"バトロワ"をやりますスピンオフ TOUGH2外伝 DARK BOND 第四章

  • 1ポチェモブ26/03/13(金) 21:02:35
  • 2ポチェモブ26/03/13(金) 21:07:45

    前回までのあらすじ


    ユースケがドンキホーテと喧嘩別れした!俺は悲しいぜ!

  • 3二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 21:09:43

    愛子さんの元旦那とも似てるんだよね?

  • 4ポチェモブ26/03/13(金) 21:12:37

    ジャワティ町はフルコンタクト無法地帯、ドンキホーテが向かいそうな場所はとても見当がつかず中々見つからない


    (まさか極道やマフィアに捕まったんじゃないだろうな…ん…?)


    そんな中、電話に出ながら怒声を飛ばす極道らしき男が駆けていくのを見かける。


    「おい!〇〇ビルの屋上にありったけの兵隊寄越せや!フィクサー女がそこで暴れてるらしいわ!組の全員で始末したる…チャカでもドスでも何でもええから持ってはよこんかい!」




    >>3

    (風俗マニアはともかく元旦那は猿先生絶対意識してないと思うよ)

  • 5ポチェモブ26/03/13(金) 21:15:29

    (おいおい、いくらあいつでも銃持った奴らに囲まれたらひとたまりもないだろ…〇〇ビル…間に合うか…!?)


    一緒に戦ったからこそドンキホーテの強さは理解しているが、流石に多勢に無勢では危険なはず


    男の後を追ってユースケは〇〇ビルへと向かうのだった

  • 6二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 21:15:42

    早速暴れてるヤンケ

  • 7ポチェモブ26/03/13(金) 21:17:15

    ____________________


    『はぁ…はぁ…何という人海戦術!!!このドンキホーテがここまで追い詰められるとは…!』


    「ドンキホーテちゃんは根性だけはあるよね、根性だけはね。でもこの数には流石に一人で対抗するのは厳しいでしょ?」


    以前ドンキホーテに取引を潰された海外マフィア、ダーティホワイトがボロボロのドンキホーテを部下と共に取り囲む。


    ドンキホーテも連戦の疲れと予想以上の敵戦力に劣勢気味らしい

  • 8二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 21:17:24

    ユースケは優しいんだよね

  • 9ポチェモブ26/03/13(金) 21:21:46

    『私は諦めませぬ…このロシナンテが共にある限り正義のフィクサードンキホーテは戦い続けるのでござる!』


    「諦めが悪いね、頭が悪いとも言えるかな?そういえば噂を聞いたよ、君本当はドンキホーテじゃないんでしょ?記憶が無いからドンキホーテなんて言うヒーローの真似事してるんだってね。」


    『……違う、私はドンキホーテだ。』

  • 10二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 21:22:04

    カワウソ…

  • 11二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 21:23:36

    負けるんすか?

  • 12ポチェモブ26/03/13(金) 21:24:45

    「ほーら目の色が変わった、自覚してるんでしょ?自分はドンキホーテなんかじゃないって。俺には分かるよ…君は本当は空っぽなんだって。」


    『違う…違う違う違う…!私は…私には…!』



    「お前にコイツの何がわかるんだよ馬鹿野郎。」


    屋上のドアを蹴破って入ってきたのは、先程増援を呼ぼうとしたチンピラを引き摺り、気だるそうにホワイトを睨みつけるボロボロのユースケ。

    どうやら増援の相手をしていたら遅れてしまったらしい

  • 13二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 21:26:42

    王道の展開やん…

  • 14ポチェモブ26/03/13(金) 21:27:45

    『ユースケ殿…何故ここに…?』


    「俺も今は正義のフィクサー『骨切りユースケ』だからな。仲間を助けるのは当たり前だろ馬鹿が」


    「痛いフィクサー気取りがまた一人現れたね、どうして病院に行かずこんな所に来たの?」

  • 15ポチェモブ26/03/13(金) 21:31:17

    「病院に行くのはテメーらだぜ、俺は正義の味方だが…骨の2~3本は折れるの覚悟しろよ。ドンキホーテ!まだ戦えるよな!?」


    『は、はい!』


    「頼もしい味方だね、でも仲良く心臓を抜いて楽にしてあげるよ!!」


    vs ダーティ・ホワイト

  • 16二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 21:32:07

    まるでドン・キホーテがヒロインみたいでやんした…

  • 17ポチェモブ26/03/13(金) 21:35:15

    「骨抜きにしてやるぜ!!」


    『終わりだ悪党!!』


    「なんで…こんな奴らに俺が…!? 」


    ユースケの剛骨指斬で脱臼させられた挙句、ドンキホーテの一撃を受けたホワイトは無様に失神した。

    他のマフィア達は2人に恐れをなして散り散りに逃げていった。

  • 18ポチェモブ26/03/13(金) 21:37:06

    『……ごめんなさい。…あなたを私のくだらないエゴに巻き込んで…』


    「バーカ、そんなの気にしてねぇよ。それにな…あんなバカの言う事を鵜呑みにしてんじゃねぇぞ。」


    『だが……私はドンキホーテではない…ただその真似事をするしかない…からっぽな偽物…』

  • 19二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 21:38:31

    ボスきゃらじゃないと瞬殺できるんすね…

  • 20ポチェモブ26/03/13(金) 21:40:58

    「関係ねーよ、本物か偽物かなんてな。だいたい真似事の何が悪いんだって話だ。」


    『……なぜそう言い切れるのです?』


    「俺が実際そうだからな、樋口流剛骨術…これは俺が生み出したんじゃなくて親父やその親父…遠い昔のご先祖様が生み出したものを継承しただけだ。言い方を変えればずっと真似をしてるだけだな」




    >>19

    (サブストーリーはな…全部人力なんだ。戦闘描写まで詳しく書いたらワシの頭がバーストするんだよ)

  • 21ポチェモブ26/03/13(金) 21:45:07

    『………私はユースケ殿のように認められたわけではないし…これから認められる事もない。私がドンキホーテになれることは一生…』


    「そこで止まったら、確かにそうだな。お前は何者でもなくなるぜ。」


    『……………』


    「一日真似たら一日だけの真似、一ヶ月真似たら一ヶ月だけの真似。でもな…一生真似たらそれはもう本物って言えると思うぜ。どっかの武術家の言葉の受け売りだけどな。」

  • 22二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 21:46:51

    >ユースケ…見事やな

  • 23ポチェモブ26/03/13(金) 21:47:46

    『私が…ドンキホーテに…?』


    「誰も認めてくれないなら、俺が認めても良いぜ?今そうやってメソメソしてるより、誰かを助けて馬鹿みたいに笑ってるほうが…俺はずっとらしいと思うからな。」


    『………そう言ってもらえると、不思議と嬉しいでありまするな!!!』


    「へっ…やっと煩い声に戻ったな。」

  • 24ポチェモブ26/03/13(金) 21:51:28

    ________________


    『ユースケ殿、色々とご迷惑をおかけたことを謝らせてほしいでござる。ユースケ殿も悪党を追っている途中だというのに私は…!!!』


    「気にすんな、俺は俺の力で問題を解決するつもりだからよ。それに…お互い頼りになる『仲間』がいるもんな?」


    『…………ウム!このロシナンテと我が槍…そして共に歩んでくれる『仲間』がいる事をすっかり忘れていたで候!!!』

  • 25ポチェモブ26/03/13(金) 21:54:15

    「自信持って生きろよ、詳しい理由は聞かねぇが…お前のやってることは間違いじゃないぜ。じゃあな?」


    『ユースケ殿!また会える日を楽しみにしておりまする!!!行くぞロシナンテ!!!仲間の元へ!!!』


    心が少し軽くなったドンキホーテは、軽やかな足取りで仲間の元へと戻っていった。

    その瞳はまだ完全にではないが、光が戻ってるようにユースケは見えたという

  • 26二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 21:56:14

    おおっ原作メンバーいるのかぁ

  • 27ポチェモブ26/03/13(金) 21:58:12

    (へっ…煩い奴だったが、こういう町にはああいう正義のフィクサーが必要なのかもな。)


    (複雑な理由を持ってそうだが…お前が憧れる奴の真似を諦めなけりゃいつか本物になれるはずだ。俺も初心を忘れないようにしないとな…)


    (……………ん?それとは別になんか忘れてるような気が…あっ…)













    「…………遅いなぁユースケ。」


    サブストーリー4「正義のフィクサー参上!」END

  • 28ポチェモブ26/03/13(金) 22:03:13

    禁断の銀狼オチ"二度撃ち"
    それにしてもキツイエミュだったなポチェ海
    はい、実質2人分のキャラと普段の独特な古めかしい口調を再現するのはなかなか骨が折れた。
    シンクレア編と地続きにしようかと思ったけど、出番はなるべく均等にしたいから別物で分けさせてもらったのん。
    まぁドンキホーテの事はちょっと言及するからバランスは取れてるんだけどね。

  • 29ポチェモブ26/03/13(金) 22:07:44

    それじゃあそろそろ四章を開幕させてもらうのんゴロンヤメロオオオ

  • 30二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 22:11:07

    おおっ本編や!

  • 31ポチェモブ26/03/13(金) 22:12:11

    毒々しい赤と黒のネオンが窓の外で明滅する、青葉連合直参『万魔殿(パンデモニウム)』の豪奢な組長室。



    「キキキッ! 素晴らしい眺めだ! あの忌まわしい新藤組のガキッが、私の前でこうして縛り上げられているとはな!」


    革張りの最高級ソファにふんぞり返り、万魔殿のトップである羽沼マコトが下品な高笑いを上げていた。



    その視線の先、部屋の中央に置かれたパイプ椅子には、太いロープで手足をきつく拘束された神楽耶の姿があった。

  • 32ポチェモブ26/03/13(金) 22:14:55

    「……マコト議長、とでもお呼びすればよろしいですか。随分と趣味の悪いお部屋ですね」


    神楽耶は顔に少しの土埃をつけていたが、その瞳には微塵の恐怖も浮かんでいなかった。新藤組という家族を支える女としての凛とした矜持が、彼女の背筋をピンと伸ばさせている。


    「減らず口を叩く女だ! これ以上、お前たち新藤組やあの樋口ユースケが我々のビジネスを邪魔しないよう、たっぷりと『人質』として扱わせてもらうからな!」


    マコトの傍らで、鼻をギプスで固めた藤田剛三が「その通りですぅ! 泣いて命乞いすれば痛い思いはさせませんよぉ!」と虎の威を借る狐のように喚き立てる。

  • 33二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 22:16:42

    三下感凄いのん

  • 34ポチェモブ26/03/13(金) 22:19:40

    だが、神楽耶は冷たく藤田を一瞥すると、再び真っ直ぐにマコトを見据えた。


    「命乞いなどいたしません。……ユースケ様や力丸お兄様、そして皆が、必ず私を助けに来てくださいます。その時、泣いて命乞いをするのは貴方たちの方ですよ」


    「……ッ、強がりを!」


    マコトが苛立ちを露わにしたその時。ソファの背もたれから身を乗り出すようにして、若頭の花火が甘ったるい声を上げた。


    「ふふっ、神楽耶ちゃん強ーい。でもね、ユーちゃんたちが来る頃には、神楽耶ちゃんも『お薬』で最高にハッピーになっちゃってるかもしれないよ?」

  • 35ポチェモブ26/03/13(金) 22:21:33

    狂気を孕んだ無邪気な笑顔。神楽耶はその異常な気配に微かに眉をひそめ、ふと周囲を見回した。


    「……一緒に連れ去られたはずの、ボビーさんはどうしたのですか。まさか、彼に何か……」


    「ボビーのおじさん? ああ、あのガトリング持ったうるさい人ね!」


    花火は両手をパンッと合わせ、クスクスと笑いながら首を傾げた。


    「あの人は今、別の地下室で、うちの若い衆と『とっても痛いゲーム(拷問)』をして遊んでる最中だよ。お姉さんのところにも、後でたっぷり悲鳴を聞かせてあげるね」

  • 36ポチェモブ26/03/13(金) 22:24:10

    「……!」


    神楽耶は花火の言葉を聞いて、背筋に冷たいものが走るのを感じた。


    (……おかしい。この女の瞳……ボビーが『拷問を受けている』と言いながら、全くその光景を思い浮かべていない。何か、決定的な事実をはぐらかしている……?)


