<新社長登場>

    ▽ 就任の抱負を。

     「当社は千葉県の豊富な地下かん水からヨウ素の量産に国内で初めて成功し、90年以上事業を展開している。このパイオニア精神のもと、貴重な資源であるヨウ素のリサイクルにも業界に先駆けて取り組んできた。ヨウ素は造影剤や医薬品、液晶偏光材料などに使われ、世界的に需要が伸びている。さらに近年、次世代再生エネルギーとして期待されるペロブスカイト太陽電池にも欠かせない材料となる。脈々と培ってきたコア技術に磨きを掛けながら、2034年の創業100周年に向け安全・安定操業を続け、ステークホルダーの期待に応えていくことが使命だ」

    ▽ 設備投資計画の進捗状況は。

     「ヨウ素の増産と安定供給を強化するため、中核設備であるブローアウト塔のビルド&スクラップを進めている。私が入社した時からある設備もあり、老朽化した配管などを含め更新していく。ブローアウト塔は現在5塔だが、100周年までに計6塔へ増やす。さらに、これまで十分に有効活用できていない天然ガス鉱区が複数あり、ヨウ素の増産につなげるべく調査を進める」

    ▽ リサイクル事業はいかがですか。

     「千葉県は地下のかん水が豊富とはいえ、地盤沈下の懸念があることから、地域ごとの規制や許認可に基づく掘削や採取が必要となっている。このためブローアウト法の収率向上でヨウ素の増産に取り組む一方、リサイクルの取り組みがますます重要になっている。当社は1975年に業界に先駆けリサイクル技術を開発し、ノウハウを積み上げてきた。88年に欧州にある造影剤の世界最大手からリサイクルの打診があったことを鮮明に記憶している」

     「リサイクルによる増産を図るため、24年に新たな燃焼炉を4基増設した。これによって25年度は300トン増の年2700トン体制となり、全生産量のうち4割強がリサイクル由来になった。リサイクルの対象は現在、造影剤や液晶偏光フィルムが中心で、大半は海外のユーザーから使用ずみ製品を引き取っている。今後、対象製品を増やすとともに、当社のユーザーではないメーカーから使用ずみ製品を引き取ることも検討している。また、使用ずみのペロブスカイト太陽電池からヨウ素関連材料を抽出するリサイクル技術の開発も業界に先駆けて進めている」

    ▽ ペロブスカイト太陽電池への期待は。

     「新たな需要として期待しているが、計画通り進むかどうか不安がないこともない。ただし、当社としてはヨウ素材料をできる限り揃え、同電池の普及に貢献したい。今年夏にはヨウ化鉛と有機カチオン材料2種の量産体制を整える。有機だけでなく、無機カチオン材料も開発中だ。ヨウ素から化合物、リサイクルまで一貫した総合メーカーとして競争力を強化していく」(聞き手=渡邉康広)

     <横顔>

     入社以来、長年にわたり研究畑を歩んだ。大学で地球化学を専攻し、火山ガスや溶岩の分析に没頭。今も「ニュースで火山噴火の映像を見ると血が騒ぐ」と笑う。中学・高校ではサッカー部に所属し、現在の趣味はウォーキングと「サッカーの試合観戦」。チリや日本などに偏在するヨウ素だが、「製品を詳しく分析すれば、純度などに違いがあるのでは」と研究者らしい視点も忘れない。

     <略歴>

     〔おおたに・やすひこ〕1976年(昭和51年)上智大学理工学部卒、合同資源産業(現合同資源)入社。12年取締役技術研究所長、20年取締役常務執行役員千葉事業所長、22年常務取締役千葉工場長兼技術研究所長、24年代表取締役常務千葉工場長、25年12月代表取締役専務千葉工場長、26年2月現職。埼玉県出身、72歳。
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