第4話:いよいよ異世界へ
意識が浮上すると、そこは人跡未踏の深い森だった。 僕とルカは、湿った腐葉土の上に横たわっていた。
「とりあえずルカ、近くに村か街がないか探してみるぞ。現状把握が最優先だ」
しばらく森の中を歩いていると視界が開けた場所で、銀色の鎧に身を包んだ美しい女性が倒れていた。
「おい、大丈夫か!」
駆け寄り、首筋に手を当てる。
「……息はあるみたいだな。だが、顔色が悪い。空腹による衰弱か?」
このままでは最初の顧客を失いかねない。僕は即座に決断し、立ち上がった。
「ルカ、魔力チャージだ!ここで農場を仮設するぞ!」
僕は未開の地面に向かって手をかざし、次々と口にした。
「土魔法! ――『
一瞬で土が爆ぜ、ふかふかに砕かれる。
「続いて、『
魔法の光が走り、整然とした黒い畝が森の中に出現した。最後に、ルカの魔力に刻まれたデータを引き出し、一気に仕上げる。
「……行け、『
次の瞬間、マルチの穴から突き出た緑の芽が、目に見える速さで蔓を伸ばし、葉を広げていった。
「なっ、もう育った!? 早すぎでしょ!」
「ルカ、驚いている暇があったら動け! 中級風魔法、『ウィンド』で乾いた枝葉を集めろ。その後、初級火魔法、『ファイアボール』で火をつけろ。調理場の設営だ!」
「ええっ、私、女神なのに薪集め……!? わ、わかったわよ!」
「ルカ、遊んでる暇はないぞ。次は洗浄工程だ。中級水魔法、『ウォーター』で、この収穫したばかりの芋(こちらの国のものなのでベニ・ハルーカと呼ぶぞ!)の泥を落とせ!」
「ええっ!? 私の聖なる水を、泥洗いに使うのぉ!? せめて聖水による浄化って呼んでよ!」
「名称はどうでもいい、スピード重視だ。――よし、次はさっきの『ウィンド』で表面の水分を飛ばせ。濡れたままだと焚き火の温度が下がる」
僕はルカを魔法のマルチツールのように使いこなし、次々と指示を飛ばしていく。 洗浄され、風で乾かされたベニ・ハルーカは、焚き火でじっくりと熱を通されていった。
「うぅ……私、女神なのに、全自動・芋洗い機にされてる気がする……」
「何を言う。これはルカの魔法を最大限に活かした最適化だ。……ほら、焼けてきたぞ」
パチ、と爆ぜる音と共に、焚き火の中から蜜の焦げた、たまらなく甘い香りが漂い始める。 その芳香は、静かな森の空気を一変させた。
(いい香りだ。自社工場で嗅いだ、あの完成された品質そのものだ……)
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