甘い鎖
ファイアーエムブレム蒼炎の、ハール×アイク、ハルアイです。
性的描写がありますので苦手な方はご注意下さい。サイトからの転載です。
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最初はほんのお遊びの
つもりだった。
■甘い鎖■
『うっ………ンんっ…ッ』
蒼い髪は淫らに乱れ、何時も力強い光を帯びた瞳は涙で滲み、仲間達の前で見せる無表情とは全く違った表情を浮かべたアイクが、俺の目の前にいる。
一糸纏わぬ姿で、されるがまま、抵抗もせず。
俺が腰を突き上げると大きな声が出ぬようにと必死に唇を噛んでいる。
あの日から、殆ど毎晩、この行為を繰り返している。
俺がこの傭兵団に身を置き、共闘するようになって数日が経ったある日の晩、傭兵団団長であり将軍であるアイクが俺の天幕を尋ねて来た。
無表情で無愛想な少年。その反面、半獣……ラグズを全く差別せず、ベオクと同じように扱い、束ねるカリスマ性を備えた少年。
……そして、俺の師であるシハラム隊長の命を奪った少年。
シハラム隊長の命をアイクが奪った事には、特に怒りは無かった。
ああいう事態になったのはアシュナードの配下にいれば当たり前のことではあったし、アイクにもそうせざるを得なかったのだろうと理解していたからだ。
まぁその時点では、アイクのことをこの先、好きにはなれそうにないなと思ってはいたが。
俺の天幕を尋ねて来たアイクは言った。
『あんたの師を奪う形となってすまなかった。』と。
そんなこと面と向かって言われても、素直に『許す』とは言えなかった。
言っても良かったのだが、俺は居場所を奪われたのだということには違いは無かった。
ベグニオンにいた頃、腐った元老員共の汚い仕事の片棒を嫌という程担がされ、その日々の中でこの世界に生きる喜びなんてものを根こそぎ失った俺の、やっと尊敬できると思えた隊長の下という居場所。
その居場所を失い、また生きるための楽しみも失ってしまっていた。
だからほんの暇潰しにはなるだろうと思ってアイクに言ってみたんだ。
『この戦いが終わるまで、俺の言うことに絶対に従うと言うのなら許してやってもいい。』と。
嫌だとか言って素直に拒否してくれば、笑い飛ばしてやろうと思っていたのに、『わかった』と素直に頷くから、からかってやりたくなった。
そしてその晩、アイクを抱いた。
そんな行為を、勿論今まで一度もしたことの無かったアイクは、戸惑いと羞恥心と恐れを、あのいつも無表情であった顔に浮かべた。
頬のみならず耳まで真っ赤に染め、目尻から涙を零すアイクの姿は目を疑う程に可愛らしく、そしてその姿を見ることに優越感を覚えた。
元々こういった行為は、行った後に必ずと言っていい程心地よい睡魔が来るので嫌いでは無かった。
しかし毎夜毎晩行為を繰り返しているうち、知らずにいれば良かったアイクのことも、一緒にいる時間が長くなった分沢山知ることになった。
ひとつは…アイクは…父親を失った日から、夜中に目が覚めぬ日は無いのだということ。
性行為を終えて眠りにつき、夜中にふと目を覚ますと隣にいた筈のアイクの姿が消えていた。
もう自分の天幕へと戻ったのだろうかと身を起こすと、天幕の外でアイクが、何とも寂しげな瞳で月を見上げていた。
その後ろ姿は弱々しく、クリミア軍を此処まで導いた将だとは思えぬ姿だった。
その時からだろうか。俺の気持ちが変化し始めたのは。
『…アイク………。』
アイクを、
愛しいと感じるようになったのは。
『ふ…………ぁああッ!!』
『あまり大きな声を出すと…隣の天幕に聞こえるぞ…?』
アイクの両足を開かせ己の肩に乗せた状態で、アイクの弱いところを何度も突き上げてやる。
アイクは口から漏れる声を抑えるのが辛いのか、いやいやをするように首を左右に振り、目尻を涙で濡らした。
『また泣いてるのか…?将軍?』
クスリと笑ってやると、アイクは少し悔しそうな眼差しで此方を見詰めてきた。
涙に濡れ、潤む空色の瞳。
ゾクリと快感が身体を走り、自分自身が硬さを増すのが分かった。
アイクがまた、甘い声を漏らす。
『うぁ、あッ……』
『誰のが入っていて気持ちが良いんだ…?』
尋ねると、アイクが虚ろな瞳に俺の姿を映し、恥ずかしそうな表情を浮かべた。
『…言え……これは命令だ。』
耳元に唇を寄せて低く呟くと、アイクの瞳が涙を滲ませ、アイクは熱い吐息混じりに躊躇いがちに答える。
『はっ……ハール…………の、っ………』
その答えを聞いてまた小さく笑みを浮かべると、耳を軽く噛んでやる。
アイクはびくりと肩を揺らして、俺の背にすがりつくように腕を回した。その姿は可愛らしく、すでに愛おしいという気持ちが胸を埋め尽くすのに。
『淫乱……』
口から出る言葉をこの少年を蔑むような素直ではない言葉ばかりで
今更
愛してるなんて言えない。
眠りについてしまったアイクの寝顔を眺めながら、アイクの髪を指で撫で、その頬に手を滑らせる。
今、自分の中にある感情は紛れもなく愛情で。
愛がない行為だったこの行為に、俺は何よりも愛情を注いでいる。
その上この行為はもう自分には無くてはならない物となった。
それなのに
最初に俺がアイクにしたことは本当に遊びで
無理矢理に
痛がるアイクなど気にもせず
自分の欲を満たした。
そのせいで
今更愛の言葉も優しさも向けてやれない。
今更『愛してる』なんて囁いても、なんて説得力が無いのだろう。
愛してるなんて
遊びで
煽ってやろうという気持ちで
何度も軽々しく口にしてしまったからもう意味を持たない。
俺はこの気持ちを伝える術を、自分のしてきた行為で全て潰してしまった。
アイクが目を覚ましたのか、瞼を開く。
頬を撫でていた手を離すとアイクから顔を背ける。
『他の奴らが来る前に自分の天幕に戻れよ……』
嘘だ。
俺が口にしたいのは
『…わかった。…おやすみ、ハール。』
ずっと
傍に居てくれ。
まだサイトが残っていた時に読ませていただいてました...! また読むことができて本当に嬉しいです! ありがとうございます!!