一般社団法人JELF(日本環境法律家連盟)は、2026年3月16日に発生した沖縄県辺野古での痛ましい転覆事故に関し、2026年3月25日、緊急声明『辺野古・大浦湾の豊かな自然を次世代に引き継ぐための冷静な議論を求める』を、発表しました。
JELFが発表する緊急声明、全文は以下の通りです。
==================
(緊急声明)
辺野古・大浦湾の豊かな自然を次世代に引き継ぐための冷静な議論を求める
一般社団法人JELF(日本環境法律家連盟)
理事長 島 昭 宏
2026年3月25日
今月16日、沖縄県名護市の辺野古沖で小型船2隻が転覆し、高校生を含む2人の尊い命が失われました。絶対にあってはならない事故であり、人の生命を預かる以上、安全のために万全が期されるべきは当然であって、事故の原因、責任の所在が徹底的に解明され、再発防止策が講じられることは急務です。
しかしながら、本件事故に関連して、インターネットを中心とする一部言説において、常軌を逸した誹謗中傷が拡散していることは看過できません。これらは、事故の悲しみを社会的対立へと転化し、冷静な議論を妨げるものです。
私たちは、この痛ましい事故を利用して、辺野古における市民運動や平和教育を否定・抑圧しようとする動きに対し、断固として抗議します。失われた命を単なる攻撃の材料とすることは、厳粛に受け止めるべき人の死を冒涜するものです。この事故の発生によって、辺野古における基地建設の是非を問うこと、及び、その自然環境を保全することの重要性が損なわれるものではありません。
現在日本政府によって進められている辺野古新基地の建設に関しては、辺野古沿岸、大浦湾一帯が豊かな生態系を有する海域であること、基地建設が日本の安全保障や平和の在り方を問うものであること、さらには日本の民主主義の真価が問われる場所でもあることから、これまで多くの議論が提起されてきました。
私たちJELFは環境と平和、民主主義が一体不可分のものであるという考えから、辺野古における自然環境を守るため、基地建設に反対する運動を一貫して支援してきました。米国国防省を被告とするいわゆる沖縄ジュゴン「自然の権利」訴訟を提起して、辺野古に生息するジュゴンに対する米国政府の配慮が欠けたものであるという判決を勝ち取り、辺野古、大浦湾の自然は日本が世界に誇る次世代に残すべき貴重な存在であることを明らかにしました。
今回の事故によって、辺野古新基地建設に反対して粘り強く活動してきた沖縄県民のみなさん、それを支援する日本、全世界の人々の活動の意義が失われるものではありません。また、沖縄や辺野古の問題は、若い世代にとっても極めて重要な学びの場となるものです。政府による基地建設の強行は見直されるべきであり、沖縄のかけがえのない自然環境は守られなければなりません。
私たちは今回の痛ましい事故によって沖縄、日本、世界の辺野古新基地反対運動が後退することがあってはならないと考えます。また、不当な誹謗中傷に世論が巻き込まれ、問題の本質が見失われることを強く危惧しています。そのため、あえて本声明を発し、冷静で理性的な議論の継続を求めるものです。
私たちは、今後も、辺野古、大浦湾の自然環境の保全と平和の実現に向けた全ての良心的な取り組みを支持し、豊かな自然が次世代に引き継がれていくよう法と理性に基づいた社会的議論の深化に寄与していく決意です。
以 上