軽油カルテル容疑で5社を刑事告発 中東情勢悪化、公取委「悪質」
運送や建設業者向けの軽油販売で価格カルテルを結んだとして、公正取引委員会は17日、石油販売5社を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検事総長に刑事告発し、発表した。東京地検特捜部が17日午後にも5社を起訴する見通し。 【画像】きっかけは公取委に寄せられた1本の情報提供、軽油カルテル疑惑 公取委による刑事告発は東京五輪談合以来3年ぶり。 軽油は主にトラックなどの大型車や鉄道、船の燃料に使われる。軽油のもととなる原油の価格は高止まりし、中東情勢の悪化で調達も不安定だ。カルテルによって運送・建設業者向け軽油の価格競争が妨げられれば、市民生活に影響を及ぼす恐れがあり、公取委は悪質と判断したとみられる。 ■1社は違反を申告、告発免れる 告発されたのは東日本宇佐美(東京都文京区)、ENEOSウイング(名古屋市)、エネクスフリート(大阪市)、キタセキ(宮城県岩沼市)、共栄石油(東京都江戸川区)の5社。太陽鉱油(東京都中央区)は課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づいて違反行為を自主申告し、告発を免れた。 公取委によると、6社の担当者は東京都内で会合を開き、都内に事業所がある運送・建設業者向けの軽油の販売価格を協議し、価格競争を制限した疑いがある。6社で市場の半分以上のシェアを占めるという。 公取委は昨年5月、神奈川県内に事業所がある業者向けの軽油販売について、価格カルテルの疑いで関係先に立ち入り検査を実施。その調査の中で、今回の都内を舞台にしたカルテル疑惑が浮上した。公取委は昨年9月、告発が前提となる犯則調査権に基づいて8社に家宅捜索を実施。今年3月には特捜部と合同で捜索を実施していた。 6社の担当者は任意の調べに関与を認めたという。長年にわたり社内の特定の立場に異動すれば担当業務としてカルテルに関わらざるを得なかった点や、カルテルによる恩恵を直接的に受けるのは会社である点なども踏まえ、公取委は担当者の刑事責任は問わないとみられる。(長妻昭明)
朝日新聞社