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和倉温泉=輪島間の特急バス

最終修正:令和8年4月23日 (1)

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 いまの輪島特急線の前身だった「奥能登特急線」の最初期の運行系統は輪島駅前~和倉温泉間だったそうですね。

 まだ能登有料道路(現:のと里山海道)が全通していなかったということもあるのかと思いますが、その後も、この区間の特急バス路線は時代によって、何度か廃止と復活を、寄せては返すさざ波のように繰り返してきました。


第1期「和倉輪島特急線」

 まず最初に運行されたのが、「和倉輪島特急線」という路線です。

 奥能登特急線の当初の系統であった輪島駅前~和倉温泉の系統を踏襲したものだったのかとは想像されますが、しかしこの路線の存在はほとんど知られていなかったと思います。

 この路線は平成4年(1992年)6月発行の北鉄時刻表にのみ掲載されており、始発は和倉温泉17:10発、田鶴浜農協前、笠師保駅前を経て、輪島駅前18:26着と記載されています。片道1本のみの運行で、運行期間は3月25日~11月30日の間のみとありました。

 その後も片道1本、冬季運休の形で運行自体は行われていたものと思われますが、この年以降の時刻表には一切掲載されておらず、現地の停留所の時刻欄で確認するしか、ダイヤを知るすべはありませんでした。

 この謎の特急バスは、和倉温泉ゆきの定期観光バスの入庫回送を兼ねたものだったのではないかと想像されます。

 おそらく当初は「のとれいんぼう号」、同コースが廃止された平成9年(1997年)からは「おくのと号」の返しとして運行されていたのではないでしょうか。

 どちらのコースも冬季運休だったことや、和倉温泉到着の時刻、担当が輪島支所だったこと等、条件は合致します。

 
 ▲ありし日の能登定観運行系統図

 平成9年(1997年)12月1日改正版の「バス運賃表-加賀・能登地区-」によれば、和倉輪島特急線の運賃区界は和倉温泉、和倉駅前、田鶴浜町農協前、笠師保駅前、中島駅前、穴水駅前、此の木、三井駅前、輪島駅前とありました。

 和倉温泉~輪島駅前間の運賃は1,390円だったようで、のちの輪島和倉線よりもわずかに高い運賃設定だったことになりますね。

 なお、和倉温泉・和倉駅前~穴水駅前間は990円、中島駅前~穴水駅前間は670円とありました。このような区間での利用も可能だったのでしょう。

 この和倉輪島特急線は平成12年度(2000年度)のシーズンが最後となり、平成13年(2001年)3月4日改正で正式に廃止となりますが、その直後である同年4月1日より、のと鉄道七尾線(穴水~輪島間)の廃止代替バスの一環として「輪島和倉線」が開業しますので、これに跡目を託しての発展的解消ということになります。


第2期「輪島和倉線」

 「輪島和倉線」は平成13年(2001年)4月1日、のと鉄道七尾線(穴水~輪島間)の廃止代替バスの一環として誕生しました。

 JR和倉温泉駅に発着する特急列車(サンダーバード、しらさぎ、はくたか号)に接続し、一連の能登特急のなかで唯一、能登半島内のみで完結する路線となっていました。

 
 ▲当初の専用車は輪島の四季ラッピング

 輪島へ鉄道が通じていた時代、急行列車「能登路」号が金沢~輪島間を直通していましたが、「能登路」は金沢から輪島へのアクセスのみならず、和倉温泉と輪島を結ぶという観光利用にも対応されていました。本路線はそのように鉄道を利用して観光をしていた旅行者層を受け入れるべく、形を変えた異色の鉄道代替バスとしてスタートしたわけです。

◎──────────▲(此木IC)
輪島駅前      能┃
          登┃
          有┃
          料┃ (和倉IC)
  (徳田大津JCT)▲─▲┐
              |
       和倉温泉駅前◎┘

 担当は当初から能登中央バス(株)で、当時はまだ能登特急の各路線が移管される前ということもあり、同社にとって初の特急路線ともなっていました。

 スタート時は全便が輪島駅前~和倉温泉駅間ノンストップ運行で、本数は5往復。和倉~穴水間は能越自動車道および能登有料道経由で、いずれの便も和倉温泉駅でJR七尾線の特急列車と接続していました。

