財政難の町を救った公民連携 築128年の旧役場、廃校舎が次々再生

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 岩手県紫波町は、民間の知恵や資金を使った公民連携型まちづくりの先進地。この春、新たな「場」が相次いでお披露目を迎えた。

 15日、町北東部の田園地帯に、交流公園「ノウルガーデン」がオープンした。2022年に閉校した旧長岡小学校を「農あるくらし」の拠点に変身させ、持続可能な地域づくりをめざすノウルプロジェクトの一環だ。

校庭を畑に、ホテルやレストラン、共同住宅も

 校庭だった所に畑を造成し、花やソバ、麦を植える。元プールには芝を張り、子どもの遊び場に。地元農産物を使ったレストランやホテル、グローサリーストアが取り囲み、12戸の共同住宅には首都圏などから移り住んだ人が入居済みだ。地域の農家と一緒に収穫体験などもできる。

 町中心部のオガールプロジェクトを牽引(けんいん)してきた岡崎正信さんが、町と連携して事業を進め、ガーデンは仙北造園(盛岡市)が手がける。

 旧校舎を改修し、テナントやキッチンスタジオ、交流スペースが入る「ノウルセンター」も来年オープン予定だ。

 鎌田千市町長は「空き校舎に民間さんに投資いただき、産業振興と人材育成につなげる。公民連携の新しいフェーズだ」と話した。この日は近隣の保育園児らがやってきて、畑に種をまき、ガーデンを駆け回った。

さびれた中心商店街、「にわとり堂」登場

 旧中心市街地の日詰地区では10日、旧紫波郡役所をリニューアルした文化交流施設「にわとり堂」の落成式があった。白い壁と赤屋根がその名の由来だ。

 1898年に建てられた木造2階の擬洋風建築で、県指定文化財になっている。郡役所の役目を終えた後も、公会堂や町庁舎などとして10年ほど前まで使われていた。

 この建物を、文化財の価値を残したまま改修。1階は住民が使える多目的ホールにし、コーヒースタンドや独立系書店も5月に開業予定だ。2階はコワーキングスペースで、十数席を有料で貸し出す。

 くらしすた不動産(矢巾町)が活用事業を提案し、完成後の指定管理も担う。星洋治社長は「多様な人々がやって来て、出会いや新たな価値が生まれる場所にしたい」。

 同社は隣の旧町役場庁舎の跡地利用も手がけ、4年前、レトロな外観の人気温浴施設「ひづめゆ」を開業させている。

紫波町の公民連携型まちづくりとは

 紫波町の公民連携型まちづくり JR紫波中央駅の西側、町有地10.7ヘクタールが塩漬けになっていたが、財政難の町にハコモノを建てる余裕はなかった。各地の都市再生に携わる町出身の岡崎正信さんが提案し、補助金に頼らず民間資金を使い、企業、住民と連携する公民連携(PPP)の手法を採用。09年にオガールプロジェクトが始まり、広大な遊休地は、複合商業施設や日本初のバレーボール専用コート、図書館、町役場などが集まるにぎわいの場に姿を変えた。

 オガールは「駅」を意味するフランス語と「成長する」の方言を合わせた造語。地域再生の先進地として、全国から視察が絶えない。

 オガール一帯がにぎわう一方、旧中心市街地の駅東側・日詰商店街は空洞化が課題だった。町役場跡や旧郡役所の再生は、オガール地区と日詰商店街をつなぎ、人流を生むハブにと期待されている。

 町は、閉校した農村部の七つの小学校跡の活用も公民連携などで進める。旧彦部小はバスケットボール施設、旧水分小は酒造り文化の「学校」になった。

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