中東情勢が悪化する中、東京都内でも反戦デモが勢いを増している。共通するのは、交流サイト(SNS)にリアルタイムで流れる戦争や原油危機への不安、そして改憲に前のめりな高市早苗政権への危機感だ。オタクに「推し活」、音楽にペンライトと多様化するデモの現場を、記者が歩いて尋ねた。「憲法9条、どう思う?」(福岡範行、飯田克志、安藤恭子)
◆発案者の元教員「平和でなければオタクは活動できない」
「誰も知らない、知られちゃいけない…♪」。有名なアニメソングが国会前に響く中、28日に開かれた「オタクによる反戦デモ」。主催者発表で延べ3800人が訪れた。発案した「特撮オタク」で元教員の高橋裕行さん(58)が「われわれオタクは平和を愛する。平和でなければオタクは活動できない」と、赤い革ジャンに「仮面ライダーV3」の変身ベルト姿で宣言し拍手を浴びた。
壇上に立った漫画原作者の竹熊健太郎さんは、「月光仮面」の原作などを手がけた川内康範さんや漫画家の手塚治虫さんに触れて「戦争を体験したクリエーターたちにはあんな思いは二度としたくない、という理屈じゃない強固な思いがあった」と力を込めた。アニメーションプロデューサーの植田益朗さんも「(かつて)戦意高揚にアニメは利用された」と訴えた。
司会をした声優の岡本麻弥さんは「アイラブ〇〇」「ユーラブ〇〇」と、参加者の好きなものを〇〇に当てはめ、思い思いに叫ぶ場面をつくった。「演劇」「映画」「落語」…。さまざまな「好き」が交差した。岡本さんには、人々はみな「帰りの電車で聴く音楽、喫茶店で読む本」などの「日々の小さな好きに癒やされて、苦しい世の中を生きている」という思いがあるという。その「好きを絶やさないために」戦争を避けたいと強く願った。
◆新宿駅では 「石油止めるな」「イランと交渉を」コール
参加した30代の女性会社員は、趣味の場で「戦争の影」を感じてきた。ロシアが舞台になるはずのアニメ制作が止まったり、2次元アイドルのロシアを題材にした曲がライブで披露されなかったり。「好きなものが、そのままの形でいられなくなるんじゃないか」と不安に思う。
同日、新宿駅東南口では学生や会社員の有志による「平和フェス」が開かれ、駅前の広場が階段の上まで人で埋まった。夕暮れに染まる街に色とりどりのペンライトと反戦メッセージが揺れ、アンパンマンのテーマ曲などを合唱した。
「石油止めるな」「イランと交渉しろ」のコールも。中国大使館への自衛官侵入事件について「遺憾」といった表現にとどめる小泉進次郎防衛相らの対応を批判し、「代わりに謝る」「中国ごめん」と叫んだ。
◆音楽関係者の集会では「ノーヘイト」「トランプ辞めろ」
同じ場で29日、音楽やアートで反戦、反差別をアピールする集会「DROP BASS NOT BOMBS(爆弾を落とさず、重低音を響かせろ)」も開かれ、6時間近く続いた。
音楽関係者でつくる「プロテスト レイヴ」や、読書や絵を描いて反差別などを訴えている有志「路哲(ろてつ)」などが企画。DJブースも設けられ、さながらクラブのよう。大きな旗がいくつも振られる中、音楽のリズムに乗って、外国人も飛び入り参加し「ノーヘイト」「トランプ辞めろ」「高市辞めろ」と訴えて踊った。
デザイナーの40代女性は、米国とイスラエルによる攻撃開始後に元上司のイラン人と連絡が取れなくなり「日本から戦争反対を発信すれば、心強いかもしれないと思い」参加した。DJのMars89さん(36)は「文化芸術のフィールドから抵抗を続けるのは大切。路上でできる表現を進化させていく」と話した。
◆都内の中学生「伝えたいことを言っただけなのに…」
ウサギの絵を使い、反戦を訴えた作家がSNSで批判されたという事態を受け、デモではウサギのプラカードや着ぐるみも目立った。
「伝えたいことを言っただけのはずなのに、怒られるのは嫌だな」。オタクによる反戦デモに参加し...
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cool 5 4月4日3時7分
埼玉県草加市の会社員あゆこさん(30)は、「憲法は権力を持つ側を縛るものなのに、政権が変えようとするのはおかしい。首相の発言や外交が信頼できない今の政権下での改憲は反対」ときっぱり。
全くその通りと思います。
日本は海に囲まれた海洋国家で幾分、地の利を得ていると思います。叡智を尽くし傑出した平和外交ができる非戦国家を官民挙げて指向すべきだと思います。その努力が実り世界にその潮流を広げることができれば、その嚆矢として日本は後世の世界史に事跡を残すことになるのではないでしょうか。
その為には、外交官や海外と関わる民間人一人一人がその理念を堅持したうえで他国と渡り合える実行可能性の高い人物となる必要性があるのではないでしょうか。結果を出すには年月を要しますが将来を見据えて交渉能力(単なる技術的なものでない)を身に付けるような教育を幼少期のころから国家最重要事項として取り組む必要があると思います。そこにあらゆる資源を集中すれば相乗効果で自ずと質、量(数)ともに高い投票率と投票結果が現れ、その政権は必ずや非戦国家の成果を挙げ続けると確信します。
米国からの隷属を脱する為にも。 -
ピーナッツ 4月2日11時39分
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