 輪島~和倉間の片道運賃は大人1,200円、往復割引乗車券は2,160円でした。

 和倉温泉駅においては道路沿いの既設バス停(和倉駅前)ではなく、駅ロータリー内の勝利食堂前に「和倉温泉駅」という固有のバス停として専用のりばが設置されていました。

 
 ▲名古屋線からコンバートされた305号車

 車両面では、開業当初は輪島をイメージした専用カラーのバスが限定的に使われていました。白い車体に輪島の四季を描いたもので、輪島塗風の豪華なデザインとなっており、輪島市在住の人間国宝である前史雄さんの揮毫による「輪島」の文字も大きくあしらわれていました。

 元高速バス名古屋線で使用されていた中2階車(12-305号車)と特急バスで活躍していた車両(28-023、28-086)の3両が塗り替えられ、華やかに活躍を開始しています。

 しかし、一方で閑散期には、まだシートベルト着用義務の法令がなかったこともあり、能登有料道路を経由するにもかかわらず中型ノンステップバスがしばしば使われることもあったため、当時は北鉄ファンが集う掲示板でも話題になりました。

 また、JRバスから移籍したブルーリボンHUが走ったり、「のらんけバス」専用車両(70号車)による代走もありました。

 
 ▲のらんけバス車両による代走

 この70号は当初から輪島和倉線の代走も視野に入れた車両だったとされており、1両だけトップドア仕様で車内がハイバックシートだったのも、そのためかと思われます。

 平成14年(2002年)3月23日より市ノ瀬、三井駅前、穴水此の木にも停車するようになり、ノンストップ運行が改められています。

 なお、この時点の「市ノ瀬」は穴水輪島線の停車している旧道沿いの停留所での対応となっていました。

 平成14年(2002年)4月25日に市ノ瀬バイパス開通に伴って、ほかの特急バス同様、市ノ瀬はバイパス上に増設された新しい「市ノ瀬」のりばへの停車に変更されています。

 遅くとも平成15年(2003年)5月1日までに6往復に増便され、うち2往復は和倉温泉バスターミナルまで乗り入れるようになりました。

 
 ▲和倉温泉駅前にて

◎──○──○────○穴水此の木
輪  市  三   能┃
島  ノ  井   登┃
駅  瀬  駅   有┃
前     前   料┃
           ┃ (和倉IC)
  (徳田大津JCT)▲─▲┐
              | 和倉温泉
       和倉温泉駅前◎┴─◎

 しかし、6往復時代は1年のみに終わり、平成16年(2004年)3月13日からは4往復(うち1往復のみ和倉温泉バスターミナル発着)に減便されています。

 北鉄本体が運行していた特急バス路線が能登中央バス(株)へ移管されたこともあり、この頃には金沢発着の特急バスと共通の車両が使われるようになっていました。

 
 ▲金沢便と同じ車両での運行

 その後、乗客の伸び悩みを背景に輪島市からの支援打切りが決定し、平成19年(2007年)3月31日限りでの廃止が示唆されたこともありましたが、結局、能登中央バス(株)の独自経営という形で存続することになり、3往復(うち1往復のみ和倉温泉バスターミナル発着)に減便はされたものの、運行は継続されました。

 補助金打ち切り後の平成19年(2007年)4月1日からは能登有料道路経由から下道経由に変更され、和倉温泉駅から穴水にかけて、美しい七尾湾に沿って国道249号線をたどり、風光明媚な車窓が楽しめるようになりました。

 
 ▲扇カラーの小型バスによる代走の例

 平成20年(2008年)4月1日には能登地区北鉄グループバス会社の合併により、運行会社は北鉄奥能登バス(株)に変わっています。

 平成21年(2009年)5月31日からは和倉温泉発輪島ゆきの朝の片道1本が「輪島漆器会館」まで乗り入れるようになりました。

 平成24年(2012年)4月1日からは和倉温泉駅15:00発の片道1本のみ「能登空港」経由となり、和倉温泉から能登空港へのアクセスに対応されました。

 これが、輪島和倉線の最後の姿ということになります。

 この時点の運行本数は3往復。系統の内訳は次の通りでした。
 ◆輪島駅前→和倉温泉       片道1本
 ◆輪島駅前~和倉温泉駅      1.5往復
 ◆和倉温泉→輪島漆器会館     片道1本
 ◆和倉温泉駅→能登空港→輪島駅前 片道1本

