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辺野古沖合 転覆事故から1か月 ふだんと異なるルートを航行

アメリカ軍普天間基地の移設工事が行われている沖縄県名護市辺野古の沖合で、研修旅行中の高校生など2人が死亡した船の転覆事故から16日で1か月です。
事故の当日、船はふだんとは異なるルートを航行していたことが捜査関係者への取材で分かりました。
海上保安本部は慣れないルートを航行したことが事故につながった可能性もあるとみて、捜査しています。

先月16日、アメリカ軍普天間基地の移設工事が行われている名護市辺野古の沖合で、研修旅行の一環として見学に訪れていた京都府にある同志社国際高校の生徒たちを乗せた2隻の船が相次いで転覆して、17歳の女子生徒と71歳の男性船長が死亡し、生徒12人を含む、あわせて14人がけがをしました。

事故から16日で1か月となりますが、第11管区海上保安本部は船長が所属していた団体で移設工事に対する抗議活動を行っている「ヘリ基地反対協議会」の関係先を業務上過失致死傷などの疑いで捜索するなどして捜査を進めています。

これまでの調べで、転覆した2隻の船は海上で抗議活動を行うときに使われていたということですが、捜査関係者によりますと、事故の当日、ふだんの抗議活動で通っていたのとは異なるルートを航行していたということです。

事故当日は周辺の海域に波浪注意報が出されていて、2隻は水深が急に浅くなっていて波が高くなりやすい場所に差しかかったところで転覆しました。

海上保安本部はふだんと異なるルートを選択したいきさつを調べるとともに、慣れないルートを航行したことが事故につながった可能性もあるとみて、事故の原因や安全管理体制について捜査しています。

【玉城知事「胸が潰れるような思い」】
玉城知事は、16日午後、県庁で記者団の取材に応じ、亡くなった女子生徒の父親がインターネットの投稿サイトで情報発信し、娘への思いなどをつづっていることについて「私も拝見しているが、将来を楽しみにしていた大切な存在が不慮の事故によって亡くなるということは、非常に胸が潰れるような思いだ」と述べました。

そして、「今回の事故を重く受け止め、修学旅行も含めたすべての観光客に対して安全・安心の沖縄観光を確立するため、注意喚起や再発防止策を取りまとめ、大型連休前までに発信したい」と述べました。

また、玉城知事は、日程の調整がつきしだい、追悼のために事故現場を訪問したいという考えを示しました。

【生徒の父親 インターネットで情報発信】
この事故で亡くなった武石知華さんの父親はインターネットでの情報発信を続けています。

このなかで、「沖縄研修旅行の異質さ」として、学校の対応などについて疑問を投げかけています。

抗議活動で使われる船に乗ることは父親は全く知らず、知華さんが乗船プログラムを選んだのも友だちと船からさんご礁を見るという「ただそれだけの純粋な選択でした」としています。

そして今月12日からの投稿では事故当日から2日後にかけての遺族が置かれた状況を時系列で記しています。

インドネシアで仕事をしていた父親は、事故の一報を受けて帰国し、翌日、知華さんと対面した時について「こたつで昼寝をしているときの顔と変わらない。冷たい。司法解剖。手術したこともないのに。」などとしたうえで、「苦しかったろうに。なんで死んでるの。パパは4ヶ月も会ってなかったよ。起きなよ知華。」とつづっています。

さらに事故の2日後、知華さんの母親が現場を見るため早朝から1人で出かけたことや、アメリカ軍のキャンプ・シュワブへの立ち入りが特別に許可され、事故現場に近い場所で献花と黙とうを捧げたことなどがつづられています。

【船長の所属団体 ホームページでコメント】
亡くなった船長が所属していた団体で、移設工事に対する抗議活動を行っている「ヘリ基地反対協議会」はホームページに事故についてのコメントを出しました。

このうち、今月2日に出したコメントでは、「亡くなられた高校生に心からおわび申し上げます。尊い命を守りきれなかったことに対し、深く重い責任を感じております」と謝罪したうえで、「各機関による事故原因究明に全面協力するとともに、被害者の皆様およびご遺族への謝罪と償いに全力を注いでまいります」などとしています。

