「マグロを取っても油代で消えてしまう…」原油高騰、漁業に大打撃【大漁!水産部長の魚トピックス】
2026年04月19日
中東情勢の緊迫化による原油高騰で、漁業が大きな打撃を受けている。大量の燃料を消費するマグロやカツオ漁などでは、コスト増が顕著なほか、関連資材の値上がりも漁業経営を圧迫している。(時事通信水産部長 川本大吾)
「これまでのように取りに行けるか」
遠洋マグロはえ縄漁船6隻を保有する宮城県気仙沼市の漁業会社のオーナーは、「マグロはえ縄船は1隻年間で1000キロリットルくらいの重油を使用する」と説明する。これまで、給油地の南アフリカ・ケープタウンの重油価格は1キロリットル当たり13万円程度で、年間の油代は1億数千万円だったという。ところが、今年3月には、一時1キロ当たり36万円を付けるなど高騰している。オーナーは「年間のマグロの水揚げ金額は3~4億円だから、このままでは油代でほとんど消えてしまう」と、操業継続へ不安を募らせる。
日本の遠洋マグロはえ縄漁船は今春、インド洋のメバチマグロなどの資源保護のため、数十隻の漁船をスクラップして漁獲抑制への取り組みを進める苦肉の策を決めたばかり。減船したものの、「残った漁船も重油の高騰で、これまでのようにマグロを取りに行けるかどうか分からない」(マグロ漁業者)と肩を落とす。
こうした遠洋漁業の窮状について、日本かつお・まぐろ漁業協同組合(日かつ漁協)など関係5団体は3月下旬、水産庁の藤田仁司長官に「漁船漁業にとって危急存亡のときにある」として、「燃油価格の爆発的急騰に対する緊急支援措置」を要望した。
餌を取れず…カツオの水揚げ量に影響
初ガツオのシーズンで漁が活発化するカツオの一本釣りにも、燃油高が暗い影を落としている。千葉県勝浦市の漁港関係者は「漁業者はカツオの漁場を探して数日船を走らせるが、燃料が高いため早めに帰港する漁師が多い」と話す。
鹿児島市の魚市場では、「餌不足で漁に出られない一本釣り漁船が待機している」と市場関係者。カツオ漁の餌となるカタクチイワシなどを取る巻き網漁船が、燃油高により出漁を控えているためだという。