    神楽耶の女の勘が、強烈な違和感を警報として鳴らしていた。


    「チッ、つまらん女だ。藤田! こいつを地下の牢屋へ連れて行け。丁重にな」


    「は、はい! 承知いたしましたぁ!」


    マコトの命令で、藤田が神楽耶の拘束を解き、乱暴に腕を引いて組長室から連れ出していく。

    バタン、と重い扉が閉まり、部屋にはマコトと花火の二人だけが残された。

  • 37二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 22:24:19

    ポポパン?

  • 38二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 22:24:58

    やばいよこのままじゃ薄い本展開になっちゃうよ…

  • 39ポチェモブ26/03/13(金) 22:27:15

    「……おい、花火」


    マコトは先ほどの傲慢な態度を少し崩し、怪訝な顔で花火を振り返った。


    「実際、あの重機関銃のデカブツ(ボビー)はどうしたんだ? 拷問しているなどという報告は受けていないぞ」


    「んー? 内緒!」


    花火はソファの上でゴロゴロと転がりながら、ペロリと舌を出した。


    「マーちゃんには、後でとびきりの『サプライズ』を見せてあげるから。楽しみにしててね♡」


    「サプライズだと……? おい花火、誤魔化すな。ちゃんと私に教え――」


    マコトが問い詰めようと立ち上がった、まさにその瞬間だった。

  • 40二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 22:33:18

    誰が来たんだ

  • 41二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 22:33:44

    誰なんだ

  • 42ポチェモブ26/03/13(金) 22:36:06

    ドォォォォォンッ!!!


    ビル全体を揺るがすような、凄まじい爆発音と破壊音が、遥か下の階から響き渡った。


    「な、なんだッ!?」


    「ひゃあ! 地震!?」


    直後、組長室の重厚な両開き扉がバンッ! と蹴り破られ、血だらけになった青葉連合の組員が転がり込んできた。

    「ぎ、議長ォォッ!! た、大変ですッ!!」



    (この大変だぁっの画像探しに10分くらいかかったってネタじゃなかったんですか)

  • 43二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 22:38:34

    >>42

    ならポチェモブさんこれあげる…

    「大変だあっ」単体だから使いやすいよ

  • 44ポチェモブ26/03/13(金) 22:40:30

    「騒々しいぞ! 一体何事だ!」


    組員は恐怖に顔を歪め、ガチガチと歯の根を鳴らしながら、信じられない報告を叫んだ。


    「て、敵襲です!! 正面玄関から……新藤組の連中と、樋口ユースケ……! さらに、根花の火吹き男(アーソン)まで一緒になって、猛スピードでこの階に向かって突き進んできています!!」


    「――――な、なんだとォォォォッ!?」


    マコトの血の気が一気に引き、素っ頓狂な悲鳴が組長室に響き渡った。

    人質を取って余裕の防衛戦を決め込むつもりが、まさかこれほど早く、しかも真っ正面からカチ込んでくるとは夢にも思っていなかったのだ。



    >>43


    こういう汎用性の高い画像っていざ探そうとすると中々見つからないのが俺なんだよね、あざーすガシッ

  • 45ポチェモブ26/03/13(金) 22:45:00

    Lost Judgment OST Disc.2 - 13 Final Destination

    「どけェェェッ!! ぶっ殺されてぇ奴からかかってこい!!」


    青葉連合直参『万魔殿(パンデモニウム)』の巨大なエントランスホール。

    ユースケの怒号と共に放たれた『剛骨指斬』が、立ち塞がる組員の腕の骨を無慈悲に砕き割る。


    「ガァァッ……! ギ、ギギギ……ッ!!」


    だが、腕をあらぬ方向に曲げられた組員は、痛みに悶えながらも白目を剥き、再びゾンビのように立ち上がってきた。

    その瞳の奥には、異常な興奮状態を示す血走った赤い光が宿っている。新型ドラッグ『NTS』を過剰摂取した、狂気の兵隊たちだ。

  • 46二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 22:47:08

    やっぱり薬は怖いっすね

  • 47ポチェモブ26/03/13(金) 22:50:24

    「ヒャッハー! 殺せ、殺せェ!」


    「……風上にも置けぬ、腐った獣の臭いがするぞッ!」


    四方八方から群がるNTS漬けの組員たちを、谷垣がマチェーテの峰打ちと強烈な体当たりで次々と撥ね飛ばす。

    新藤力丸も、的確に急所を狙った銃撃で敵を無力化していくが、攻撃を受けても痛覚が麻痺している組員たちは、ゾンビ映画の群れのように際限なく這い上がってきた。


    「チッ……! 骨を折っても、脳がぶっ飛ぶまで向かってきやがる! まったく、どいつもこいつもイカれやがって……!」


    ユースケが忌々しそうに拳の血を振り払う。

  • 48二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 22:53:03

    怖いよー

  • 49二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 22:58:44

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  • 50ポチェモブ26/03/13(金) 22:59:01

    「……キリがねえな。クスリでリミッターを外しただけの操り人形どもめ」


    迫り来る組員の鉄パイプを、片手でいとも容易く受け止めた桐生一馬が、低く静かに呟いた。

    そのまま古牧流の体捌きで組員の顎を正確に打ち抜き、完全に意識を刈り取る。


    その隣では、アーソンが両手から紅蓮の炎を噴き上げていた。


    「イヤーッ! 薬の臭いを撒き散らすゴミども……私がすべて灰にしてやろう」


    カトン・ジツの熱波で組員たちを牽制しつつ、アーソンは背後のユースケたちを振り返った。

  • 51ポチェモブ26/03/13(金) 23:02:26

    「ユースケ=サン、リキマル=サン! ここは私と堂島の龍で引き受ける。貴方たちは、一刻も早く家族の救出を!」


    「……恩に着る! 桐生さん、アーソン、後で合流するぞ!」


    ユースケは短く頷くと、谷垣へと視線を向けた。


    「谷垣! 地下の牢屋へ行くぞ、神楽耶を助け出す!」


    「応ッ! 俺の命の輝き、今こそ見せつける時!」


    ユースケと谷垣が地下への階段へ向かって走り出す。

  • 52二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 23:02:34

    なんだかんだでタガの外れたヤク中集団相手に戦えてるのはすげぇんじゃねぇかと思ってんだ

  • 53ポチェモブ26/03/13(金) 23:04:40

    それを見送った力丸は、ネクタイを締め直し、氷のように冷たい瞳で上層階へと続くエレベーターホールを睨みつけた。


    「……神楽耶とボビーは二人に任せた。俺は、あのふざけた悪趣味な玉座にふんぞり返っている組長(マコト)の首を、直接引きずり下ろしてくる」


    力丸の背中が、静かな怒り気と共に上階へと消えていった。

  • 54ポチェモブ26/03/13(金) 23:09:59

    ユースケたちがそれぞれの目的地へ向かった直後。

    桐生とアーソンの前に、ひときわ異様な気配を放つ巨影が立ち塞がった。


    「「オオォォォォォッ!!」」


    身長2メートルを優に超える、筋肉の鎧を纏った二人の巨漢組員。

    極限までNTSを投与されているのか、その血管は異常に隆起し、理性を失った獣のような咆哮を上げている。


    「……随分とデカい的だな。アーソンと言ったか」


    桐生はネクタイを緩めながら、隣のニンジャ装束の男に声をかけた。


    「ハッ。……手はずは不要、キリュー=サン。私の炎に、遅れずに付いてこれるか?」


    「フッ。……誰に口を利いている」

  • 55二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 23:12:23

    突然ジャイアントベイビーが2体出てきて腹筋がバーストしたんだっ

  • 56ポチェモブ26/03/13(金) 23:15:22

    巨漢たちが、丸太のような腕を振り上げて同時に襲い掛かってきた。

    コンクリートの床が陥没するほどの凄まじい踏み込み。


    だが。


    「……遅い」


    桐生が瞬時に前傾姿勢を取り、右の巨漢の懐へ滑り込む。

    巨漢の豪腕が振り下ろされるより早く、桐生の拳が下から天を衝くように突き上げられた。


    伝説のカウンター、古牧流『虎落とし』。


    ズドォォォォンッ!!


    「オゥッ!?」


    内臓を破裂させるような衝撃音と共に、右の巨漢の巨体が「くの字」に折れ曲がり、宙に浮く。

  • 57ポチェモブ26/03/13(金) 23:18:41

    その完全な隙を見逃さず、アーソンが桐生の広い背中を跳び箱のようにして足場にし、軽やかに宙を舞った。


    「カトン・ジツ…『ジゴク・グルマ』!!…イヤーッ!!」


    空中で独楽のように回転しながら、紅蓮の炎を纏ったアーソンの踵落としが、左の巨漢の脳天、そして吹き飛んできた右の巨漢の顎へ同時に炸裂する。


    ドガァァァァァァッ!!

