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Vol.570「バランス感覚こそ、保守の要諦である。」

(2026.4.8)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…全世界が注目した4月2日(日本時間)のトランプの演説は「勝った、勝った」との空威張りに終始。「この1カ月SNSで発信していたことを繰り返しただけ」と酷評される始末で、ただイラン情勢が泥沼化したことを表すものでしかなかった。そんなトランプを絶賛して媚びまくった高市早苗の訪米は、日本外交史上最低最悪の事例として、未来永劫語り伝えられなければならない。高市の媚米外交を、ネトウヨ・サナ活ファン・山尾志桜里らが大成功だったと絶賛したわけだが、わしは高市の訪米外交日程が終了して間もない3月22日の時点で、ブログで「世界中から侮蔑された高市早苗」と題して酷評した。このブログはSNSで大バズりして、右からも左からもいろんな反応が出てきたらしい。サヨクからは「お前が生んだネトウヨのせいだろ」「小林は嫌いだけど、これには完全に同意」という反応が多く、ネトウヨからは「じゃあお前がトランプと交渉してみろよ」「どうやったら満足するんだよ?」みたいな反応が多かったらしい。今回はこれら左右の反応に対して答えていこう。
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…高市早苗は、先日の訪米で「対米投資第2弾」なるお土産をトランプに献上した。もともとは、石破政権時代にトランプが「関税を25%に引き上げる」と脅迫したことが発端で取り決められたものである。「格下も格下」と自称する赤沢大臣が、アメリカに対してへりくだりにへりくだって、「80兆円規模の対米投資」を約束して帰ってきた。驚くべきことに、この投資によって得られる利益の配分は、日本が元本を回収するまでは「日本50%、アメリカ50%」とされているものの、回収後は、利益の90%をアメリカが得るという仕組みになっている。さらに異様なのが、どこのどんな事業に投資するかは、最終的にトランプが決定するという点だ。異様すぎる「対米投資80兆円」が決定した経緯を見ていくと、日本がいかに舐められているかがわかる。さらに歪んでいるのは、この話を主導するのが、「国家」ではなく「個人」であることだ。その人物とは…?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…この状況で憲法改正議論なんてできるの?ここ最近のX JAPANのYOSHIKIの活動についてどう思う?亡くなったつげ義春氏をどう評価している?京料理についてどのような印象を持っている?なぜ弁護士は政治に関心を持つ人が多いの?旧統一協会の元幹部が新団体を設立検討していることをどう思う?不倫スキャンダルで一時期メディアから消えていた女優・唐田えりかの復帰をどう見ている?『台湾論』が出たばかりの頃の自称保守派は、台湾に対して冷淡だったくせに、いつの間に「親台湾」になったの?…等々、よしりんの回答や如何に!?


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1. ゴーマニズム宣言・第599回「バランス感覚こそ、保守の要諦である。」

 全世界が注目した4月2日(日本時間)のトランプの演説は「勝った、勝った」との空威張りに終始。「この1カ月SNSで発信していたことを繰り返しただけ」と酷評される始末で、ただイラン情勢が泥沼化したことを表すものでしかなかった。
 そんなトランプを絶賛して媚びまくった高市早苗の訪米は、日本外交史上最低最悪の事例として、未来永劫語り伝えられなければならない。なにしろトランプを「ノーベル平和賞」に推薦したいとまで媚びていたのだから。

 高市の媚米外交を、ネトウヨ・サナ活ファン・山尾志桜里らが大成功だったと絶賛したわけだが、わしは高市の訪米外交日程が終了して間もない3月22日の時点で、ブログで「世界中から侮蔑された高市早苗」と題して、
「高市早苗の訪米は無残だった」
「これほど世界中から侮蔑された日本の首相がいただろうか?戦後初だと思う」
「わしはベトナム戦争の頃から、日本政府のアメリカに対する姿勢を、「親米ポチ」、「従米」、「眉米」と批判し続けてきたが、高市早苗ほどその批判を具現化した首相はいなかった」
などと酷評した。
https://yoshinori-kobayashi.com/blog/46207
 このブログはSNSで大バズりして、右からも左からもいろんな反応が出てきたらしい。
 高市の訪米国辱外交については、前号(Vol.569「高市早苗、イエローキャブ外交の成果とは?」https://note.com/yoshirin_k/n/n51b96ace0753)で詳述したので、今回はブログに対する左右の反応に対して答えておきたい。