          三    ┌◎能登空港
       市  井 ┌──┤
       ノ  駅 |  |
       瀬  前 |  |穴水此の木
輪島駅前◎──○──○─┘  ○──┐
    :          :  |
輪島漆器◎      旧ルート:  |下
  会館 (能登有料道路経由):  |道
               :  |
               ・・・┤
                  | 和倉温泉
           和倉温泉駅前◎┴・・・・・◎

 *穴水此の木では、能登空港を経由しない便も含めて
  能登空港方面のバスが発着するのりば(輪島方向3番、和倉方向4番)での発着でした

 平成25年(2013年)4月1日以降は能登有料道路が無料化されましたが、経路は変更されず、下道経由のまま、美しい七尾湾の海を間近に見ながらのドライブが楽しめました。

 
 ▲オール下道経由の特急バス。七尾湾を海を眺めつつ快適ドライブ

 輪島市からの補助金が打ち切られたあとも北鉄奥能登バス(株)の自助努力によって存続してきた本路線でしたが、平成26年(2014年)3月31日限りで廃止となりました。

 利用客が極めて僅少な状況にあり、逆にいままで運行を続けてこられたこと自体が稀有のように思われます。

 おそらく、輪島市の振興のためにはこの路線は不可欠という大局的視野、また「企業市民」という立場から、赤字度外視で運行が継続されてきたのでしょう……。

 
 ▲下道経由ならではの七尾湾の海

 
 ▲運賃表


第3期「輪島和倉特急線」

 その後、北陸三県誘客促進連携協議会をはじめ、輪島市や和倉温泉観光協会などからの支援により、平成28年(2016年)10月1日から翌平成29年(2017年)3月26日までの土日祝(1月1日、2日を除く)に期間限定で「輪島和倉特急線」の運行が実施されました。

 運行については和倉温泉側の北鉄能登バス(株)七尾営業所が担当していました。

 運行区間は和倉温泉~和倉温泉駅前~輪島駅前間で2往復(朝の1便のみ輪島塗会館まで運行)となり、和倉温泉駅前ではJR七尾線の特急列車「能登かがり火号」に接続。のと里山海道を経由し、輪島まで約75分で結ぶ路線となっていました。

 運賃は大人片道1,500円でした。

   ┌◎輪島塗会館
   ↑
   └─┐
輪島駅前◎┤
     |
     |
     └───▲(のと里山空港IC)
         ┃
       の里┃
       と山┃
        海┃
        道┃
         ┃  和倉温泉
(徳田大津JCT)▲  ◎┐
         ┃  └┤
   (和倉IC)▲───○和倉温泉駅前

 廃止された「輪島和倉線」は下道経由となっていましたが、この特急バスは能越自動車・のと里山海道を利用していました。このため海が見える区間がごくわずか(一瞬だけ)となってしまったのは残念なところでしたが、スピードアップと安定した走行には寄与していましたね。

 また、穴水此の木に停車しないためもあってか、のと里山海道は当時終点だったのと里山空港ICまでフルに走行するのも特徴でした。

 高速バスと同じようなクローズドア制を採り、和倉温泉~和倉温泉駅前間および輪島駅前~輪島塗会館間のみの利用は不可。また、短距離・短時間の運行のため、途中でのトイレ休憩もありませんでした。

 全便が和倉温泉バスターミナル発着となりましたので、温泉への宿泊客のほか、和倉温泉で立ち寄り湯を楽しんでから輪島へ……あるいはその逆パターンという利用にも便利になっており、以前と比べると使い勝手は向上していたように思われました。

 鉄道からの乗り換えだけでなく、和倉温泉をチェックアウトしたあと、2日目は輪島へ足を延ばして観光へ……といった利用にも便利な設定としていたのでしょう。

 
 ▲和倉温泉にて

 車両は元北鉄能登バス(株)富来営業所に所属し、門前急行線で使われていた32-606号車が登用されましたが、案内放送や行き先のLED表示、次停留所表示機のデータなどの設備は用意されていませんでした。

 報道によると、利用状況を見て翌年度も続行するか検討されるということでしたが、残念ながら2年目を迎えることはできず……。

 当初予定されていた運行期間満了により、平成29年(2017年)3月26日の運行が最後となってしまいました。

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