    炎の爆発と共に、NTSで強化されていたはずの二人の巨漢は、一瞬の抵抗すら許されずに白目を剥き、轟音を立てて床に沈んだ。

  • 58バトロワを継ぎすぎた者◆nYZ0za1ZFM26/03/13(金) 23:20:21

    ようやく追いついたーよ サブストも本編も面白いッスね……ガチでね
    ダーホワとジャイアントベイビーの登場かぁ 草を生やさずにいるのは至難の業だ

  • 59ポチェモブ26/03/13(金) 23:23:10

    即席のコンビとは思えない、ニンジャと極道の完璧すぎる連携攻撃。


    そのあまりにも次元の違う実力差に、群がっていた他の組員たちの足が、恐怖でピタリと止まる。


    「……さあ、次は誰だ。死にてえ奴から前に出ろ」


    桐生が拳を鳴らし、アーソンが炎を揺らめかせる。

    万魔殿のエントランスホールは、二人の圧倒的な強者によって完全に制圧されていた。



    >>58

    あざーすガシッ

    ワシもこれが一段落ついたら四国志K国編を見させてもらいますよククク…

  • 60ポチェモブ26/03/13(金) 23:27:16

    ――万魔殿、最上階・組長室。


    「ひぃぃ……! な、なぜ奴らがここまで……! 警備の者どもは何をしているッ!」


    迫りくる怒号と破壊音に、羽沼マコトは完全にパニックに陥り、組長室の中を右往左往していた。

    そんなマコトを他所に、若頭の花火は鼻歌交じりに立ち上がると、ふわりとマコトの頬に手を添えた。


    「大丈夫だよ、マーちゃん。花火がちゃーんと、ぜぇんぶ解決してあげる」


    「は、花火……お前、どこへ行く気だ! 私を一人にするな!」


    「すぐに戻ってくるから。必ず助けるから、ここでいい子に待っててね?」


    花火は妖しく微笑むと、マコトの制止を振り切り、組長室の奥にある隠し扉へとまるで幻のように姿を消してしまった。

  • 61ポチェモブ26/03/13(金) 23:30:05

    「待てッ、花火……!」


    マコトが手を伸ばした、まさにその瞬間。

    ガンッ!! と重厚な扉が蹴り開けられ、冷たい殺気を纏った一人の男が部屋に足を踏み入れた。


    新藤組組長、新藤力丸だ。


    力丸は乱れたネクタイを片手で直し、もう一方の手で愛用の拳銃を真っ直ぐにマコトの眉間へと突きつけた。



    「……随分と静かだな。お遊戯の時間は終わりだ、万魔殿(パンデモニウム)のトップさんよ」


    「ヒィッ……!」


    銃口を向けられ、マコトは恐怖に顔を引き攣らせた。

  • 62二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 23:33:41

    弱き者…

  • 63ポチェモブ26/03/13(金) 23:34:26

    だが、次の瞬間、彼女はギリッと血が出るほど唇を噛み締め、震える足に無理やり力を込めて立ち上がった。


    (……私は、マコト議長だ! 万魔殿のトップとして、こんな所で情けない姿を晒してたまるか……!)


    マコトはデスクの下から、自身の身の丈ほどもある巨大な対物スナイパーライフルを乱暴に引きずり出した。銃身に『唯我独尊』と悪趣味な装飾が施された、彼女の専用武器だ。


    (銃を構えてる画像がこれくらいしか無かった…マコト師匠だ)

  • 64ポチェモブ26/03/13(金) 23:40:29

    「……舐めるなよ、新藤組の小童が! この私が直々に、その脳天をぶち抜いてやる!!」


    至近距離で、拳銃と巨大なスナイパーライフルが交錯する。

    冷徹な人情派ヤクザと、虚勢を張る悪の総帥。二人のトップによる、一触即発の銃撃戦の幕が切って落とされた!



    Kiwami 2 Update with Gunfire

    青葉連合直参 万魔殿 議長

    羽沼 マコト

  • 65ポチェモブ26/03/13(金) 23:45:23

    ――同時刻。万魔殿の地下牢。


    薄暗く湿ったコンクリートの部屋で、藤田剛三はガタガタと全身を震わせていた。


    通路の奥から、確実にこちらへと近づいてくる凄まじい打撃音と、仲間の悲鳴。あの『骨切り』と『マタギ』のバケモノ二人が、すぐそこまで迫っているのだ。


    「ひぃぃぃ……! こ、殺される……鼻骨だけじゃなく、全身の骨をへし折られてしまうぅぅ!」


    パニックになった藤田は、パイプ椅子に縛られていた神楽耶の拘束を乱暴に解き、彼女を盾にして逃げ出そうと企んだ。

  • 66二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 23:46:26

    どこまでクズなんだてめえは

  • 67二次元好きの匿名さん26/03/13(金) 23:46:27

    >>65

    無様過ぎる…無様さの次元が違う

  • 68ポチェモブ26/03/13(金) 23:48:48

    「あ、あなたは人質だ! 樋口ユースケ達が来たら、大人しく盾になりなさい!」


    だが、乱暴に腕を掴まれた神楽耶は、悲鳴を上げることもなく、ただ静かに、慈愛に満ちた瞳で藤田を見つめ返した。


    「……あなたが無事にここから逃げられるのなら、私は抵抗いたしません」


    「え……?」


    「手が、ひどく震えていますよ。……貴方は、本当は心優しい人なのでしょう?」


    神楽耶のその幼くも凛とした瞳と、どこまでも温かい言葉。

    藤田は雷に打たれたように硬直した。

  • 69ポチェモブ26/03/13(金) 23:50:59

    その瞳の奥に、かつて自分がヤクザの世界に足を踏み入れる前……どうしようもない理由で手放し、捨ててしまった愛する妻と、息子の顔がフラッシュバックする。











    (私は……こんな優しい少女を盾にしてまで、みっともなく生き延びたいのか……?)

  • 70ポチェモブ26/03/13(金) 23:54:13

    「そこを離れろ、鼻ギプス野郎ォォッ!!」


    鉄格子が吹き飛び、ついにユースケと谷垣が地下牢へと雪崩れ込んできた。

    ユースケが怒りのままに剛骨術の構えを取る。


    だが。


    藤田は、神楽耶を盾にするどころか、そっと彼女の背中を押し、ユースケたちの方へ向けて優しく解放したのだ。


    「……神楽耶! 無事か!」


    「ユースケ様、谷垣さん……! 私は無事です。彼が……」


    ユースケは戸惑いながらも神楽耶を背後に庇い、藤田を睨みつけた。

  • 71ポチェモブ26/03/13(金) 23:56:44

    「……何の真似だ。命乞いなら聞かねえぞ」


    「……命乞いなんて、する気はありませんよ」


    藤田は鼻のギプスを自らの手で乱暴にむしり取り、床に放り捨てた。


    丸腰のまま、ゆっくりとユースケに向き直る。その顔から、先ほどまでの怯えた三下ヤクザの面影は完全に消え失せていた。


    「私は、本当に大切なものを捨てて、こんな腐った道に堕ちた。……彼女の目を見たら、そんな自分への『ケジメ』くらいは、男としてつけなきゃならないって思い出しただけです」


    藤田は両足を肩幅に開き、深く重心を落とす。

  • 72ポチェモブ26/03/14(土) 00:01:27

    それは、かつて彼が裏社会に染まる前、純粋な強さを求めて鍛え抜いた『全盛期の気迫』を纏った、洗練された構えだった。


    その構えを見た瞬間、ユースケの口角が自然と吊り上がった。


    「……へっ。最初からそういう顔付きでかかってくりゃよかったんだよ。最高にいいツラ構えじゃねえか、おっさん。」


    「……行きますよ、樋口ユースケ。人生が掛かった男は…強いですよ!」


    己の過去と決別するための拳と、愛する者を守り抜くための拳。

    狭い地下牢で、漢と漢の真っ向勝負が幕を開けた!



    泪なき叙情

    日本柔道界の至宝

    藤田 剛三

  • 73二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 00:02:50

    な…なんや藤田が急にカッコよくなっていく…(ギュンギュン

  • 74二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 00:03:10

    見事な物語構成やな……ニコッ

  • 75ポチェモブ26/03/14(土) 00:07:58

    ズドォォォォォンッ!!

    万魔殿の組長室に、大砲のような轟音が木霊した。

    羽沼マコトの放った対物スナイパーライフル『唯我独尊』の一撃が、新藤力丸が盾にしていた最高級の革張りソファを、綿と木端に変えて豪快に吹き飛ばす。


    「キキキッ! どうした新藤組の小童! 隠れてばかりで怖気づいたか!」


    マコトは自身の身の丈ほどもある銃を構え直し、傲岸不遜な笑い声を上げた。


    「このマコト様の超火力の前には、そんな豆鉄砲など無意味だ! 穴だらけのチーズになりたくなければ、さっさとひれ伏して命乞いをするんだな!」


    >>73

    >>74

    如くシリーズマジックよ、情けないボスキャラが終盤覚悟を決めて専用BGMを引っ提げて再戦する技がいくつかある

  • 76ポチェモブ26/03/14(土) 00:10:10

    「……威勢がいいのは結構だが、大砲を振り回すにはこの部屋は狭すぎるな」


    粉塵が舞う中、別の遮蔽物に身を隠した力丸が、冷静な声で返す。


    (一発でも掠れば即死の威力……だが、あんな長物、この至近距離での連射は利かないはずだ)


    力丸は弾倉の残弾と、マコトのコッキングの隙を脳内で冷静に計算していた。

    ただ隠れているだけではジリ貧だ。膠着状態を打破するため、力丸は拳銃のグリップを強く握り直した。


    「……ここだろッ!」


    力丸はフェイント気味に、自ら遮蔽物を蹴って完全に射線上へと飛び出した。

  • 77ポチェモブ26/03/14(土) 00:13:01

    「馬鹿め、自ら的になりに出てくるとはな! 消し飛べ!」


    マコトが勝利を確信し、『唯我独尊』の引き金に指をかけた、まさにその瞬間。


    パーンッ!!


    力丸の放った銃弾は、マコトの身体ではなく――彼女が構えていた巨大なスナイパーライフルの『銃身』へと正確に撃ち込まれた。


    「なッ……!?」


    火花が散り、強烈な物理的衝撃が銃身を弾き上げる。マコトの放った凶弾は力丸の頭上を大きく逸れ、背後の壁に風穴を開けた。

    完全に体勢を崩し、無防備になったマコト。

  • 78ポチェモブ26/03/14(土) 00:15:40

    「貰ったぜ、議長さんよ!」


    力丸はそのままの勢いで距離を詰め、捨て身のタックルでマコトの華奢な身体を壁へと激しく叩きつけた。

    ドンッ! と鈍い音が響き、マコトの手から『唯我独尊』が滑り落ちる。


    「ガハッ……! き、貴様……!」


    「大人しく投降しろ。……これ以上動けば、本当に脳天をぶち抜くぞ」


    冷え切った声音と共に、力丸の拳銃の冷たい銃口が、マコトの額にピタリと押し当てられた。

    圧倒的な死の気配を前に、さしもの悪の総帥も顔を青ざめさせ、屈辱に唇を噛み締めることしかできなかった。

  • 79ポチェモブ26/03/14(土) 00:19:04

    一方、その頃。

    万魔殿の地下牢では、息を呑むような肉弾戦が繰り広げられていた。


    「はぁっ……!!」


    藤田剛三が、滑るような足捌きでユースケの懐に飛び込む。

    その手首の返し、重心の移動、そして相手の衣服や腕を的確に掴む恐るべきスピード。


    「……なんだあの動きは」


    傍らで神楽耶を守りながら戦況を見つめていた谷垣は、驚愕に目を見開いた。


    「以前戦った時の、あの姑息で逃げ腰だった三下とはまるで別人のような気迫……。過去の栄光と誇りを取り戻した漢の姿に、俺の胸の奥が猛烈に勃起している……ッ!」

  • 80ポチェモブ26/03/14(土) 00:21:53

    「私とて、かつては日本柔道界の至宝と呼ばれた男……! 伊達に金メダルは獲っていませんよ!」


    藤田がユースケの道着の襟を深く掴み、引き崩しにかかる。


    「君をここで投げ飛ばし、私の過去に……生活に追われ、家族を失い、堕落しきった私自身に! ケジメをつけさせてもらいますよ!」


    「へっ、上等だぜ…来いよおっさん!」


    ユースケはあえてその力に逆らわず、真っ向から藤田の「攻めの柔道」を受け止めた。


    「ハァァァァッ!!」


    藤田の全盛期を思わせる、完璧なフォームからの豪快な大外刈り。

    ユースケの身体が宙に浮き、コンクリートの床へと脳天から叩きつけられそうになる。

  • 81ポチェモブ26/03/14(土) 00:26:52

    だが。


    「……悪いな。俺の骨は、そう簡単には砕けねえぞ」


    ユースケは空中で身体を捻り、完璧な『受け身』をとって落下の衝撃を殺した。

    そして、床に背中がつく一瞬の隙。自分を投げ切って腕を伸ばした状態にある藤田の関節を、下から絡め取るようにして両手でホールドした。


    「な……ッ!?」


    「ヒグチ流……『剛骨指斬』!!」


    ペキリッ!!


