗い物置き部屋でただ一人正座をさせられようとも、
こんなことに意味がなくても、
いつまでこうしているのか分からなくても、
怒鳴られても叩かれても殴られても髪を引っ張られても何かを無理に強制されても過度な期待を背負わされても縛られても自由を奪われても母親の駒にされても暴言を吐かれてもきつい仕打ちがあろうとも
そしていずれ─────
この身が朽ちて堕ちていこうとも、構わない
全てが貴方のためなら
喜んでお受けして致しましょう。
あの後、おかあたまとおねえたまは、あたしを置いてどこかへ行ってしまわれました。
突然、おかしなことをお言いになったおねえたま。
あたしの声が届かないほど感情的になったおかあたま。
おねえたまがいっていた。
その問とは何だと、なぜ、
あそこでそんなことを聞いたのか。
何だとは何か。
声が少し震えていた。
でも、核心をつくような声色だった。
─────なぜ?なぜあの場でそんなこと問うたのですか?教えてください。教えてほしいですおねえたま。
なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。
なんでですか?なんでなんですか?
どうしてですか?どうしてなんですか?
おかあたま。あたし分かりません。
おねえたま。あたしわかりません。
それって─────でしょう?
背筋が凍るような、冷や汗をかくような、
そんな一瞬の寒気がした。
でも、どちらも当てはまらない、この感情を表す言葉を私はきっと知らない。
いいえ、"この感情"をしらない。
これは、これは、これは。
そう、私は何も間違ってない。
だってそうでしょう?そうな筈、いいえ、そうしかありえない。
でも。でも、もし。そうじゃなかったら?
…そんな事、考えてはなりません。
もしもなんて、ないから、ある筈がないから。
ライオン。取り乱してはいけません。
だいたい、誰に言われたのですか、誰にも言われてない。そんな事を言った人を、私は知らない。
知る筈がないでしょう?
だって、それは"'geEe("なのだから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!