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 2月末に始まった米・イスラエルによるイラン攻撃開始から1カ月半が経過した。一応、停戦は発効したが、交渉の先行きは明るくない。戦況は、米・イスラエルが圧倒しているといえるが、両国の思惑からは大きく外れているようだ。

 米・イスラエルに複数の誤算があったことは間違いないが、中でも影響の大きな誤算は、イランの攻撃により、展開している米軍部隊を含む湾岸諸国に大きな被害が出たことだ。

 今年(2026年)1月、イランで大規模な暴動と現政権による虐殺が発生した後、米国は部隊の中東への戦力移動を行い作戦準備を整えてきた。当然、イランによる反撃を想定していたはずだが、それでも大きな被害が発生している。

 湾岸諸国で大きな被害が発生した原因は、米国の犯した複数の小さな誤算の積み重なりだ。その小さな誤算が、米軍および湾岸諸国の防空に穴を開ける結果となった。本稿ではそれらの誤算について概括し、考察してみたい。

バーレーンの首都マナマ近郊にあるバーレーン国際空港の燃料貯蔵施設がイランによるドローン攻撃を受けた。現場からは煙が立ち上っている(2026年3月12日、写真:ロイター/アフロ)

米軍の想定外だったイランの「四方八方」の攻撃

 そもそもの話として、米・イスラエルはイランが湾岸諸国に対して広範囲に攻撃を行うことを想定していなかったと思われる。

 もちろん、軍事行動を行う際には、彼我(ひが)の可能行動は事前に見積もられている。開戦前にイランが宣言していたことから、米軍基地に対する反撃は当然にあるものと評価していただろう。しかし、米軍に基地を提供している国にとどまらず、イランを非難しているどころか、米とイランの交渉の仲介を行っていた国に対してまでイランは攻撃を行った。