    「グアァァァァッ!!?」


    乾いた音と共に、藤田の腕の関節が意図も容易く外され、その動きが完全に封じられる。


    「……トドメだ、馬鹿野郎!!」


    受け身の反動を利用してバネのように跳ね起きたユースケが、無防備になった藤田の腹部へ向け、全身の捻りを加えた渾身の右ストレートを深々と突き刺した。

  • 82二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 00:27:44

    関節技使い相手に関節技で決めるのはタフあるあるだよねパパ

  • 83ポチェモブ26/03/14(土) 00:29:49

    「ガ、は……ッ」


    藤田の身体が「くの字」に折れ曲がり、数歩後ずさった後、ドサリと仰向けに倒れ込んだ。



    「……ハァ、ハァ……」


    ユースケは拳を握り締め、荒い息を吐きながら藤田を見下ろす。

    床に倒れた藤田は、外された腕と腹部の激痛に顔を歪めながらも……なぜか、憑き物が落ちたような、ひどく晴れやかで満足そうな笑みを浮かべていた。


    「……見事、ですね……樋口、ユースケ、くん……。君の……勝ち、だ……」


    「……ああ。アンタも、最高に強かったぜ。元・金メダリスト」


    藤田の意識が途切れ、地下牢に静寂が戻る。

    ユースケは倒れた男の気迫に敬意を払うように、静かにその場に立ち尽くしていた。

  • 84ポチェモブ26/03/14(土) 00:35:24

    ムフフ…今日はここまで。
    なあ春草、藤田二戦目は最初構想になかったって本当か?
    ああ、本当はマコト戦だけの予定だったけどユースケVSマコトだと流石に釣り合ってないからリキちゃんとのマッチアップにして、代わりに藤田のカッコいい出番を増やしたかった思いつきのカーニバルだぜ。

  • 85二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 00:45:30

    オツカレーッ こういうの見せられるとやっぱりあの時藤田の画像を追加で探して感想待機スレに貼ってよかったって気持ちになるよねパパ

  • 86二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 03:22:09

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 10:19:24

    やばっ歴代藤田史上最高の活躍だよ多分

  • 88ポチェモブ26/03/14(土) 17:03:16

    昼食を食いながら再開するのんゴロンヤメロオオオ


    「……クソッ! こっちの部屋にもいねえぞ!」


    万魔殿の地下牢周辺。藤田を沈めた後、ユースケたちは手分けして他の地下室を虱潰しに探し回っていたが、どこにもバルカン・ボビーの姿はなかった。

    拷問の痕跡はおろか、彼がこの地下に連れ込まれた形跡すら見当たらない。


    「おかしいな。ボビーほどの巨漢がいれば、どんなに隠しても嫌でも気配が勃起して伝わってくるはずだが……」


    谷垣がマチェーテを収めながら首を傾げる。

  • 89ポチェモブ26/03/14(土) 17:05:43

    神楽耶は眉をひそめ、静かに呟いた。



    「……やはり。あの花火という女性、ボビーさんの居場所を尋ねた時、決定的なことをはぐらかしていましたわ」


    そこへ、ユースケのインカムに力丸からの通信が入った。


    『ユースケ、神楽耶の救出は済んだか? 桐生さんたちがエントランスを完全に制圧した。マコトの身柄も俺が押さえている。全員、最上階の組長室に集合だ』


    数分後。

    破壊された扉を越え、万魔殿の組長室に新藤組の一行とユースケ、桐生、アーソンが集結した。

  • 90ポチェモブ26/03/14(土) 17:08:23

    部屋の中央では、羽沼マコトが床に座らされ、その後ろに立つ力丸から銃口を突きつけられていた。


    「……神楽耶。無事で本当によかった」


    「ご心配をおかけしました、力丸お兄様」


    力丸と神楽耶が短く視線を交わし、無事を確認し合う。


    「おい、議長さんよ。単刀直入に聞くぜ」

    ユースケがマコトの前にしゃがみ込み、鋭い眼光で睨みつけた。



    「一緒に連れ去られたはずの、ボビーはどこにいる? 地下にはいなかったぞ」


    「……知るか! ボビーとかいう男の扱いは、すべて花火に一任していたんだ! 私は本当に何も知らん!」


    マコトは恐怖に肩を震わせながらも、必死に声を荒げた。

  • 91ポチェモブ26/03/14(土) 17:11:22

    「嘘をつくな。若頭が何をしてるか、トップのお前が知らないわけないだろ」


    力丸が銃口をマコトの側頭部に押し当てる。


    「ひぃッ……! ほ、本当だ! だが、花火は……花火は必ず私を助けに来る! あいつは私を見捨てたりしない!」


    マコトは銃を突きつけられながらも、すがるような目で周囲を見回した。


    「あいつはいつも私を助けてくれた! この万魔殿を大きくしてくれたのも花火だ! あいつは絶対に……ッ!」

  • 92ポチェモブ26/03/14(土) 17:13:57

    「馬鹿か、お前は」


    ユースケが冷たく吐き捨てた。


    「お前、完全にあの小娘に騙されてるんだよ。あいつはルアンって女と一緒に、裏でバロックと繋がってやがるんだぜ。お前たち万魔殿は、ただ『NTS』をバラ撒くための都合のいい道具として利用されてただけだ」


    その冷酷な真実を突きつけられ、マコトの瞳からポロポロと大粒の涙が溢れ出した。


    「……そんなこと、どうでもいい!」

    マコトは子供のように顔をくしゃくしゃにして叫んだ。


    「私が利用されていようが、なんだろうが……! 誰も私を認めてくれなかった時、この私を『議長』として押し上げてくれたのはあいつだけだったんだ! 私には……あいつしかいないんだよぉ……!」


    悪の総帥の仮面が剥がれ落ち、ただ一人の少女としての孤独と、花火への盲目的な依存が露わになる。

  • 93ポチェモブ26/03/14(土) 17:17:31

    その痛々しい姿に、ユースケや力丸が言葉を失いかけた時。


    「……マコトさん、とおっしゃいましたね」


    神楽耶が静かに歩み寄り、マコトの目の前にふわりと膝をついた。

    そして、マコトの頬の涙を、自らのハンカチで優しく拭ったのだ。


    「な……何を……」


    「……それほどまでに、貴方にとって大切な方なのですね。信じたいというお気持ち、痛いほど分かりますわ」


    神楽耶の慈愛に満ちた微笑みに、マコトは呆然と瞬きをする。


    「ならば、わたくしたちと一緒に、花火さんに会いに行きましょう。彼女の口から、直接真実を聞き出せばよいのですわ」

  • 94ポチェモブ26/03/14(土) 17:20:16

    「……神楽耶。お前を攫った敵のトップだぞ」


    力丸が窘めようとするが、神楽耶は「構いません」と首を振った。


    マコトは神楽耶の温かい手に触れ、グシグシと乱暴に涙を拭った。


    「……か、勘違いするな。私は、ただ花火を信じたいだけだ……! お前たちに一時的に協力してやるだけで、屈したわけではないからな!」


    強がりながらも、マコトはコクリと頷き、ユースケたちとの一時的な共闘を受け入れた。

  • 95ポチェモブ26/03/14(土) 17:25:03

    ――その直後だった。

    ユースケのポケットの中で、スマートフォンが震えた。

    画面には『ギレーヌ』の名前が表示されている。


    「……俺だ。どうしたギレーヌ」


    『ユースケ、私だ。……コーンブルメが意識を取り戻した。貴様に直接、話したいことがあるそうだ』


    「アイツが……!」


    その言葉に、ユースケだけでなく周囲の空気もピンと張り詰める。

    通話が切り替わり、電話の向こうから、弱々しいが確かなコーンブルメのくぐもった声が聞こえてきた。

  • 96ポチェモブ26/03/14(土) 17:28:06

    『……樋口ユースケくん。……聞こえるかな?』


    「ああ。無事でよかったぜ。……言ってた『もう一人の内通者』のことか?」



    『ええ。……私の耳(盗聴網)が拾った、決定的な証拠。今、貴方の端末に画像データを送ったよ……』


    ピロン、とスマホに通知音が鳴る。

    ユースケが通話をつないだまま、送られてきたその写真のファイルを開く。


    「なんだ、こりゃ……」


    ユースケの目が、限界まで見開かれた。

  • 97ポチェモブ26/03/14(土) 17:31:42

    隣から画面を覗き込んだ力丸と谷垣も、一瞬、呼吸を忘れたように硬直する。


    暗い路地裏を捉えた、監視カメラの粗い隠し撮り写真。

    そこに写っていたのは、満面の笑みを浮かべて何かを手渡す『花火』の姿。


    そして、その花火と密会し、親しげに言葉を交わしている大柄な男の背中は――









    紛れもなく、彼らが血眼になって探していた『バルカン・ボビー』だった。








    「……嘘、だろ。ボビーが……花火と……?」


    ユースケの震える声が、組長室の静寂の中に、ひどく冷たく響き渡った。

  • 98ポチェモブ26/03/14(土) 17:36:20

    スマホの画面に映し出された、薄暗い路地裏での密会写真。

    その決定的な証拠を前に、万魔殿の組長室は凍りついたような静寂に包まれていた。



    『……その写真は、貴方たちが亜仁満町に潜入する数日前に、私の「耳(監視網)」が偶然拾った光景だよ。……見ての通り、ボビーは花火と接触し、何かの取引をしていたみたいだね』


