ナフサの備蓄義務撤廃の失敗
細川:かつてナフサも石油と同様に備蓄義務がありましたが、備蓄にもコストがかかるとして、1993年に備蓄義務の対象から外れました。私はこれが大きな間違いだったと思います。背景には在庫を抱えたくない石油化学業界の強い意向がありました。当時、業界は「供給は自己責任(で対応する)」と豪語していましたが、30年超を経た今、その供給責任を果たせているでしょうか。業界の責任は重いと思います。
もちろん、当時は激しい国際競争を背景にコスト削減を優先したかったという事情はあるでしょう。しかし、80年代と現在では状況が大きく変わっています。日本の石油化学業界は国際競争力を失い、今や業界再編が進んでいます。
日本の石油化学業界の生きる道は高付加価値製品に特化していくことだと見ています。そのため、今回の事態が沈静化した後に、備蓄義務の見直しとあわせて、高付加価値製品への支援策といったアイデアや議論が必要になるでしょう。
——ナフサについても国家備蓄だけではなく民間備蓄も必要ですか。
細川:石油は元々の民間備蓄に国家備蓄を加えて供給を支えています。ナフサについても、多くの産業の基盤を担う重要物資を扱っている以上、石油化学業界が果たすべき供給責任に伴い備蓄義務はあると思います。