【お題箱】ペンギン、この記事好きそう
ペンギンさん、こんにちは。
『日記の瞬間』に寄稿されていた日記(たいへんおもしろかったです!)を読んでいて、もしかしたらペンギンさんにも面白いんじゃないか、というネット記事を思いだしました。
『痕跡本ってなに?』
https://dailyportalz.jp/b/2008/03/21/d/
ブックオフ等でみつかる「前の持ち主の生活の痕跡が残る本」を集めている方への取材記事です。すごいむかしの記事なんですが、本のなかの書き込みや破損からたちのぼる生活/人間の気配が、いまでもリアリティをもってつたわってきます。
この記事を書かれたライターさん(大塚幸代さん)は、生きていくことの苦しい面やすこし暗い面をすごく上手に描かれる方で、その方向性の記事についても激しくオススメしたいのですが(『多摩川、「ザ・ガーデン」』とか)、冗長になりそうなのでやめておきます。
ありがとうございます。
結論から申し上げますとめちゃくちゃ好きでした。こういう出会いを提供してもらえるの、嬉しすぎる。
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『日記の瞬間』に寄稿されていた日記(たいへんおもしろかったです!)を読んでいて
こちらの日記ですね。読んでいただけて光栄です。
なんか、投稿の仕方がへたくそで、改行したと思ったところが全然改行できておらず、マシンガントークのようにゴミについて喋っている人になっていました。
で、
もしかしたらペンギンさんにも面白いんじゃないか、というネット記事を思いだしました。
『痕跡本ってなに?』
読みました。いやもう、めっちゃ好き。
新しい扉が開いてしまったような感覚です。
僕が「チャーハン」の記事を書いた時と似たような感覚ですが、「推理」っぽいんだけど、推理をしたいわけではないんですね。
誰かの所有した形跡から見える、「痕」としか言いようのない何か。書き込みや傷跡のように具体的なものであればこの記事のように面白く説明できますし、別に具体的じゃなくても良いんだろうなと僕は勝手に思います。
たとえば、ただただ色あせただけの本も、それだけで新品の本では絶対に感じられない「念」のようなものがある気がする。誰が持っていたのか、どう使っていたのかも全然推理のしようがないけど、でも何か質量には還元できない重さを感じる、みたいな。
ああ、好きですこういうの。
関係無さそうでやっぱり関係あるかもしれない話をします。
僕はポケモンキッズがとても好きでした。スーパーのお菓子コーナーで売っている、ポケモンの指人形です。
ポケモンキッズを並べて、ポケモンが東軍と西軍に分かれて戦(いくさ)をしているという遊びをよくやっていました。トイ・ストーリーのアンディがやっている遊びと同じようなものです。要は人形遊びですね。
人形遊びのように自由度の高い遊びは、その人のこだわりやクセ、世界に対するまなざしが感じられます。
僕の場合、たとえば東軍陣営なら、一番前に置く先鋒部隊がリザードンで、大将はカメックス。リザードンの脇には右近・左近のようにゴローニャとニドキング。ここらへんはまあ、「あるある」なんだと思います。
そして僕は、なぜかいつも「炊事係」を両軍に設置していました。東軍ならフシギダネ、西軍ならワニノコが炊事を担当することが多かったです。右手にラプラス、左手にオニドリルを持って、カンカンぶつけて、空からの攻撃にラプラスが耐えられなったということで自軍に引き揚げたあと、彼はワニノコにメシを食わせてもらうんです。
一方のオニドリルも、自軍に帰ったらフシギダネがメシを食わせてくれる。あれ、どっちが勝ったんだっけ。結局どっちも「メシを食う」という同じゴールに帰結しているので、遊んでいるうちに戦況を忘れてしまう。
僕にとっては、戦いの勝敗よりも「みんなちゃんとメシが食える」ことの方が何よりも重要でした。
ポケモンキッズは、本家のポケモンよろしく、友だちと「交換」をすることがありました。
子ども同士なので、突発的に交換をしてしまって後になって「やっぱり返してほしい」というトラブルにもなったりするので、ポケモンキッズには目立たない場所(足裏のスキマなど)に持ち主の名前を書くのが一般的でした。これもアンディと全く同じですね。
とはいえ、平和的に交換が成立することもあって、僕はいつのまにか友だちと交換してゲットしたカモネギやパウワウも仲間に加えていました。いつ交換したかも覚えていないけど、でも「もとは他の子のカモネギだった」ということだけはきちんと覚えています。
カモネギは、足裏ではなく後頭部のかなり目立つ場所に、元の持ち主の名前が書いてあります。
「みしま」
その子が自分で書いたのでしょう。ぐちゃぐちゃだけど筆圧が強い、読み応えのある字です。
でも別に、この字があるから「カモネギは他から来た子」と思っていたわけではなくて、この字がなくてもカモネギは異邦人なんですよね。それだけは明確に分かる。これがいわゆる「目に見えない痕」なのでしょう。
そして、みしまのカモネギは不思議と炊事を担当することが多かったです。しかも、ワニノコの見習いとして。
まだ僕の世界観に入りたてだったので、まずは下積みから。なぜかこういうカルチャーは幼子でも本能か何かでわかるんですよね。
また、遊軍部隊に入るよりも炊事班の方が、カモネギのような異邦人をちゃんと受け入れてくれる包摂性があることも、これもまた本能的に感じ取っていました。
ですが、よくよく考えると僕のまわりに「みしま」っていないんですよね。
誰だっけ。みしま。
みしま、みしま。
いやこれ、よく読むと、
「みほ」
なんですね。みしまじゃなくて、みほなんです。「ほ」がものすごく横にひろがって勢いが増しているだけで。
ああ、みほちゃんのカモネギだったか。
みほちゃんって、誰だったっけ?
というわけで、僕の実家には今でもカモネギがいます。
痕跡のようで痕跡ですらないかもしれない。
探求できないくらい記憶の彼方に遠ざかっていった、みほちゃん(もしかしたらみしまくんかもしれない)の幻影を追う日々です。
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