    スピーカー越しに響く、コーンブルメの優しくも残酷な報告。


    「……そんな、馬鹿な」


    力丸はギリッと奥歯を噛み締め、持っていた拳銃のグリップをミシミシと鳴らした。


    ユースケもまた、スマホを持つ手をワナワナと震わせている。


    「……あいつが、俺たちを売ったっていうのか……!?」

  • 99ポチェモブ26/03/14(土) 17:38:47

    その事実を最も重く受け止めたのは、誰よりもボビーと行動を共にし、背中を預け合ってきた谷垣だった。


    「……カジノで俺たちの動きが筒抜けだったのも、ルアン以外に……あいつが情報を流していたからか」


    谷垣はマチェーテを取り落とし、茫然自失となって膝をついた。


    「……弟分だったボビーが、内通者……。俺の、猛烈に勃起していた命の輝きが……根元から萎れていくようだ……」

  • 100ポチェモブ26/03/14(土) 17:42:05

    ショックに打ちひしがれる谷垣の横で、ユースケの脳裏に最悪の可能性が閃いた。


    「待てよ……!!」


    ユースケは血走った目で立ち上がり、叫んだ。


    「まさか、マストモを殺した『黒いレインコートの男』も、ボビーの野郎じゃねえだろうな!? あいつのデカい体格なら……ッ!」


    裏切り者への怒りが、ユースケの思考を強引にマストモの仇へと結びつけようとする。


    だが、その暴走を冷静に止めたのはアーソンだった。


    「……落ち着け、ユースケ=サン。それはあり得ない」


    アーソンは首を静かに横に振った。

  • 101ポチェモブ26/03/14(土) 17:44:36

    「あの夜、私達がレインコートの男を目撃した時刻……。ボビー=サンは新藤組と共に、別の場所に居たはずだ。彼には完全なアリバイがある。」


    「……ッ!」


    「それに、レインコートの男のあの異常な身のこなしは、重火器を扱う彼のバトル・スタイルとは全く異なる。……彼はマストモ=サンの仇ではない」


    アーソンの理路整然とした指摘に、ユースケはハッとして拳を強く握り込み、やり場のない怒りに奥歯を噛み鳴らした。


    「……どちらにせよ、ボビーが花火と通じている事実は揺るがねえ」


    重苦しい空気を切り裂くように、桐生一馬が低く落ち着いた声で口を開いた。

  • 102ポチェモブ26/03/14(土) 17:47:55

    (中途半端だけどここで中断すルと申します、今日の夜も更新予定だけど殆ど会話パートになりそうなんだよね)

  • 103二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 18:23:42

    前から予想されてたけど 実際明らかになるときついっスね…

  • 104二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 18:44:38

    なにっ

  • 105二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 18:55:13

    >>103

    兄貴分の谷垣がとっても可哀想なのんな

  • 106ポチェモブ26/03/14(土) 22:35:27

    再開するのん

    4章の終わりにはラスボスもわかる…と思う。



    「落ち込むのは後だ。今は、奴の足取りを追うのが先決だ。……銀狼、聞こえているか。奴の動きを追えねえか」


    桐生がインカムに向かって呼びかけると、すぐに凄まじいタイピング音と共に銀狼の声が返ってきた。


    『……オッケー、ちょっと待って。邪羽帝町中の監視カメラのログをサルベージしてる。……お、ビンゴ』


    銀狼の声色が、少しだけトーンダウンする。


    『……見つけた。邪羽帝町から少し離れた工業地帯の映像。バルカンを持ったデカい男が、たった今、ある施設の中に入っていくのが映ってるよ』

  • 107二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 22:37:35

    えっ裏切ったんすか?

  • 108ポチェモブ26/03/14(土) 22:40:14

    「どこだ、そこは!」


    力丸が鋭く問い詰める。

    『……そこはね、「闘神」のスパーリング用ロボット……「トダー」の製造工場だよ。完全にバロックのテリトリーだね』


    「なんだと……!?」

    その報告を聞き、ユースケはすべての点と線が最悪の形で繋がったことを確信した。


    「ボビーの野郎……! 万魔殿の花火だけじゃなく、あのバロックとも繋がってやがったのか。……いや、ルアンも含め、すべてはあのイカれた格闘大会『HBR(ハイパー・バトル・リボーン)』の復活に噛んでやがるんだ……!」

  • 109ポチェモブ26/03/14(土) 22:45:02

    なぜ、ボビーは新藤組を裏切ったのか。

    なぜ、あの非合法大会に関わろうとしているのか。


    「……行くぞ」

    ユースケは床に落ちていた谷垣のマチェーテを拾い上げ、茫然とする谷垣の胸へと力強く押し付けた。


    「萎れてる暇はねえぞ、マタギ! 弟分のケツを蹴り上げて、直接その口から真意を吐かせるんだよ!」


    「……ユースケ」


    谷垣はマチェーテを握り直し、ゆっくりと立ち上がった。その瞳に、再び太く熱い光が宿る。


    「……ああ。そうだな。俺のこの手で、あいつの目を覚まさせてやる……!」


    裏切りの真相と『HBR』の闇を暴くため、ユースケたちは次なる決戦の地、トダー製造工場へと向かう決意を固めた。

  • 110ポチェモブ26/03/14(土) 22:49:33

    「……二手に分かれるぞ」

    万魔殿の組長室。決意を固めたユースケが、集まった面々を見回して口を開いた。



    「俺と谷垣、新藤。それから……花火を追う議長さん(マコト)で、ボビーが消えた『トダー』の製造工場にカチ込む。病院からギレーヌとデカの姉ちゃん(可奈美)も合流する手はずだ」


    ユースケは桐生とアーソンへと視線を移す。


    「桐生さん、アーソン。それに神楽耶とネイ、銀狼は……このままアジトで、バロックの正体と『HBR』に関する情報の洗い出しを頼めるか?特に桐生さんとアーソンには神楽耶達が狙われた時に守ってやってほしい。」


    「ああ、ここは俺たちに任せろ。……背中には気をつけるんだな、ユースケ」


    桐生が静かに頷く。

  • 111二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 22:52:58

    おそらく逆スパイだ

  • 112ポチェモブ26/03/14(土) 22:53:19

    「承知した。……ついでにそこの気絶している男(藤田)も、回収しておこう。情報源になるかもしれぬ」


    アーソンが、倒れている藤田の襟首をヒョイと片手で持ち上げる。


    こうして一行は、それぞれの戦いの場へと向けて動き出した。

  • 113ポチェモブ26/03/14(土) 22:56:08

    ――邪羽帝町のネオンを抜け、郊外の工業地帯へと向かう夜のハイウェイ。

    新藤組の黒い大型バンが、排気音を響かせて疾走していた。


    ハンドルを握るのは力丸。助手席にはユースケ。


    後部座席には、マチェーテを抱えて静かに闘志を燃やす谷垣と、「キキキッ! 狭いぞ、もっと端に寄らんか!」と文句を垂れるマコト。


    そして、合流を果たしたギレーヌと可奈美が座っていた。


    「騒ぐな、議長とやら。私の木刀のサビになりたいのか?」


    「マコトさん、シートベルトはしっかり締めてくださいね」


    ギレーヌが腕を組みながら凄み、可奈美が宥めるようにマコトのベルトを引っ張る。

  • 114二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 22:57:27

    ほう美少女軍団か

  • 115ポチェモブ26/03/14(土) 23:00:56

    車内が奇妙な呉越同舟の空気に包まれていた、その時。

    ユースケのスマートフォンが着信を告げた。画面には『マッチィ真吾』の名前がある。



    「俺だ。……どうした、プロモーター」


    『こんばんは、ユースケくん。……夜分遅くにすまないにゃあ。僕独自のルートと警察の可奈美ちゃん、あとお仲間の銀狼ちゃんのバックアップもあって、バロックの過去について徹底的に調べた結果……とびきり面白いものに辿り着いたんだにゃあ』


    マッチィのねっとりとした、しかしどこか焦燥感を孕んだ声。


    『まず近藤"バロック"陽介という人間は…10数年前に米国で亡くなってるんだにゃあ。身寄りのない日系アメリカ人の彼の戸籍を奪って、『今の』バロックが名乗ってるんだろうにゃあ』


    「どうりで情報もクソもなかったわけだ…だったら今のバロックは何者なんだ?」

  • 116二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 23:03:02

    ま…まさかガンビーノ?

  • 117ポチェモブ26/03/14(土) 23:07:13

    『………今から贈る写真は、とある家で働いていた家政婦が大切に保管していたものらしいのにゃ。僕の持ってるツテを可能な限り使って手に入れられたのが…この一枚だけなんだにゃあ』


    直後、ユースケのスマホに一枚の画像データが送信されてきた。


    「なんだ、こりゃ……」


    ユースケが画面を開くと、そこにはひどく色褪せた、古い外国の写真が写し出されていた。

    マフィアのボスの部屋のような豪奢な背景。穏やかな笑顔を浮かべた外人男性が三人、肩を並べて写っている。

    (画像はイメージなのん)

  • 118ポチェモブ26/03/14(土) 23:09:49

    「……おい、新藤。真ん中に写ってるこの若い男……」


    ユースケがスマホの画面を力丸に向ける。


    「少し若いが、ウェーブのかかった髪と……この不気味な作り笑い。どう見ても『闘神』のCEO、バロックの野郎にそっくりだぜ」


    「……確かに。顔の作りが完全に一致しているな」


    力丸が鋭い視線を向け、眉をひそめた。

    その時、後部座席から身を乗り出してきた谷垣が、スマホの画面を覗き込み……息を呑んだ。


    「……間違いない。この写真……」


    谷垣の太い指が、写真の中で若き日のバロックを両脇から挟むように立っている、二人の男たちを指差した。

  • 119二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 23:11:44

    他の二人は誰なんだ

  • 120ポチェモブ26/03/14(土) 23:13:27

    「俺は、こいつらの顔を知っている。……過去に、非合法の地下格闘技大会『ハイパー・バトル』を牛耳っていた絶対的支配者…『ガンビーノ兄弟』だ」


    「なッ……! ガンビーノ兄弟だと!?」


    ユースケが驚愕の声を上げる。

    その事実を聞いた瞬間、運転席の力丸の脳内で、バラバラだったすべてのパズルのピースが「カチリ」と音を立ててはまった。


    「……そういうことか。ガンビーノ兄弟は確か、十数年前に破滅して投獄されたはずだ。だが、もし逃げ延びていた『血縁者』がいたとすれば……」


    力丸は前方の暗いハイウェイを睨みつけながら、確信に満ちた声で推理を口にした。















    「近藤バロック陽介の正体……。奴はただのCEOじゃない。あのガンビーノ兄弟の、実の『弟』なんだ……!」

  • 121二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 23:14:47

    あうっ 予想していたとはいえマジでガンビーノ兄弟その3だったのかあっ

  • 122ポチェモブ26/03/14(土) 23:15:53

    車内に戦慄が走る。


    「……へっ。なるほどな」

    ユースケがギリッと奥歯を噛み鳴らし、凶悪な笑みを浮かべた。


    「だからこそ、奴は『HBR(ハイパー・バトル・リボーン)』を復活させるための『看板』になれたってわけだ。実の弟なら、海外のスポンサー共も納得するわな」


    すべては数年前から仕組まれていた。

    ルアンがNTSを開発し、花火が流通させ、バロックが闘神を使って実験と大会の準備を進める。そして、その過程でボビーまでもが奴らの闇に引きずり込まれた。


    「……全貌は見えたぜ。あとは、あのイカれた兄弟の生き残りを、俺の剛骨術でぶっ壊すだけだ」


    黒いバンは、禍々しい煙を吐き出す巨大な工業地帯――『トダー』の製造工場へと、猛スピードで突入していった。

  • 123ポチェモブ26/03/14(土) 23:19:25

    ↓この辺にそういえば3章でやるのを忘れてた絆エピソード


    幕間『絆エピソード:ギレーヌ&可奈美編』

    夜のハイウェイを疾走する新藤組の黒いバンの車内。

    スピーカー状態になっているユースケのスマートフォンの向こうから、マッチィ真吾がふと思い出したように声を上げた。


    『……ところでギレーヌくん。君も樋口くんたちと行動を共にしているんだにゃあ。君はウチの『闘神』の現役チャンピオンだ。下手すれば、その地位をすべて失うことになるかもしれないよ? なぜ彼らに協力するんだにゃあ?』

