この判例タイムズの記事には、東京地裁の免責不許可事由がいろいろ掲載されている。
免責不許可となるケースは極めて少数で、条文上の不許可事由に当てはまったとしても裁量免責で積極的に免責を受けさせるのが実情である。
そんな中でも実際に免責不許可となった事例がいろいろ挙げられているが、掲げられている事例は例えば以下のように、非常に悪質性が高いケースが目立つ。
・預金取引の内容について破産管財人から再三に渡り説明を求められたが、これを拒んだ
・正当な理由なく債権者集会を欠席
・破産申立前に破産者名義の預金から多額の金員を払い戻しているところ、その使途について不十分な説明しかせず裏付資料も提出しない
・預金引き出しの事実を申立書に記載せず、破産管財人の調査に対しても資金使途を具体的に説明しない
・破産管財人からの任意の返還請求に応じず破産管財人が否認訴訟で債務名義を取得するに至るなど終始非協力的
・裁判所の許可なく複数回無断で海外渡航
・破産者の親族が代表を務める会社に現金を流出させたことにより、破産管財人は否認手続を余儀なくされ債権者への破産配当が遅延
・支払不能時以降も国内旅行や海外旅行へ行き、カードでブランド品を買うなど遊興費の支出をやめない
・高額支出に関する資料の提出を破産管財人に求められたにもかかわらず、3ヶ月以上提出を引き伸ばし、最終的にこれを提出しなかった
・破産申立直前に65万円の使途不明金があり、引越し費用の見積書を変造したことが露見
・破産管財人に一応の説明はするも資料の提出は不十分。関係者(預金の送金先)に関する資料を提出すると言っては結局提出しないなど、二転三転する場当たり的な言動をした
・破産管財人を威迫するなどして、破産管財人の円滑な職務遂行を妨げた
・会社から引き出した現金のうち少なくとも200万円は破産手続開始時点において所持していたのに、これを破産管財人に報告しなかった
・破産手続開始前後を通じて、SNSで多額の遊興費の支出やブランド品の所持など華美な生活を思わせる内容の投稿をするも、詳細な説明はなく破産管財人の資産調査を困難にした
引用
柴田啓介(弁護士/元裁判官)
@AandS_KSB1983
破産免責が話題ですが
論考では「東京地裁倒産部における近時の免責に関する判断の実情」が参考になります(判タ1518号5頁等)
ここでは年間約6500から1万2000件程度の免責終局事案のうち、免責不許可の件数は年間20-30件で、免責不許可の割合は0.2-0.3%とされています