最古級の愛染明王像を初公開 日本独特の仏、東大寺ミュージアム

今井邦彦
[PR]

 奈良市雑司町の世界遺産東大寺で、平安時代(11世紀)のものとみられる最古級の愛染明王像が確認され、東大寺ミュージアム(同市水門町)で開催中の展示「八宗兼学の寺 東大寺の真言密教―愛染明王―」で初公開されている。

 ミュージアムでは開館15周年を記念し、華厳(けごん)宗だけでなく真言、律、法相(ほっそう)など様々な宗派の教義を学ぶ場だった東大寺の歴史をたどるリレー展示を開催中だ。現在は空海が東大寺の中に建立した真言院を拠点として学ばれた真言宗の展開を紹介している。

 東大寺では2022~23年に境内の勧進所経庫と指図堂に納められた仏像を調査。その中で、経庫にあった像高約12センチの一木造の愛染明王像が、平安時代後期(11世紀)に作られたものらしいことがわかった。

 愛染明王は平安時代後期から信仰を集めた仏で、インドや中国では単独の仏像として表現された例がなく、日本独特の仏とされる。この像は大仏殿東の俊乗堂に伝わる愛染明王像(12世紀)より古い、現存最古の愛染像の可能性があるという。

 展示では同像のほか、同じ経庫にあった鎌倉時代(13世紀)の愛染明王像(像高約37センチ)や、戒壇院でかつて正月にまつられた室町時代(15世紀)の愛染明王の掛け軸も公開。愛染明王に無病息災や怨敵退散などを祈願する真言宗の修法(しゅほう)「愛染王法」に関する書物なども並んでいる。

 同ミュージアムの久永昂央(あきひさ)学芸員は「東大寺が様々な修法で現世利益を祈願する真言宗の拠点でもあったことを知っていただければ」と話す。

 展示は23日まで、午前9時半~午後5時半。会期中無休。入館料は中学生以上800円、小学生400円、就学前無料。問い合わせは同館(0742・20・5511)へ。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
今井邦彦
専門記者|歴史・文化財
専門・関心分野
歴史、考古学、文化財、サブカルチャー