(セ・リーグ、阪神6xー5DeNA=延長十二回、2回戦、阪神2勝、1日、京セラ)虎の命運は〝持っている男〟に託された。緊張感と重圧で押しつぶされてもおかしくない状況でD6位・富田(三菱自動車岡崎)は笑った。球場の誰よりも冷静だった左腕がデビュー戦で好投し、12球団の新人一番乗りで初勝利をつかんだ。
「初登板で初勝利できたのは何かあるんだなと思うし、素直にうれしい」
延長十二回。午後6時を回り、試合時間は4時間を超えていた。勝つか、負けるか、それとも引き分けるか。そんな重要な局面で岡田監督の采配に迷いはなかった。投手コーチに継投を聞かれ「富田に決まってるやろ!」。オープン戦7試合で防御率0・96と抜群の安定感を誇る新人をマウンドに送り込んだ。
そんな将の期待に呼応するように、富田も躍動した。テンポよく2死を奪った後に佐野に中前打を許したが、動揺はなかった。マウンドに来た安藤コーチから「あとはお前に任せた」と言葉をもらって開き直った。この試合でソロを放っていた宮崎を打席に迎え、カウント1―1から外角低めに直球を決めて追い込むと、最後も同じコースに渾身の142キロをズドン。見逃し三振に仕留めて雄たけびを上げた。
1回無失点で役目を終えると、その裏に近本が劇打。ベンチでは周りから「お前は持っている」と言われた直後にプロ初白星が舞い込んだ。阪神投手の初登板初勝利は2018年の高橋遥人以来。さらに開幕2戦目以内では1959年の村山実以来という快挙だ。