 わしのブログに対して、サヨクからは
「お前が生んだネトウヨのせいだろ」
「小林は嫌いだけど、これには完全に同意」
という反応が多く、ネトウヨからは
「じゃあお前がトランプと交渉してみろよ」
「どうやったら満足するんだよ?」
みたいな反応が多かったらしい。
 まず、左から答えておこう。
「ネトウヨは小林よしのりが生んだ」とは、これまで何万回言われたかわからないが、それはそうかもしれない。何しろ『戦争論』はものすごい数の読者を生み出したのだから、その中にわしが想定しなかったような、影響のされ方をする者が出てくることも避けられない。それは作者にもコントロールできるものではないのだ。

 だが、そこで決して忘れてはならないのは、『戦争論』を出した90年代の世相がどうだったのかということである。もはや当時を知らない若い世代がどんどん出てきているし、当時を知っている世代ですらどんどん忘れていきがちなのだが、その当時の空気感は、前提として押さえておかなければならない。
 それまでは、サヨクの「自虐史観」一辺倒だった。日本がとにかくありとあらゆる面で「悪」であり、近隣諸国は「正義」とされていたのだ。
 その言説に対して異議を唱えることは一切許されず、政治家が言おうものならたちまち失脚、大臣の首も次から次に飛んでいた。
 そんな圧倒的な空気の中で、当時はまだたくさん存命していた、命を懸けて戦場に向かった人たちが「悪」のレッテルを張りつけられ、沈黙を強いられたままで人生を終えようとしていた。わしはそういう人たちと直接会う機会も多くなって、どうしてもこの状況を看過することはできなくなっていた。

 しかも、戦争というものを単なる殺人だとする認識も、完全に狂っているものだった。
 本来の戦争とは軍服と軍服が戦うものだ。正規軍同士が戦うのが戦争であり、これは殺人には当たらない。
 これに対して、民間人を狙ったらいかに戦争中だろうとそれは国際法違反であり、単なる殺人となる。たとえ戦争の期間中に行われたことであっても、ナチスドイツによるホロコーストや、米軍による都市空襲、原爆投下は紛れもない大量殺人なのだ。ところが、そんな区別もつかない杜撰な言説が平気でまかり通っていた。
 そしてさらにサヨクの理屈は、「愛国心」があるから戦争という「大量殺人」が起きるとまで飛躍して、愛国心を「悪」として、人々の意識から「愛国心」も、「国家意識」すらも抹消し尽くそうとしていたのだ。
 そんな不健全な国家を正さなければならないという思いから、わしは出版界から抹殺される覚悟までして『戦争論』を描いたのである。

「戦争は単なる殺人だ、あらゆる戦争に反対する!」という短絡的な認識は、残念ながら日本では2026年のいま現在も平気で流通している。だったらウクライナ兵がロシア兵を殺しても「単なる殺人」だと言えるのかどうか、ぜひ聞いてみたいものである。
 一方で、米軍がイランで小学校を爆撃して多くの子供たちを殺したのは、単なる殺人であるのは間違いない。それに加担したら、殺人者の共犯者になってしまうのである。
 ところが高市早苗は殺人犯に「世界に平和と繁栄をもたらすことができるのはドナルドだけ」とまでおべっかを使ったわけだから、これは最大限に批判しなければならないのだ。
 こういう違いが、長らく続いた「自虐史観」や「反戦平和」に染まってしまった者にはどうしてもわからない。だからこそわしは『戦争論』を描かなければならなかったのである。
『戦争論』がネトウヨを生んだということはあるかもしれない。だが『戦争論』を出さなければ「自虐史観」の狂った認識がずっと続いていたはずだ。
 どちらがよかったかといえば、自虐史観を終わらせたことの方がずっとよかったという思いは、今も全く変わらない。

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