いじめ“謝罪の場”の後、被害者が不登校に 福岡県教育委員会で検証されず…専門家は批判「事態を悪化させた可能性」
福岡県教育委員会は1日、いじめ防止対策推進法に基づき、同県筑豊地区の県立高で2023年に起きたいじめに関する調査報告書を公表した。当時、高校1年だった男子生徒が同級生から無断で下着姿などを撮影され、交流サイト(SNS)に画像を投稿された事案などをいじめと認定。一方で、学校が生徒と同級生の双方にわびさせる「謝罪の場」を設けた後、生徒が不登校になったことについては検証しておらず、対応の是非に言及しなかった。(泉修平) 【独自】福岡・筑豊の高校で下着姿の盗撮動画拡散…抗議した被害生徒にも謝罪させ不登校に 学校現場でのいじめを巡っては、学校が早期に幕引きを図ろうとして加害者と被害者双方による謝罪の場を設けるケースがある。ただ、互いに十分納得していない段階でのこうした対応は双方の不信感を募らせるだけで「逆効果だ」と指摘する専門家も少なくない。
報告書などによると生徒は23年5~10月、同級生に着替え姿などを撮影され、SNSでクラスメートらに拡散された。同10月、撮影に気付いた生徒が同級生につかみかかるなどしたため、いじめが発覚した。 学校は、保護者の了承を得て2人を互いに謝罪させる場を設定。生徒はいじめが終わることを期待して応じたという。だが、その後も同級生からのなじり行為が続き、生徒は不登校を経て24年4月に転校した。
県教委が公表した報告書は「学校は謝罪の場を設けた」と記すだけで、こうした対応に至った理由やその是非について一切、触れていない。県高校教育課は取材に「報告書が全てだ」と繰り返し、回答を避けた。 千葉大大学院の藤川大祐教授(教育方法学)は「安易な謝罪の場が事態を悪化させた可能性があるにもかかわらず、なぜ男子生徒が長期の不登校や転校に至ったかがほとんど検討されていない」と報告書を批判。「謝罪は互いに納得した形で慎重にする必要がある」と指摘し、学校側の対応も問題視した。
西日本新聞社