衆院選公約「食料品の消費税ゼロ」与党に先送り論 即効性に懐疑的な意見 首相発言にぶれも
政府が検討を進める2年間の飲食料品の消費税率ゼロを巡り、与党内で実施の先送りを求める声が上がり始めた。超党派の「社会保障国民会議」で減税効果への疑問や、レジ改修に時間がかかることで物価高対策としての即効性に懐疑的な意見が噴出。イラン情勢により、石油製品や燃料費など幅広い分野に価格高騰の波が広がっていることも背景にある。自民党、日本維新の会が衆院選の公約に掲げているが、制度設計の過程で修正を迫られる可能性がある。 ■「ぼかしとはったり混在」 高市早苗首相の言葉遣い、東大准教授が分析 「選挙が近づいた時に各政党から『食料品消費税率ゼロ』との声が出たが、現実感は今になってみると乏しい」。15日にあった国民会議の実務者会議後、維新の猪瀬直樹参院幹事長は、消費税減税に慎重な議論を求めた。
米国とイスラエルによるイラン攻撃後、日本の原油のほとんどが通過するホルムズ海峡は事実上の封鎖状態にある。原油価格は高騰し、幅広い石油関連製品の価格や供給にも影響が広がっている。猪瀬氏は「イラン情勢で大変なのは食料品だけではなくなった」などと指摘した。 実務者会議の聞き取りでは、小売業界から原材料費の高騰やレジ改修のコストを踏まえ「現在も価格転嫁が進行している中、(税率が下がっても)いつ価格を引き下げるのか難しい」「税率が0%になっても価格が8%分下がるわけではない」などの声が上がった。 レジシステムのメーカーからは、大手のスーパーやコンビニなどのレジ改修には1年程度かかるとの見解が示された。仮に秋の臨時国会で法改正しても実施は2027年秋以降になる見通しだ。高市早苗首相が目指す26年度内の実施は、現状では困難とみられ、物価高対策としての即効性が疑問視されている。 自民内からも首相の方針への異論が出始めた。ある幹部は「消費税ゼロは時間がかかる」と、先送りをほのめかせる。ただ「1年間も何もしないわけにはいかない」として、国民会議で並行して議論している給付付き税額控除を「簡易型」で先行する案を口にした。 一方、実務者会議では、消費税率をゼロにせず「1%」などに下げる税率変更なら、レジ改修を3カ月程度に短縮できるという見通しも一部のメーカーが示した。26年度内の開始に望みが出る可能性があり、政府や国民会議の関係者の関心を集めている。 消費税減税を巡る首相の発言にはぶれも目立つ。衆院解散を表明した際には、消費税ゼロを「悲願」と強調したが、その後「本丸の給付付き税額控除を実施するまでのつなぎ」だと重要性を弱めたような言いぶりに。衆院選投開票日のテレビ番組で、消費税減税を実現できなかった際の責任を問われると「意地悪やなあ」と返し、正面から答えなかった。今国会では「できない理由ではなく、できないことをできるようにする方法をしっかりと議論してほしい」と、議論の進展に期待を示した。 維新の吉村洋文代表は13日、政府、与党幹部との会合後、記者団に「食料品消費税ゼロについて賛否もあるが、公約なので約束したことを実行する。当たり前の政治をやるべきだ」と強調した。政府関係者は「公約を守らないと、首相が国民からうそつきと言われる恐れがある。減税をしないという政治判断は難しい」と話す。(坂本公司、小川勝也、中野雄策)
西日本新聞
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