大好きなお父さんと
別れる日のことを
知らなかった
2歳の朝
振り返ると
お父さんが笑っていた
盲導犬は
その2年を
訓練士と一緒に暮らす
ごはんをもらい
名前を呼ばれ
時に叱られ
やがて合格し
父から旅立つ
「今日から
この方のパートナーです」
訓練士は
深く頭を下げる
涙を見せたら
犬が不安になるから
笑って 送り出す
日本で盲導犬を
待っている人は
およそ3000人
順番が回ってくるのは
5人に1人
足りないのは
犬じゃない
別れを前提に
愛せる人間の
絶対数だ
それでも今日も
誰かの目になるために
訓練士は
犬の隣を歩き続ける
別れを前提にした愛が
この国には
確かにある