埼玉県立小児医療センター(さいたま市中央区)で白血病治療の髄腔(ずいくう)内注射を受けた患者5人が神経症状を発症し、うち1人が死亡、2人が重体となっている問題で、同センターは20日、本来は髄腔内注射で使用されない抗がん剤「ビンクリスチン」の混入が症状の直接的な原因であると断定した。外部有識者による調査対策委員会の検討結果に基づくもので、同日記者会見を開き公表した。
精密な質量分析の結果
この事案は昨年1~10月にかけて発生。亡くなった患者、重篤な患者の計3人の患者の精密な質量分析を行った結果、うち2人からビンクリスチンを検出した。残る1人は不検出だったが、これまでの検査結果や臨床症状から同様に混入があったと判断した。調査対策委員会の中沢温子委員長は、「(本来使用されるはずのない)ビンクリスチンが重篤な神経症状の原因である可能性が高いという結論に至った」と述べた。
同センターは、具体的な混入経路を究明するため、22日付で新たに外部の有識者など13人で構成する「医療事故調査委員会」を設置し、初会合を開く方針だ。同委員会の人選は埼玉県医師会の判断を仰いだ。2週間間隔で会合を開く予定。
作業工程をビデオ撮影
また、昨年11月から院内での実施を中止している髄腔内注射について、身体的・精神的な理由から他院への転院が困難な10代の患者1人に限り、4月21日以降に特例で実施することを発表した。実施にあたっては、幹部職員が調製から立ち会い、全ての作業工程をビデオ撮影するなど、極めて厳格な管理体制を敷くという。
このほか、同センターは今後、新規の白血病患者について、入院を受け入れることも発表した。これまで髄腔内注射が必要な35人の患者については都内や県内のほかの医療機関へ依頼して治療を継続していた。しかし、ほかの医療機関の受け入れ態勢が限界にきていることから、受け入れる方針に切り替える。ただ、髄腔内注射にかんしては、原則としてほかの医療機関で対応してもらうとしている。
岡明院長は会見の冒頭、「多大なるご迷惑とご心配をおかけし、心よりおわび申し上げる」と謝罪した。