藤丸立香の終幕
⚠️二次創作です。本家様とは関係ありません。
⚠️2部6章までのネタバレを含みます。というか見てないとわからないと思います。多分。
⚠️自己満小説
⚠️キャラの口調や言葉遣いがいまいち掴めていませんので解釈違いが起こるかもしれません。
⚠️死ネタです。
⚠️文才無いです。ふんわり読んでください。
⚠️恋愛要素皆無
処女作です。機能とかあんまりわからなくて有効活用できてないです。
人類最後のマスターとして終わりを迎えようとする藤丸立香と藤丸立香として終わらせようとするオベロンのお話?みたいな感じです。
問題があれば訂正、削除等します。
1度は取り返した世界をまた奪われて、好きにされるくらいならいっそ全部ぶち壊してやるっていう悪あがきと、やっと全てが終わる安堵と、あまりにも重い運命を背負わせた全てへの復讐。
取り返しのつかないただの八つ当たりだとしても、それに縋らなければあいつは安らかに眠れなかっただろう。
自分を殺して生きてきたヤツが、死ぬ間際になって自分を殺すことをやめた。
救いようが無い馬鹿だよ。本当に。
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以前、藤丸立香はこう話した。
「私たちの旅路は、出会いと別れで出来ている。悲しさも、悔しさもあるよ。……確かに私も皆も、いつかは死んでしまうけど。今はまだ、生きなきゃいけない。だって、まだ答えを見つけてないし。……そうかな、うん、君にはそう見えるんだろうね。でもね、これを愛と希望の物語って言ってくれた人が居たんだよ。……ははっ、そんな事言わないでよ。私はそれを大事にしたいんだ。」
一匹の虫は、心底気持ち悪いと思った。
ひゅー、ひゅー、と細い音が鳴る。それは流れる時間に伴い、小さくなっていく。その音の発生源である人間……藤丸立香の身体には、大きな穴が空いていた。その穴は真っ赤に染まっており、そこを中心に外へ外へ、じわじわと赤が伝播していく。
「あ、あぁ、そんな、先輩!先輩っ!」
声が聞こえる。大切な後輩の声が。あぁ、見ているんだ。見られている。
人類最後のマスターの最期が、終わりが、終幕が。
パニックに陥る後輩、必死に「諦めるな」と叫ぶ声。そう、そうだね。確かに人類最後のマスターは諦めが悪い。その結果がこれ。ねぇ、みんな。わかるでしょ?もうどうしようもないって、汎人類史の負けだって、わかるでしょう?
そんな弱音を飲み込む。
違う。人類最後のマスターはこんなこと言わない。少なくともこれだけは、絶対に無い。
「……ははっ」
それならば、笑いを1つ。そしてその後に続ける言葉は「悔しいなぁ」「負けちゃった」「ごめん」これくらいかな?貧血と痛みでどうにかなりそうな頭では上手く言葉が出てこない。
「そんな、嫌、やめてください、そんな、まだ、まだ……!」
「何言ってるんだ!今そっちに向かってる!耐えるんだ!マシュもしっかりしろ!」
あぁ、正解だったみたいだ。これで最後まで、私は君の尊敬できる先輩で居られるだろうか?人類最後のマスターとして、正しいままで居られるだろうか?多分できることはもう無い。あとは笑ってエンドロールを待つだけ。
不意に、パチパチとどこからか拍手の音がした。
「いや〜凄いね、君。この期に及んで人類最後のマスター役をやるなんて。あぁ、本当にすごい気持ち悪い。……おっと、すまないつい本音が。まぁでも、事実だしね?」
閉じかけた視界に影が差す。途中まで下ろした瞼をまた持ち上げる。
「おべ……ろん……?」
私を覗き込む、弓形な青い双眸をぼーっとする頭で見詰め返す。どうして、いつの間にここへ?
彼は鼻で笑って、当たり前のように言う。
「どうして?それは勿論、俺の計画を邪魔した、かつての敵の終末を特等席で見るためさ。」
そこまで笑顔で言ってすぐ、彼の顔から表情が抜け落ちた。見えない仮面が地面に落ちて、粉々に砕けたようだった。
「終末が欲しいなら俺に言えと言ったはずだ。これ以上無い程の終わりを与えてやるのに。なんだ?その終わりは。吐き気がする。今すぐにやめろ。意味も意義も無いことくらい、お前でもわかるだろ?」
寒い。段々とカルデアからの通信が遠くなる。オベロンの声だけが聞こえる。これじゃすぐに意識は無くなるだろうな、なんて思っていたけど、私が思っていた以上に私はタフらしい。「おい」と声が降ってくる。少し聞き取りずらい。カルデアからの通信は一切無くなった。どうしたんだろう、オベロンの仕業?
「……そうだ。ここには俺とお前しかいない。そろそろお前も寝たいだろ?手伝ってやるよ。それで、藤丸立香の言いたいことは?」
そう、ここにはオベロンしかいないんだ。じゃあ嘘ついても仕方ないし、いっか。
オベロンの目には、目の前の少女の仮面が砕け散るのが映った。
「やっと、楽になれる。……なっていいんだよね?」
透明な雫と共に、その言葉は彼女の口から零れていく。
「……あぁ、勿論だとも。終わりは平等に訪れる。君にとってはそれが今だ。」
藤丸立香は心底安心しきった顔をした。オベロンにとって、それは初めて見る表情だった。
「良かった……ねぇ、オベロン。私の最後の頼み、聞いて。」
残っていた令呪の発動音が響く。立香の耳は、機能を停止した。
「強制かよ。ま、いいけどね?君の遺言だ。」
オベロンは耳を彼女の口に近づける。1つも聞き逃さないように。
それを虚ろな目で見ていた藤丸立香は、嬉しそうに口角を上げて望みを託す。その様子は、小さな子供が母親に内緒話をするかのようだった。
「全部、壊して。」
そう言って、藤丸立香は何も喋らなくなった。ただ、心底嬉しそうに、安心しきった様に笑っていた。託した願いは叶ったと、確信を持った笑みだった。ただ、か細い呼吸だけが未だに続いていた。
オベロンは彼女の目を片手で覆い「いいとも」と一言零すと、手を離した。
それと同時に藤丸立香の呼吸は止まり、安らかな終わりを迎える。もうこれ以上、彼女を消費するのは何人も許されない。絶えない慟哭も、彼女を呼ぶ声も、引き止める声も。全て届かない。代わりに彼らに返ってくるのは、藤丸立香が望んだ終末だけだ。
立ち上がったオベロンは、「やれやれ」と呆れたように肩を竦めた。
「確かに終末が欲しいなら俺に言え、とは言ったけどね……」
まさか、お前が終末装置をそう使うとは。少し意外ではあったけど、いいだろう。それが藤丸立香の望みなら。
オベロンは心底楽しげに笑う。
「これじゃあ、どっちが終末装置かわからないなぁ?立香。」
それは、藤丸立香の復讐だった。異星の神には何も残さず、汎人類史には終末を。呪いとも呼べる運命を背負わされた少女は、最後まで背負うつもりだったそれを放り投げた。そしてその手で、終末装置の起動ボタンを押したのだ。
音もなく転がった運命は、一匹の虫であり、彼女が起動した終末装置によって跡形もなく食い尽くされることになる。
これにて閉幕、めでたしめでたし。観客は口を揃えてこう話す。
「果たして本当に、これが愛と希望の物語?」
すごくよかったです...!