在日の中国系観光ビジネス「一条龍」が苦境 日中対立のあおりで
中国政府による日本への渡航自粛要請を巡り、日本で中国人旅行客を対象として「一条龍(一匹の龍)」と呼ばれるビジネスを展開してきた同国系企業が苦境に立たされている。
中国政府は11月14日、自国民に対し日本への渡航自粛を呼びかけた。これは11月7日の高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁に報復する動きと見られており、中国はこの発言を内政干渉とみなしている。
中国人客は訪日外国人の中で最大の割合を占めて...
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(更新)- 高谷幸東京大学大学院人文社会系研究科 准教授別の視点
国家間の対立が起こると、どうしても国家vs国家の枠組みで物事を観察しがちになる。確かに中国人観光客を対象にした中国系のビジネスが展開されてきたが、それらのビジネスは中国本土からの客だけを対象にしていたわけではない。例えば、民泊でも、シンガポールなど東南アジアにもまたがる中国語圏の客や欧米からの客もターゲットになってきた。また飲食も、「ガチ中華」という言葉が出てきたように、日本の食文化の中に位置づけられている。中華系の企業で働いている日本人も少なくない。こうした国境では区切られないトランスナショナルな文化・経済圏が、国家間の対立によってどう変化しているのかも報道されるとよい。
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(更新) - 川島真東京大学大学院総合文化研究科 教授ひとこと解説
広く知られていることだが中国人団体観光客ビジネスには、「一条龍」モデルというものが見られる。訪日した後のレストラン、バス、土産店、ホテルなどが全部中国系資本だというものだ。もちろん全てがそうだとは言わないが、このようなモデルの場合、中国人団体観光客の減少によって最も打撃を受けるのはこの中国系資本だということになる。さらに、「一条龍」ビジネスは往々にして中国人に特化したサービスを提供しており、代替手段に乏しいという弱点もある。日系の観光業は、政治要因によって中国人観光客が激減する可能性というチャイナリスクを踏まえ、中国一辺倒にならないことが肝要なことが今回の事態で改めて確認されたであろう。
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(更新) - 鈴木一人東京大学 公共政策大学院 教授分析・考察
中国は日本に対して圧力をかけるのであれば、他にも様々な方法があるはずなのだが、比較的日本に経済的なダメージを与えない選択をしている。観光客の自粛も、結果的に困っているのは在日中国人観光業者であり、日本の観光業界ではない。しかも、円安もあってインバウンドは増える一方であり、中国人観光客の減少が痛手になっていない。水産物の輸入停止も、福島処理水の問題からやっていた輸入停止を再開したばかりだったため、影響は限定的だろう。人民解放空軍によるレーダー照射はエスカレーションを招く恐れがあるが、全体として見れば、言葉のトーンと比べて経済的威圧の圧力は高くない。
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(更新) - 柯 隆東京財団 主席研究員ひとこと解説
中国系観光事業者が困っても、中国政府は困らない。なぜなら選挙が行われていない国だからである。日本企業であれば、中国への依存度を下げるやり方があるが、中国系観光事業者は中国からの観光客を受け入れるビジネスしかできないものが多い。結局、自分が自分を困らせているだけである
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