40歳過ぎて出産、心身ぼろぼろ「娘と2人でどこかに行ってしまいたい」 すがる思いで訪れた産後ケア施設
「娘と2人でどこかに行ってしまいたい」。1年半前に第1子を出産した私は、睡眠不足やホルモンバランスの乱れから体調を崩し、感情の浮き沈みも激しくなった。高齢出産によるさまざまな不安や分娩を乗り越えた先に待っていたのは、孤独と不安の日々。そんな想定外のつらさを救ってくれたのは、すがる思いで訪れた「産後ケア」の施設だった。(時事通信経済部記者 藤岡愛) 【写真】出産後、初めて夜間同室で過ごした娘 ◇帝王切開で出産、母乳出るか心配 40歳過ぎての出産。分娩時は、胎児が産道を通る時に横向きになってしまう「回旋異常」で陣痛促進剤を打っても改善せず、最終的に緊急帝王切開となった。 自然分娩では出産直後に母乳を与えられるが、帝王切開の場合は2日後から。初産では母乳が出にくいと聞いていたため、「早く母乳を与えないと出なくなってしまう」と焦りが募った。 術後の痛みや麻酔の影響で体は思うように動かせず、血圧も高い。助産師らから「体をまず休めて」と助言されたが、「子どもと一緒にいたい。母乳を与えないと出なくなる」という気持ちで夜間も母子同室を希望。出産4日目から、触れると壊れてしまいそうに見える娘と緊張の夜を過ごした。 入院は9日間。病院からは、食事や育児カウンセリングを提供する「産後ケア」を数日間利用するよう勧められたが、延泊は1泊にとどめた。とにかく早く帰宅したい、という思いだったが、今思えば悔やまれる決断だった。 ◇ネガティブ思考で笑い消える 実家の母親は病気がちで助けを求められず、自宅で頼れるのは夫だけ。地域の保健師や病院からは心配されたが「なんとかなるだろう」と楽観していた。夫は在宅勤務をしていてミルクづくりや料理、沐浴(もくよく)、買い物などを担当してくれるはずだったが、仕事をしながらでは限界があった。 私自身、退院後も高血圧が続き、術後の後遺症などで「自分が死んだらどうしよう」などとネガティブ思考に陥った。また、娘の様子を見ては「発達は正常か」「頭の歪みが気になる」と夜中もインターネットで調べ続け、不安が大きくなるばかり。気が付くと、産後の1カ月は、ほぼ笑うことがなくなっていた。 以前から登山が趣味で、体力には自信があった。記者という仕事柄、睡眠時間を削ることにも慣れていたので過信があったのだろう。乳腺炎や帯状疱疹(ほうしん)も発症し、産後3カ月ごろには精神面に加え、体もぼろぼろになっていた。