  • 124ポチェモブ26/03/14(土) 23:21:43

    マッチィの問いかけに、後部座席で腕を組んでいたギレーヌは、鼻で短く笑い飛ばした。


    「……フン。私が守りたいのは、チャンピオンという地位ではない。『闘神』という戦場そのものだ」


    ギレーヌは隻眼を細め、窓の外を流れるネオンの光を見つめた。


    「私はあのリングで、血反吐を吐くような努力をしてきた数え切れないほどの挑戦者たちを斬り伏せてきた。そしてこれからも、まだ見ぬ強者たちと出会い、魂をぶつけ合うだろう。……あの場所は、戦士たちにとって神聖な闘技場なのだ」


    その言葉には、ただの戦闘狂ではない、闘士としての確固たる誇りが宿っていた。

  • 125ポチェモブ26/03/14(土) 23:25:13

    「それに、あの場所は……内海のような、これから成り上がりたいと足掻いている若き闘士たちの『夢』の舞台でもある。バロックのような下劣な輩が、それを薄汚い裏稼業の隠れ蓑にして汚すことなど……私の剣にかけて、断じて許さん!」


    『……くくっ。素晴らしい闘志だにゃあ』


    電話越しのマッチィから、ねっとりとした、だがどこか楽しげな笑い声が響く。


    『実は僕もね、あくまで表舞台で健全なビジネスをして、たっぷりとお金を稼ぎたいだけなんだにゃあ。NTSみたいなドラッグの密売や、非合法な殺し合いへの斡旋なんて泥臭い裏稼業は、ビジネスマンとしてまっぴらゴメンだにゃあ』


    マッチィは言葉を切ると、少しだけ真面目なトーンで告げた。


    『プロモーターとして、闘神はクリーンな興行であってこそ輝く。……バロックの暴走を止めて、健全な『闘神』を取り戻す。それが僕の望みだにゃ。健闘を祈るにゃあ、ギレーヌくん、樋口くんたち』


    そこで通話が切れ、車内は再びタイヤがアスファルトを擦る音だけになった。

  • 126二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 23:26:16

    ちょうど本編のマッチィも順調にバロックと敵対しそうなフラグを重ねてるんだよね 預言者じゃない?

  • 127ポチェモブ26/03/14(土) 23:28:46

    「……私も、負けてはいられませんね」


    ふと、沈黙を破ったのは、膝の上で日本刀の鞘を固く握りしめていた衛藤可奈美だった。

    彼女は、どこか吹っ切れたような、明るくも芯の強い笑顔をユースケたちに向けた。


    「右も左も分からなかった新人時代……何もできなかった私を見捨てず、優しく導いてくれたのはコーンブルメ課長でした。そして、現場で幾度となく私の盾になり、命を救ってくれたのは亜門さんです」


    可奈美の瞳が、僅かに潤む。


    「私は今まで、お二人に守られてばかりの半人前でした。……でも、だからこそ。私はお二人の意志を継ぎたいんです」


    柄を握る手に、ぎゅっと力が込められる。


    「この手で真相を斬り開き、仲間を傷つけた者たちを捕まえて……本当の意味で、一人前の捜査官になりたい。だから、私は最後まであなたたちと共に戦います!」

  • 128ポチェモブ26/03/14(土) 23:31:05

    真っ直ぐで、純粋な決意の言葉。

    その瞬間。


    「……おおっ。ううおおぉぉぉぉっ!!」


    可奈美の隣に座っていた谷垣が、突如として滝のような男泣きを始めたのだ。


    「た、谷垣さん!? どうしたんですか!?」


    「衛藤可奈美……! お前という女は……! その仲間を想う真っ直ぐで気高い心意気、俺の胸にしかと届いたぞ!!」


    谷垣は涙と鼻水を拭いもせず、可奈美の手を両手でガシリと握りしめた。


    「お前のその純粋で美しい魂の輝きに、俺の涙腺も、心も……今、猛烈に勃起しているッ!! 共に戦おう、可奈美!!」


    「あ、あはは……。あ、ありがとうございます、谷垣さん……?」


    独特すぎる表現に一瞬戸惑いながらも、可奈美は照れくさそうに笑い返した。

  • 129ポチェモブ26/03/14(土) 23:35:30

    「へっ。泣かせるじゃねえか、デカの姉ちゃん」

    助手席のユースケも、後ろを振り返ってニヤリと笑う。


    「お前のその刀、しっかり振れるように俺たちが道をこじ開けてやるよ。課長と亜門のためにも、バッチリ決めてやれ」


    「……ユースケさんの骨折りよりは、綺麗に決めてみせますよ!」


    「ふん、頼もしいな。だが、私の獲物は横取りするなよ、剣士」


    ギレーヌも口角を上げ、可奈美の肩をポンと叩く。


    「……キキキッ。どいつもこいつも、暑苦しくて反吐が出そうだな。だが……まあ、悪くない面構えだ」


    端っこで縮こまっていたマコトも、鼻で笑いながら、どこか羨ましそうに彼らの絆を見つめていた。

    車内は、先ほどまでの重苦しい空気が嘘のように、確かな信頼と絆の熱で満たされていた。

  • 130二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 23:35:35

    感銘を受けての見事な感想やな…と思う反面女子の前で勃起とか言う表現使うなやあーっという衝動にも駆られるッ

  • 131二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 23:37:18

    セクハラを超えたセクハラ

  • 132ポチェモブ26/03/14(土) 23:38:50

    ↓この辺に「このままだとルアンが一番悪い奴になっちゃうな…」と思って急遽作った敵側の絆エピソード


    幕間『絆エピソード:ルアン・メェイ&花火編』

    巨大な工業地帯の最深部。

    冷たい蛍光灯の光に照らされた無菌室のような空間で、白衣を纏ったルアン・メェイは、中央に鎮座する巨大な機体の前で静かにコンソールを叩いていた。


    それは、他の量産型とは明らかに装甲の材質も骨格の造りも異なる、特別なチューニングを施された『トダー』だった。


    「ねえねえ、ルーちゃん。こんな奥底に引きこもって、一体何をごそごそ弄ってるの?」


    ふわりと、無機質な空間に似合わない場違いなほど明るい声が響く。

    背後の鉄骨から、万魔殿の若頭・花火が逆さまにぶら下がりながら、興味深そうに顔を覗き込んできた。

  • 133二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 23:40:08

    そういやスターバックスさん
    Geminiがトダーを勝手に変な姿にさせてたらしいけどそこら辺の制御は大丈夫なの?

  • 134ポチェモブ26/03/14(土) 23:42:50

    ルアンはコンソールから目を離さず、冷ややかで気品のある声で淡々と答えた。


    「……生命の、再現です。かつて『ハイパー・バトル』という非合法大会に存在した、最も美しい生命……マーシオ・”ジェット”・内藤を、この世に蘇らせるための」


    「……ジェット?」


    花火が首をコトンと傾げる。


    「ええ」

    ルアンは手を止め、特別なトダーの冷たい装甲にそっと触れた。



    >>133

    地の文でちょこっと言及されてるだけだから削ればマイペンライ!

  • 135ポチェモブ26/03/14(土) 23:45:52

    「私は幼い頃から、『生命の根源』について深い興味を抱いていました。生命とは、どれほど精巧に作られたとしても、結局は一瞬の火花に過ぎない。……ですが、あのハイパー・バトルに出場していた聾唖の青年、ジェットの戦いを見た時……私は心を奪われました」


    ルアンの瞳の奥に、かつての熱狂のリングが静かにフラッシュバックする。


    「言葉を一切持たず、ただ己の肉体と戦いのみで世界と対話する。不純物が一切削ぎ落とされた、純粋で美しい命の輝き……。ですが、彼は決勝戦での宮沢熹一との死闘の後……ガンビーノ兄弟の逮捕劇という下世話な騒動に巻き込まれ、その尊い命を散らしてしまった」


    ルアンは静かにため息をつき、ひどく冷酷な、研究者としての狂気を孕んだ瞳で花火を見つめた。

  • 136二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 23:47:20

    原作ハイパー・バトルの活用の仕方が見事やな…(ニコッ)

  • 137ポチェモブ26/03/14(土) 23:48:27

    「……私は、彼のその『美しさ』を永遠に残したい。もう一度、この目で見たいと願ったのです。だからこそ、人間の肉体を彼の強靭さにまで強制進化させるための触媒として『NTS』を創り出し……そして、その進化の最終的な『出力先(うつわ)』として、この完全な人型ロボット、トダーを設計したのです」


    生命の神秘を解き明かすための、あまりにも身勝手で壮大な実験。

    その全貌を聞き、花火は「へぇー、ルーちゃんって意外とロマンチストなんだね!」と無邪気に手を叩いて笑った。

  • 138ポチェモブ26/03/14(土) 23:50:08

    「……あなたはどうなのですか、花火」

    ルアンは白衣を翻し、冷ややかな視線を花火に向ける。


    「万魔殿のトップであるマコトさんを新藤組に拘束されたまま、助けに行かなくてもよいのですか? 彼女は今頃、ひどく怯えていることでしょう」


    その問いかけに、花火は鉄骨からふわりと飛び降り、ルアンの目の前で満面の笑みを浮かべた。


    「ふふっ。心配ないよ。……だって、マーちゃんは絶対に、ユーちゃんたちと一緒にここまで来るもん」


    花火は両手を背中で組み、スキップを踏むように機嫌良く笑う。

  • 139二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 23:50:32

    (キー坊と鬼龍のコメント)

