「スピードにまったくこだわりがない」 メジャーが注目する今井達也が明かす理想の直球
背中の張り具合によって出力を調節する
投球動作において、僕が土台として考えているのはセットポジションです。僕の中ではセットポジションに入った時点でもう半分くらい、そのバランスで投げたらどういう動きになってどういうボールが行くのかというのは決まっています。まず重要なのは、正しい場所に重心を置けているかどうか。それによってボールが抜けてしまうのか引っ掛けてしまうのかは自分でも分かるようになってきましたし、バランスが悪いときなどは、マウンド上で立っているだけでも「何かちょっと気持ち悪いな」と違和感を覚えます。 2025年のシーズン前半などは、実は構えた時点で「このまま投げたらボールが暴れてしまいそうだな」と思うことが多かったので、ちょっと出力を落としてコントロールを意識しながら投げることがよくありました。力を入れればスピードはもっと出るのですが、それではコントロールが定まらなくて投球が大きく崩れていたと思います。
出力を調整するのは(セットポジションとリリースでの)背中の張り具合です。僕はもともと反り腰タイプなので背中側に軸を作り、背中にも少し張りが出るように構えているのですが、力を入れてスピードを出したいときはさらにその反り感をちょっと強め、グッと張るようにしています。だからと言って骨盤の前傾を強めるというわけではなく、意識するのはあくまでも背中のみ。おそらく、見た目だけでは違いがまったく分からないでしょう。そして、投げるときには背中側の軸を中心に体が回っていき、リリースのタイミングで背筋が使われて腕が押し出されていく。感覚的には左肩と右肩をその場で瞬間的にパッと素早く入れ替えて回り、最後は背中でボールを押し出すというイメージです。これはどの球種も一緒で、ストレートでも変化球でもすべて背中の張り具合によって出力を変えています。 ■プロフィル いまい・たつや●1998年5月9日生まれ。栃木県出身。180センチ80キロ。右投右打。小学1年のときに北光スポーツ少年団野球部で野球を始め、鹿沼市立西中学時代はクラブチームの鹿沼ポニーリーグの鹿沼レッドソックスに所属し、全国野球大会にも出場した。作新学院高では2年夏からベンチ入り。3年夏の甲子園では150キロを超えるストレートを武器に、チームを優勝へ導く。U18アジア選手権でも決勝で好投し、2大会ぶり5度目の優勝に貢献した。2017年ドラフト1位で埼玉西武に入団。2018年6月13日の東京ヤクルト戦でプロ初登板初先発を果たすと、6回1失点でプロ初勝利をマーク。19年5月5日の東北楽天戦ではプロ初完封勝利を挙げた。21年には先発ローテーションを守り、自身初めて規定投球回に到達。チームの柱としてフル回転した。24年は3年ぶりの規定投球回に達し、自身初タイトルとなる最多奪三振(187個)を獲得。今季は開幕から圧倒的な投球を続け5連勝をマークするなど、5月の月間MVPを受賞した。6月17日の横浜DeNA戦では松坂大輔が記録した1試合16奪三振を更新する球団新となる17奪三振をマークした。3年連続2ケタ勝利も達成した。
週刊ベースボール