また、今月8日に出したコメントでは、「一部報道やインターネット上において、乗船された生徒様や学校側が『基地建設への抗議活動』を目的として基地建設の現場に訪れていたかのような情報が散見されます。転覆した2隻の船はふだんは抗議行動に使用していますが、今回はあくまで『学習・見学用』として使用しておりました」と説明しています。

そのうえで、「生徒様や学校側は、『見学者』という立場であり、今回の事故の責任は、平和学習の場として安全を確保すべき立場にありながら、それを果たせなかった当協議会にございます」などとしています。

【SNSで投稿相次ぐ 中には誤った情報が投稿】
2人が死亡した船の転覆事故をめぐっては、旧ツイッターの「X」などのSNSで投稿が相次ぎ、中には誤った情報が投稿され、広がっています。
専門家は転覆した船が移設工事に対する抗議活動で使われていたなど、政治的な話が関係してくると誤った情報も出やすくなるため、そうしたSNSの性質を踏まえて情報を受け止めるべきだと指摘しています。

事故から15日までで「辺野古」を含む投稿をNHKで調べたところ、Xでは事故後に急増し、リポストを含めた投稿は470万を超えていたほか、「YouTube」では投稿が少なくとも3200本にのぼり、総再生回数は1億7000万回を超えています。

これらの投稿は転覆した船の船長が所属していた移設工事に対して抗議活動をしている団体や亡くなった生徒が通っていた高校を批判するものが多く、なかには誤った情報もみられました。

Xで、亡くなった生徒の高校の研修旅行を担当していた旅行会社が玉城知事が自由に使えるという「県知事公室費」から「3500万円の補助金をもらっていた」などといった情報が投稿され、拡散しました。

このことに対し、県や旅行会社に取材したところ、実際に県から旅行会社が委託されたのは研修旅行とは関係がない事業であるほか、知事公室は県執行部のひとつで予算は知事が自由に使えるものではないため、投稿内容は誤った情報でした。

県は「誤った解釈や情報が拡散されている状況を注視し、必要によっては注意喚起などを行いたい」としています。

また、名護市辺野古の海上で警備にあたっている第11管区海上保安本部に対して転覆した船を長年、監視して知っているのだから指導できたなどと、海上保安本部が「意図的に放置してきた」と疑うような投稿があり、中には270万回以上、見られたものもありました。

このことについて海上保安本部は放置した事実はないとしたうえで「海上の活動形態もさまざまで、違反などがないかぎり航行の制限を行うことはできない」としています。

誤った情報の投稿が広がることについて、SNSの分析が専門で東京大学の鳥海不二夫教授は、「特に政治的な話が関係する場合は、誤った情報がどうしても出る傾向にあります。意図的にそういった情報を流している人がいるかもしれませんが、うわさが広がるというかたちで誤った情報が出てきてしまうことも多くあります」と話していました。

そのうえで、「事実であってもうそであっても自分たちにとって都合のいい情報であれば、積極的に拡散したくなるというSNSの性質を考えて情報は得たほうがいい」と指摘しています。

【海保 事故原因や安全管理体制調べる】
事故は1か月前の先月16日午前10時10分ごろ、アメリカ軍普天間基地の移設工事が行われている沖縄県名護市辺野古の沖合で起きました。

研修旅行の一環として見学に訪れていた京都府にある同志社国際高校の生徒たちを乗せた「不屈」と「平和丸」の2隻の船が相次いで転覆し、2年生だった武石知華さん(17)と「不屈」の71歳の男性船長が死亡し、生徒など14人がけがをしました。

生徒たちを乗せた2隻は、ふだんは移設工事に対する抗議活動で使われていましたが、事故が起きた日は埋め立て工事の現状や辺野古沖の自然などを見学することが目的でした。

当時、周辺の海域には波浪注意報が出ていましたが、船長が所属する団体「ヘリ基地反対協議会」によりますと気象条件など出航判断の基準を明文化しておらず、船長の判断で出航を決めたということです。

この事故を受けて、第11管区海上保安本部は、先月20日、業務上過失致死傷などの疑いで団体の関係先を捜索するなど捜査を進めています。

海上保安本部は、事故の原因や安全管理体制について詳しく調べています。

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