青森市出身の棟方志功展 富山・南砺市の福光美術館で
青森市出身の世界的な版画家、棟方志功が戦時中に疎開していた富山県南砺市にある福光美術館で「没後50年 深掘り!!棟方志功展」が開かれている。4月5日まで。
棟方は空襲を避けるため、1945年4月から6年半、東京から南砺市(当時は福光町)に疎開し、数々の傑作を残した。南砺市は昨年9月に棟方ゆかりの5自治体によって青森市で開かれた「棟方志功サミット」の参加自治体のうちの一つでもある。
展示の目玉は、幅10メートルの大作「東北経鬼門譜(とうほくきょうきもんふ)」だ。
鬼門仏を中心に左右対称に群像を配置し、自己犠牲によって冷害、凶作により困窮を極めていた東北の人々を救済する構図となって迫ってくる。
石川県文化財保存修復工房が、修復技術を駆使し、刷られてから90年を経て、初めて120枚の紙のピースを六曲一双の屛風(びょうぶ)へと仕立て直した。
青森の地名とゆかりが深い能の演目「善知鳥(うとう)」を題材とした「善知鳥版画巻」の連作も展示されている。よく知られた現行版ではなく、あまり目にすることがない旧版の善知鳥30点だという。
他にも、疎開してきた福光の風景を描いた「法林經水焔巻」や宗教的題材にした「華厳譜」など約150点に及ぶ代表作が、圧倒的な迫力を示す。
志功の孫で同美術館特別専門員の石井頼子さんは「今回展示している作品の多くは、最近になって個人の蔵の中で見つかり、安く譲ってもらったものだ。これらの作品を一挙に展示できるのには、大きな意義がある。120枚のピースからなる一大プロジェクト、東北経鬼門譜をはじめとする作品を見て、味わってほしい」と話している。
青森市の棟方志功記念館、29年度再開目指す
青森市教育委員会は2月、2024年3月に閉館した棟方志功記念館について、利活用方針を策定した。昨年11月から3回にわたって有識者による意見聴取会議を開き、検討してきた。
基本的な考え方として、子どもを中心とした市民や観光客が文化や芸術を学ぶ場を確保し、青森市が誇る版画文化の継承を進めるとしている。また地域住民と観光客の交流を軸に、交流人口や関係人口の増加と地域の活性化を目指す。
現在の建物を利用しながら、来館者が安心して過ごすことができるよう、アスベストの除去や設備の更新、通路やトイレのバリアフリー化などのリノベーションを行う。施設名称には、名誉市民第1号である棟方志功の名を残すという。
建物の利活用については、棟方志功の顕彰を軸に、「志功を知る」「志功を体験する」「わだば志功になる」など五つのテーマに合わせて学びと体験を提供するという。
「志功を観る」コーナーでは、ビデオ上映やデジタルコンテンツの活用、ゲーム感覚で鑑賞できる展示などを通じてビジュアルによる棟方志功の功績を体感する。
「志功を知る」コーナーは、実物の作品や年表の展示などを通じて、本物の芸術作品の鑑賞や棟方志功の生き方を学ぶ場とする。
「志功を体験する」コーナーは、小中学生を対象に版画や裏彩色を実際にやってみるなど作品制作を体験できる場とする。
「わだば志功になる」「志功を想う」を加え、五つのコーナーを1階と2階に配置している。
市教委は、建物の調査・設計を行うため、26年度予算に7150万円を計上した。計画では、27~28年度にアスベストの除去などの改修を行い、29年度の再オープンを目指しているという。