ロシア、大学生を兵役募集の標的に 「凄まじい」圧力 との証言も
落第すれば戦場行き
このキャンペーンを通じて何人の学生が実際に採用されたかは、まだ明らかになっていない。昨年12月の恒例の年末質疑応答で、プーチン氏は学生を含む多くのロシア人が無人システム部隊への入隊を希望したと主張。そのため国防省が応募者向けの選抜試験を実施せざるを得なかったと述べた。CNNはその人数や契約条件について問い合わせるため、ロシア国防省に連絡を取っている。 一方でCNNが取材した学生のうち、クレムリンの約束を信じていると言う者は一人もいなかった。 場合によっては、単位を落としたり試験に不合格になったりするリスクのある学生に対し、除籍を免れる唯一の手段としてドローン部隊への参加が勧められている。ある学生はCNNに対し、単位が不足(ロシア語で「債務」と呼ばれる状態)し、学業が遅れている学生のみを対象としたグループミーティングに呼ばれたと明かした。「彼らは、債務が山ほどある者にとってはこれが有益だと強くほのめかした」という。 別の学生は、数週間前のある日、所属大学の「学生課」が「グループの3分の1を退学処分寸前に追い込み、在籍し続けたければその場で契約書に署名するよう強要した」と述べた。この学生はその日の学生間のグループチャットでのやり取りをCNNに明かした。 複数の学生によると、大学側は課題の提出期限を短縮し、従来よりも単位の取得を困難にしている。学生に対しては、一つでも未提出の課題が残っていれば退学処分にするとの通知が届くという。 別の学生はCNNに対し、自身の大学の職員が最も弱い立場にある1年生を特定して、彼らを標的にしていると語った。具体的には精神衛生上の問題を抱えている学生や大学生活に馴染めずにいる学生などを「個人面談」に招き、学位取得に失敗しない最善の方法として軍への参加を示唆するという。この学生はこうした手法を「精神的虐待」だと表現した。
徴兵の逼迫
ロシアは最近まで大々的な徴兵を実施することで、前線での損失を補ってきた。それは高額な給与や報奨金制度に加え、受刑者や外国人といった特定の層を対象とする、より強制的かつ欺瞞(ぎまん)的な副次的動員策に依存するものだった。 しかしここへ来て、この体制ではもはや不十分だとの兆候が見られる。西側当局者の2月の推計によれば、ウクライナはロシアの徴兵数を上回る損害を数カ月連続で与えている。ウクライナのゼレンスキー大統領は3月下旬、26年に入ってからこれまでにロシアが8万9000人の兵士を失った(戦死および重傷者)一方で、同期間に徴兵できたのはわずか8万人にとどまると主張した。ロシアは自国の戦死・負傷者数を公表していない。 昨年末、プーチン氏はロシアの予備役兵を特定の任務や訓練のために招集することを認める数件の大統領令に署名した。米ワシントンのシンクタンク「戦争研究所(ISW)」のアナリストらは、この動きを端緒として非自発的あるいは秘密裏の動員が進められる恐れがあると警告している。 クレムリンのペスコフ報道官は先週、無人システム部隊の募集キャンペーンが進行中であることを認め、「完全に公開された募集であり、軍の新たな部隊に向けたもの」と説明した。 それでも専門家によると、国内で最も若い有権者層をターゲットにし、大学を募集の経路に変えることは、クレムリンにとって政治的なリスクをもたらすという。ロシアにおいて大学は伝統的に、徴兵からの「安全な避難所」と見なされてきたからだ。 「(学生たちは)何が起きているかを概(おおむ)ね理解しており、当局によるこの抑圧を快く思っていない」と、クリガ氏は述べた。「こうした動きがある中で、彼らが現在の政治体制の支持層を形成することはないだろう」 「政府機関は今や脅威の源であり、プロパガンダにまみれ、ついこの間まで中高生だったごく若い人々を萎縮させている」。ある学生はCNNにそう語った。 別の学生はこう指摘した。「全体として、年を追うごとにより強い恐怖感を覚えるようになっている」