福島のイノシシ、体内のセシウム濃度は減少傾向に 初の大規模調査

小林舞子
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 東京電力福島第一原発事故の後、福島県内全域で出荷制限が続く野生のイノシシについて、体内の放射性セシウム濃度が全県的に減少傾向にあることを福島県環境創造センターと国立環境研究所が明らかにした。イノシシの体内でのセシウムの半減期は、物理学的半減期である約30年よりも倍以上早いことも確認した。

 調査は、原発事故があった2011年から14年間、全県で捕獲された約3600頭のイノシシのデータを対象とした。第一原発に比較的近い「浜通り」、福島市郡山市を含む「中通り」、新潟との県境に近い「会津」、原発事故で今も人が住めない「帰還困難区域」とその周辺の4地域に分類し、筋肉中のセシウム濃度の変動を統計学的に解析した。

 その結果、地域ごとに速度は異なるものの、すべての地域でセシウム濃度は減少傾向にあり、一般食品の基準値である1キロあたり100ベクレルを下回る個体の割合が増加していることがわかった。ただ、帰還困難区域やその周辺では、現在でもセシウム濃度の高い個体が継続して確認されているという。

 放射能が元の半分になるまでの期間を示す半減期は推定約3~9年で、物理学的半減期(約30年)より減少が早いことが示された。分析では浜通りが3年、会津が約9年だった。同センターの関谷健一・研究部長によると、イノシシはミミズや植物の根を食べており、地域で生育状態が違うことが影響していると考えられるという。ただ、「(原発から遠い)会津の方が半減期が長い理由は分からず、今後の課題」としている。

 福島県内でイノシシ肉は、出荷制限に加え、一部地域では自家消費も控えることになっている。関谷さんは「出荷制限解除に向けてよい傾向だが、突発的に高い個体が出ることもあり、直ちに解除、何年後に解除と明確には言えない。引き続き調査研究を続ける」としている。

 これまで、帰還困難区域などの特定地域で数年間に限定した調査は行われてきたが、事故直後から現在に至るまでの長期的な変動や県全体を比較するような大規模な調査は初。論文は3月25日付で国際学術誌プロスワン(ウェブ版)に掲載された。

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