  • 140ポチェモブ26/03/14(土) 23:53:06

    「そこで、花火がちゃーんと『真実』を打ち明けてあげるんだ。そうすれば、マーちゃんは絶対に、ぜぇーったいに花火の方に付いてくれるから」


    その一切の疑いを持たない、純粋すぎる狂信。


    「……花火はね、ずっと前から……そしてこれからも、マーちゃんのため『だけ』に動いてるんだよ。マーちゃんが最高の舞台で輝くためなら、花火はどんな悪役にだってなってあげるの」


    ルアンは、その一切の迷いがない花火の笑顔を見て、「……理解し難い生態ですね」とだけ呟き、再びコンソールへと向き直った。

  • 141二次元好きの匿名さん26/03/14(土) 23:54:57

    鬼龍ってジェットのクローンとかはどう思うんすかね?
    やはり嫌がるんすかね

  • 142ポチェモブ26/03/14(土) 23:55:44

    ――一方、その二人から遠く離れた、工場の上層にある監視用キャットウォーク。


    「……くくっ。素晴らしい。天才科学者の『夢』と、狂った道化師の『愛』、ですか」


    『闘神』のCEO、近藤バロック陽介は、眼下で繰り広げられる二人の女の会話を特等席で見下ろし、慇懃無礼な笑みを浮かべていた。


    バロックはワイングラスを揺らしながら、自らの傍らに無言で佇む「影」へと視線を向ける。


    顔を深く覆い隠した、黒いレインコートの人物。


    ユースケの弟・マストモを手にかけた、忌まわしき仇だ。

  • 143ポチェモブ26/03/14(土) 23:59:55

    「……ねえ。君も、ああいう『夢』とか『愛』の為に動いているんですか?」


    バロックの意地悪で、すべてを見透かしたような問いかけ。

    だが、黒いレインコートの人物は何も答えなかった。



    ただ、どこか深い後悔を背負い込んでいるかのように、暗い工場の底へ向けて、静かに……深く俯くだけだった。


    >>141

    (自分のクローンであるガルシアや悪魔王子をあれだけ嫌悪してるんだぜ?そりゃあ最愛の息子のクローンなんて認められるわけないだろ。)

    (まぁ今回のルアンの計画についてはジェットの「再現」だからにゃあ…気に入らないとは思うけどにゃあ…)

  • 144二次元好きの匿名さん26/03/15(日) 00:01:47

    >>143

    その気じゃなくても最愛の息子のクローンとか鬼龍に対しての最大の嫌がらせ過ぎるんだよね 酷くない?

  • 145ポチェモブ26/03/15(日) 00:04:04

    ムフフ…今日はここまで。
    この絆エピソードに出てきた4人(あとトダー)が今回の敵役だと思ってもらって構わないッス
    この4章が終わったらラスボスに関して相談があるからなるべく明日には終わらせたいのが俺なんだよね。
    まぁあと9パートくらいあるから流石に明日にはキツイと思うからバランスは取れてると思うんだけどね

  • 146二次元好きの匿名さん26/03/15(日) 00:05:31

    オツカレーッ

  • 147二次元好きの匿名さん26/03/15(日) 01:37:55

    おつかれを超えたおつかれ

    おもしれーよ 俺…好きだぜ


    >>29

    ヒャハハハ!今更気づいたけど各章のサブタイトルが名作映画の題名から採られとる

    おーっ これはオシャレやのォ

  • 148二次元好きの匿名さん26/03/15(日) 01:59:49

    オツカレーッ いよいよ目が離せなくなってきましたね……ガチでね

  • 149二次元好きの匿名さん26/03/15(日) 09:37:41

    保守わーっ

  • 150二次元好きの匿名さん26/03/15(日) 16:56:58

    保守しますガッ

  • 151ポチェモブ26/03/15(日) 17:09:30

    今日中に四章を終わらせたいから少し進めておく…周師匠だ。


    >>147

    ワシの遊び心に気づいてくれた君に勲章を与えたいよ

    8外伝みたいな章名が名作のタイトルから取られてるのは唆られるよね

  • 152ポチェモブ26/03/15(日) 17:12:30

    キキィィィィッ!! ドガシャァァァンッ!!

    邪羽帝町の郊外にそびえ立つ、巨大で無機質なトダー製造工場。

    その厳重な鉄扉を、力丸の運転する黒い大型バンが猛スピードで突き破り、敷地内へと強行突入を果たした。


    「……お出迎えのようだな。流石はマフィアとヤクザの合同施設だ」


    車から降り立った力丸が、冷ややかな視線を巡らせる。


    広い工場の敷地内には、警備員代わりに配置された青葉連合の組員たちが、物々しい武器を手にして群を成していた。その瞳孔は一様に開き、すでに『NTS』で理性を飛ばしているのがわかる。


    「侵入者をぶっ殺せェ!!」




    (ちなみに前スレでスレの残りがギリギリだから感想を遠慮したってモブがいたけど遠慮せず書き込んでくれや

    ワシ夜には多分次スレめっちゃ立てるし)

  • 153ポチェモブ26/03/15(日) 17:14:45

    「……馬鹿どもが。数が多けりゃ勝てると思ってんのか!」


    ユースケが首の骨をコキリと鳴らし、真っ先に敵陣へと突っ込んだ。

    ヒグチ流剛骨術の連撃が炸裂し、次々と組員たちの骨が砕かれる鈍い音が響き渡る。



    「私の前を塞ぐな、雑魚どもッ!」


    ギレーヌもまた、獣のような跳躍で敵陣の中心に飛び込み、強烈な回し蹴りと拳で大の男たちを紙屑のように吹き飛ばしていく。


    「……キキキッ! あの野蛮人どもをこうも容易く……腹立たしいが、今は頼もしいと褒めてやろう!」


    マコトは力丸の背後に隠れながら、偉そうに指示を飛ばしている。

    だが、薬で痛覚を麻痺させた組員たちは、倒れても倒れてもゾンビのように這い上がってきた。

  • 154二次元好きの匿名さん26/03/15(日) 17:15:43

    貴重な昼休み(しかもこの時間ということはおそらくシフト制の仕事)を更新に使ってくれるなんて涙が出ちゃうよ

  • 155ポチェモブ26/03/15(日) 17:18:07

    「キリがありませんね……! ユースケさん、新藤さん! ここは私と谷垣さんで引き受けます、先へ!」


    可奈美が日本刀の峰を返し、神速の太刀筋で次々と組員たちの急所(峰打ち)を突いて気絶させていく。



    「……応ッ! 俺と可奈美の猛烈に勃起した命の輝きで、この防衛線は絶対に死守する! 行け、ユースケ!」


    谷垣もマチェーテの腹で組員を弾き飛ばしながら、力強く叫んだ。


    「……恩に着るぜ! お前ら、行くぞ!!」


    ユースケ、ギレーヌ、力丸、そしてマコトの四人は、殿(しんがり)を任せた二人に背中を預け、薄暗い工場内部へと雪崩れ込んだ。


    >>154

    最近あんまり遅くまで更新しないからね、時間があるうちに進めないと溜まっていく一方なのさ!

  • 156ポチェモブ26/03/15(日) 17:23:42

    だが、工場内部に足を踏み入れた直後だった。


    『侵入者ヲ確認。防衛システム、起動』


    無機質な機械音声と共に、通路の天井から分厚い防爆シャッターが凄まじい速度で落下してきた。



    「なッ……!?」


    「チィッ、分断のトラップか!」


    ガァァァァンッ!!


    間一髪で前方に跳んだユースケとギレーヌ。そして、後方に取り残された力丸とマコト。

    四人は完全に、分厚い鋼鉄の壁によって二つの別ルートへと分断されてしまった。


    「……おい新藤! 議長さん! 無事か!」


    シャッター越しにユースケが叫ぶと、くぐもった力丸の声が返ってきた。


    『こっちは無事だ! 別ルートから最深部を目指す、お前たちも気をつけろ!』

  • 157ポチェモブ26/03/15(日) 17:25:35

    「……フン。迷路遊びとは手ぬるい」


    ギレーヌがシャッターから視線を外し、前方の通路に待ち構えていた新たな組員たちを見据える。


    「行くぞユースケ。立ち塞がる者はすべて叩き潰す!」


    「ああ。背中は預けたぜ、ギレーヌ!」


    ユースケとギレーヌは、言葉を交わすまでもなく完璧な連携を見せた。

    ユースケが剛骨術で敵の体勢を崩し、ギレーヌが闘神王者としての圧倒的なインファイトでトドメを刺す。野性と武術が融合した、息もつかせぬ怒涛の突破劇だ。

  • 158ポチェモブ26/03/15(日) 17:27:06

    一方、別ルートを進む力丸とマコトのペア。


    「……そこだ新藤! 右のコンテナの陰に二人、上にもう一人隠れているぞ!」


    背後からマコトが的確な指示を飛ばし、力丸がそれに対して一切の無駄なく拳銃の引き金を引く。


    「……チッ、人使いの荒い議長だ」


    「キキキッ! 当然だ! 私は後方からの指揮にかけては誰にも負けんからな!」


    極道の若き組長と、悪の総帥。

    いがみ合っているはずのトップ同士だが、その連携は気味が悪いほどに噛み合っていた。マコトの広い視野と空間把握能力が、力丸の冷徹な射撃技術を完全に引き出していたのだ。

  • 159二次元好きの匿名さん26/03/15(日) 17:29:41

    このレスは削除されています

  • 160ポチェモブ26/03/15(日) 17:30:50

    ――その様子を、工場の最深部にある監視モニターから見下ろしている男がいた。


    「……ふふっ。素晴らしい。人間とは、極限状態に置かれるとこうも美しい協力体制を築くのですね」


    近藤バロック陽介は、ワイングラスを傾けながら優雅に微笑んだ。


    「ですが……少々、刺激が足りませんね」


    バロックは傍らでコンソールを操作するルアン・メェイへと視線を向けた。


    「ルアン君。最近、君が特別な『データ』をインストールしたばかりの、あの最新型のトダーがありましたね。……あれを、あの野蛮な二人(ユースケとギレーヌ)のルートに放ち、たっぷりと『体験』してもらいましょうか」

  • 161ポチェモブ26/03/15(日) 17:32:53

    「……構いませんが。あれは少々、出力が高すぎますよ」


    ルアンは冷淡に答えながら、エンターキーを叩いた。



    「ええ。何せ……闘神の元王者マンモス西田や天才格闘家・樋口マストモ。二人の死者の戦闘データをベースに様々なファイターの情報が完全に統合された、最高傑作ですからね」


