〈社説〉共同親権 「子の利益」を貫く制度に
親の離婚を経験する子どもの葛藤が減り、権利が守られる制度となるか。注視していく必要がある。
夫婦が別れた後も、双方が子どもの養育に関わる「共同親権」を選べる改正民法が今月、施行された。
これまでは、いずれか片方の「単独親権」と定められていた。
改正法では、離婚時に父母が協議して共同親権か単独親権かを決める。意見が対立した時は家庭裁判所が判断する。ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の恐れがある場合は単独親権とする。
共同親権であっても、子どもの緊急手術など「急迫の事情」なら単独で親権を行使できる。
課題が残されている。共同親権を巡る議論は賛否が割れ、反対のオンライン署名は24万人に達した。家裁がDVやハラスメント、虐待を見抜けるのか、加害者の側に押し切られて共同親権を選ばざるを得なくなるのではないか―。DV被害者らの懸念は切実だ。
親たちが折り合えない場合、家裁は子どもの意思を丁寧にくみ取った上で、慎重に見極めなくてはならない。判断を誤ると重大な事態を招く恐れもある。専門職を含めて手厚い態勢を整えることが急がれる。
親権には、身の回りの世話や教育をする身上監護権、財産管理権などがある。日本では長年、親が子どもを「所有」する権利のように捉えられてきた。
単独親権の下、親権のない親は子どもと会えなくても仕方ないという風潮や、親権がなければ親としての責任はないとの誤解が根強かった。養育費の不払いが深刻化する一因でもある。
親権の実質は子どもの権利にある。改正法に、親権は子の利益のために行使しなければならないことが明記された。この認識を社会に根付かせることが重要になる。
親権と面会交流は本来別個の問題だ。子どもの権利の視点から捉え直す必要がある。
離婚に至る過程で不信や確執が決定的になると、離婚後に元配偶者との関わりが続くことに拒否感を抱く人もいるだろう。
ただ、夫婦関係は解消しても、子どもにとって2人とも親であることに変わりはない。成長を見守り、支えていくにはどのような関わりが望ましいか。親権の選択は、それを話し合う機会ともなる。
子どもが父母の板挟みとなって苦しむような事態は避けなくてはならない。子どもが意見を表明する権利を法的に明文化し、環境を整えていくことが欠かせない。
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