インタビュー

武器輸出の解禁で台湾有事の備えに 専門家が語る防衛産業強化の意味

聞き手・宮脇稜平

 政府は21日、武器輸出を制限する防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、輸出の目的を限定する「5類型」を撤廃するなど、殺傷能力のある武器の輸出を全面的に解禁した。今回の動きは、日本の防衛政策や防衛産業において、どういう意義があるのか。防衛産業政策に詳しい地経学研究所の小木洋人主任研究員に聞いた。

 武器輸出解禁の一番の目的は、防衛産業の維持・強化だ。ロシアの武器に依存していたインドは、ウクライナ戦争により供給が滞りがちになり、米国の方を向かなければならなくなった。防衛産業が脆弱(ぜいじゃく)だとその国の防衛政策、外交政策の自律性が左右される結果になる。

 武器輸出は、平時と有事の間にある需給の差を埋める手段でもある。輸出により国内の生産基盤を拡大しなければ有事に対応できない。

中国の武器や弾薬生産は圧倒的に多い

 例えば仮に台湾有事があり、中国の攻撃が日本に波及した場合、武力攻撃を排除するために戦い続けなければならない。しかし、中国の武器や弾薬生産は圧倒的に多く、これに対応するには日本も生産能力を高めておく必要がある。平時に輸出も含めて生産能力を高めておけば、有事の際、輸出用に拡大した能力を日本のために使えるようになる。

 これまでの日本の防衛調達の仕組みは、輸出を前提としない閉鎖経済だった。開発や生産設備の立ち上げに必要な経費の多くを政府側が負担した上で企業が動いていたが、これでは生産着手が遅れ、外国のニーズに対応できない。武器輸出で先行する韓国は在外公館に駐在する武官の支援体制が手厚い。日本も政府側のプロモーションや支援体制を強化しなければならない。

 一方、輸出された武器が、適正に管理されているか、モニタリングする体制の構築は重要だ。米政府は相応の要員を配置するなどして輸出後の最終需要者をモニタリングする体制を整えている。武器輸出を拡大するからには責任をもって管理しなければならず、輸出先進国の例も参考にした体制の強化が必要だ。

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