    バロックの口元が、三日月のようにおぞましく吊り上がった。



    ――一方、順調に工場内部を進んでいた力丸とマコト。

    開けた搬入用エリアに出た二人の足が、ピタリと止まった。


    「……随分と静かだな。伏兵すらいないとは」


    力丸が拳銃を構えたまま、警戒して周囲を見回す。

  • 162二次元好きの匿名さん26/03/15(日) 17:33:40

    トダーにデータ学習させて再生怪人作る発想がおもしれーよ

  • 163ポチェモブ26/03/15(日) 17:35:08

    「ヤッホー! リキちゃん、そして……お待ちかねのマーちゃん!」


    突如、天井の鉄骨から、ひらりと身軽な影が舞い降りた。

    ツインテールを揺らし、無邪気で狂った笑顔を浮かべる少女。


    「……花火ッ!!」


    マコトが弾かれたように声を上げ、その場に一歩踏み出した。


    「お迎えに来たよマーちゃん? さあ、ハッピーエンドの続きを始めよっか!」


    花火は両手を広げ、待ち焦がれていた愛しい主(マコト)に向かって、極彩色の毒を振り撒くように笑いかけた。

  • 164ポチェモブ26/03/15(日) 17:36:55

    静まり返った搬入用エリアに、花火の無邪気な笑い声が反響する。

    その姿を見た瞬間、羽沼マコトは震える声で叫んだ。


    「花火……! お前、どうして私を……私を見捨てていなくなったんだ……!」


    すがるようなマコトの問いに、花火はツインテールを揺らしながら、心底可笑しそうにクスクスと笑った。


    「アハハ! 見捨ててなんかないよぉ、マーちゃん! ……全部、ぜーんぶ作戦なんだもん。邪魔なユーちゃんたちを、この工場の『檻』に誘い込んで、一網打尽にするためのね!」


    花火は両手を広げ、舞台の主役のようにクルリと回って見せた。

  • 165ポチェモブ26/03/15(日) 17:38:41

    「ここでユーちゃんたちや、あの堂島の龍、それに根花の連中をぜぇんぶ始末できれば……万魔殿(パンデモニウム)に逆らう奴はいなくなる! この邪羽帝町は、私とマーちゃんだけの最高の舞台になるんだから! ……ねえ、マーちゃんも早くこっちにおいでよ!」


    狂気に満ちた、極彩色の誘い。

    だが、その言葉を聞いたマコトは、力なく首を横に振った。




    「……違う」

  • 166ポチェモブ26/03/15(日) 17:40:44

    「……………え?」


    「私が欲しかったのは……『議長』なんてくだらない肩書じゃない。この街を支配する権力でもないんだ……ッ!」


    マコトの両目から、せき止めていた涙がボロボロと溢れ出した。悪の総帥としての威厳も虚勢もすべて投げ捨て、ただの一人の少女として、親友に向かって感情をぶつける。


    「ただ……お前が側にいて、他愛のないことで一緒に笑ってくれる日々が欲しかっただけなんだ! お前がいてくれれば、私はただのポンコツでもよかったのに……!」


    マコトは一歩、また一歩と花火へ向かって足を踏み出し、両手を強く握りしめた。


    「頼む、花火……! こんな狂った真似はもうやめてくれ。私の友人として……どうか、元の姿に戻ってくれ……!」


    涙ながらの、魂からの懇願。

    その温かい心からの声は、狂気の少女に届くかに見えた。

  • 167ポチェモブ26/03/15(日) 17:43:08

    ――だが。


    「…………」


    花火の顔には、相変わらず満面の笑みが貼りついていた。

    しかし、その瞳の中からスッと「光」が消え失せ、声色だけが……絶対零度の氷のように、スンと冷たく落ちたのだ。


    「……どうして?」

    「え……?」


    マコトの足が止まる。


    「どうして、そんなこと言うの?」


    花火の唇は弧を描いているのに、そこから紡がれる声には微塵の感情もこもっていなかった。


    「花火は……ぜぇーんぶ、マーちゃんに捧げたのに。ずっと、ずっとマーちゃんのため『だけ』に動いて、最高の舞台を用意してあげたのに。……今更、なんでそんなこと言うのかなぁ?」


    完璧に作り上げた台本を、愛する主演女優に真正面から拒絶された落胆。

    花火にとって、マコトの「普通の幸せでいい」という言葉は、己の全存在を否定されることと同義だったのだ。

  • 168ポチェモブ26/03/15(日) 17:46:31

    「……そっか。マーちゃんは、もう『花火のマーちゃん』じゃないんだね」


    スッ、と。

    花火の手の中に現れたハンドガンの冷たい銃口が、一切の躊躇なく、かつて愛した主の眉間へと真っ直ぐに向けられた。


    「さようなら」


    パァァァァンッ!!

    決別の銃声が、冷酷に響き渡る。


    「危ねえッ!!」


    完全に硬直していたマコトの身体を、凄まじい力で横から突き飛ばしたのは、背後で銃を構えていた新藤力丸だった。


    ドスッ!!


    マコトが立っていた背後のコンテナに、殺意の塊である銃弾が深々と突き刺さる。


    床に転がったマコトは、力丸に庇われながら、九死に一生を得た驚愕と、完全に拒絶された絶望で声も出せずに震えていた。

  • 169ポチェモブ26/03/15(日) 17:48:02

    「チッ……! てめぇ、本気で撃ちやがったな!」


    力丸がすかさず花火へ向けて反撃の銃弾を放つ。

    だが、花火は踊るような滑らかなステップで銃弾をヒラリと躱し、コンテナの上の闇へと軽やかに跳躍した。


    「……もう、誰にも私達は止められないよ」


    闇の中から見下ろす花火の笑顔は、底知れない虚無に満ちていた。

  • 170ポチェモブ26/03/15(日) 17:49:30

    「こんなくだらない舞台……もういらない。この街ごと、全部消し去ってあげる」


    不気味で意味深な言葉だけを冷たい空間に残し、狂気の道化師は、幻のように工場の深淵へと姿を消していった。


    「……花火ッ!! ああ……アアァァァァァッ!!」


    取り残された搬入用エリアに、すべてを失ったマコトの悲痛な叫び声だけが、虚しく木霊していた。

  • 171ポチェモブ26/03/15(日) 17:51:46

    ここで中断するのんゴロンヤメロオオオ


    マネモブは知らないかもしれないが…私、結構こういう関係性好きなんですよ。

  • 172二次元好きの匿名さん26/03/15(日) 17:59:22

    オツカレーッ 社員に見捨てられた峯…?

  • 173ポチェモブ26/03/15(日) 22:28:44

    再開すルと申します。

    多分出力1回分で終わりそうだから直ぐ次スレを建てることになりそうなのん


    分厚い防爆シャッターを抜け、ユースケとギレーヌが辿り着いたのは、工場の最深部に位置する巨大な空間だった。


    冷たいコンクリートと無機質な照明。すり鉢状になったその場所は、まるで地下闘技場か、あるいは非人道的な『実験場』のような異様な空気を放っていた。


    「……随分と広々とした場所に出たな。ネズミ捕りの檻にしちゃあ、デカすぎるぜ」


    ユースケが周囲を警戒しながら歩みを進める。ギレーヌも無言で木刀を構え、隻眼を鋭く光らせた。

  • 174ポチェモブ26/03/15(日) 22:31:44

    その時。

    実験場の壁面に設置されていた巨大なモニターが、突如としてノイズと共に起動した。


    『――ふふふ。よくぞここまで辿り着きましたね、樋口ユースケ君。そして闘神王者のギレーヌ君』


    モニターの画面に映し出されたのは、ワイングラスを傾けながら慇懃無礼な笑みを浮かべる『闘神』CEO、近藤バロック陽介。そしてその後ろで、冷ややかな瞳でデータを打ち込んでいる天才科学者ルアン・メェイの姿だった。


    「バロック……! それにルアンの野郎まで!」


    ユースケがモニターを睨みつけ、ギリッと奥歯を鳴らす。

  • 175ポチェモブ26/03/15(日) 22:34:49

    『君たちのその野蛮な突破力には、私もルアン君も大いに感心させられましたよ。……ですから、ここまで辿り着いたご褒美に、君に『弟』と会わせてあげましょう』


    「……なんだと?」


    バロックが手元のコンソールのスイッチを押した。


    ドォォォォォンッ!!


    遥か上空の暗がりから、凄まじい重量物が実験場の中央へと落下してきた。

    もうもうと舞い上がる土煙。その中から、赤黒い光を放つ不気味な『単眼(モノアイ)』が、ユースケたちをギョロリと睨みつけた。



    「……キドウ、カンリョウ……ヤンケ」

  • 176ポチェモブ26/03/15(日) 22:41:07

    「……なんだ。ただのポンコツスパーリングロボットじゃねえか。闘神のジムに置いてあったトレーニング用だろ?」


    ユースケが鼻で笑う。


    ギレーヌも「機械人形風情が、私の剣のサビになるか」と吐き捨てた。


    だが、二人が油断を見せた次の瞬間。


    「……ターゲット、カクニン……ヤンケェッ!」


    その巨大なロボットは、耳障りな駆動音と共に、滑るような足捌きで重心を深く落とした。

    そして、右腕を真っ直ぐに突き出し、五本の金属の指を鋭く立てる構えをとったのだ。

  • 177ポチェモブ26/03/15(日) 22:46:50

    「なッ……!!」


    ユースケの心臓が、早鐘のように跳ね上がった。

    それは、他の誰でもない。樋口の血を引く者しか知らない、必殺の『剛骨指斬』を放つための完璧なヒグチ流の構え。



    「てめぇら……! そのガラクタに、マストモのデータを組み込みやがったな!!」


    死んだ弟の魂すらも機械の部品として弄ぶ外道な所業。

    ユースケの怒りが完全に臨界点を突破した。


    「ふざけるなァァッ!!」


    咆哮と共に、ユースケは弾かれたように床を蹴り、剛骨術の連撃を繰り出した。


    「一人で突っ込むな、馬鹿者!」


    ギレーヌもまた、ユースケの死角を補うように反対側へ跳躍し、闘神王者としての凄まじい蹴りと木刀の連撃を放つ。

    生身の人間ならば、間違いなく一瞬で肉塊と化すであろう、二人の必殺の同時攻撃。

  • 178二次元好きの匿名さん26/03/15(日) 22:48:12

    なんで関西弁はそのままなんだよ開発者野郎

  • 179ポチェモブ26/03/15(日) 22:51:56

    だが。


    『……くくっ。無駄ですよ。そのトダーは、闘神で戦い散っていったファイターの『すべて』を学習した、私の最高傑作。……たかだか二人では、スパーリングの相手にすらなりません』


    モニター越しのバロックの嘲笑と同時に。

    ガキィィィィンッ!!



    「な……!?」

    「馬鹿な……!」


    ユースケの渾身の右ストレートと、ギレーヌの必殺の木刀。

    その両方を、トダーは巨大な金属の掌で『同時に、かつ軽々と』受け止めていた。ビクともしない。まるで岩壁を殴ったかのような、絶望的な硬度と出力だった。

    「……スパーリング、カイシ……ヤンケ」

    単眼が赤く明滅し、最強の学習兵器がその暴力の牙を剥く!


    『闘神』人型兵器プロトタイプ

    トダーΣ

  • 180ポチェモブ26/03/15(日) 22:54:48

    残りも半端だしそろそろ次スレを建てるのんゴロンヤメロオオオ

  • 181二次元好きの匿名さん26/03/15(日) 22:59:39

    まさかトダーにこの演出来ると思ってなかったのが俺なんだよね

  • 182ポチェモブ26/03/15(日) 23:02:13

オススメ

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