子どもの学ぶ権利を訴え300回 「ウリハッキョ」支援の輪は広がる
毎週月曜日、札幌市清田区役所前でのぼりを掲げ、「子どもたちの学ぶ権利」を訴える人たちがいる。月曜日の訴えは20日、300回目を迎えた。 【写真】朝鮮学校への差別反対を訴える生徒ら=2026年4月20日午前10時29分、札幌市清田区、大滝哲彰撮影 この日、区役所前に約30人が集まった。のぼりには「朝鮮学校差別は国際人権法違反!」などの文字。道内唯一の朝鮮学校である北海道朝鮮初中高級学校(清田区)の生徒らも参加し、道行く人に支援を訴えた。 中学にあたる中級部3年の李閏湖(リユノ)さん(14)は「直接的な差別はないけど、目には見えない差別があって、日本社会で朝鮮人として生きていくのは難しい。でも、ウリハッキョ(私たちの学校)は安全に朝鮮人として民族教育が受けられる」と話す。 日本全国にある朝鮮学校は、在日朝鮮人の子どもたちが自らのルーツがある朝鮮の言葉、歴史、文化を学ぶ場だ。 北海道の朝鮮学校には計25人が所属。朴大宇(パクテウ)校長(50)は「子どもたちにとってアイデンティティーを確立させるため、なくてはならない場所」と話す。 だが、朝鮮学校をめぐる公的支援からの排除が、学校運営を長く苦しめてきた。 その一つが、民主党政権が2010年度に始めた高校無償化制度。「朝鮮半島情勢」を理由に朝鮮学校への適用を先送りした。その後、自民党政権が「拉致問題に進展がない」「国民の理解が得られない」などとして除外した。 全国5カ所での国を相手取った訴訟では17年、大阪地裁が朝鮮学校側の勝訴を言い渡した。 地裁判決は、国の判断が「教育の機会均等の確保とは無関係な政治的意見に基づいている」として違法と認定。朝鮮学校の民族教育を「母国語と母国の歴史、文化についての教育は、民族教育において重要な意義を有し、民族的自覚及び民族的自尊心を醸成するうえで基本的な教育である」と意義づけた。だが、大阪高裁で逆転敗訴。19年には最高裁が学校側の上告棄却を言い渡した。大阪を含む全国の訴訟は、すべて朝鮮学校側の敗訴で終わり、高校無償化はいまだに適用されていない。 清田区役所前での訴えは、翌20年8月から始まった。当初は元中学校教諭の黒田敏彦さん(71)一人だけだった。 無償化からの排除に加え、北海道の朝鮮学校に脅迫めいた手紙や爆破予告が届くなど、ヘイト被害が相次いでいた。「あらゆる差別がひどい。黙っていられないと思った」と黒田さん。 スタンディングで心ない言葉をかけられることもあったが、回を重ねるごとに参加者は増えてきた。通行人が「頑張ってね」と声をかけてくれたり、差し入れをくれたり。支援の輪は少しずつ広がっている。 月曜日の訴えは続く。「朝鮮学校の子どもたちを差別するな」と、声を上げるために。(大滝哲彰)
朝日新聞社