その日の体育は、3日前とはかなり違う光景だった。
「ふーん……さすがに、体育の授業全部をナイフ練習にはしないんだね?」
「……というより、そうもできない事情があってな」
「?」
疑問に答えてくれた烏間は、首をかしげるコナンに、少々ため息をついた。
「もうすぐ、学内で球技大会があるそうでな。これはE組も強制参加だから、その練習にも時間を割かなければならない。男子は野球、女子はバスケットボールだそうだ」
「それを気遣ってるの? ……防衛省も、意外に気が利くんだね」
感心なのか皮肉なのか判断に困るようなコナンのコメントに、烏間はまた息をついた。
「防衛省が――というより、俺の判断だ。彼らはあくまで中学生だ、あまり訓練漬けの生活にはしたくない」
「………」
「ん?」
言葉が止まったコナンに、烏間が何となく目を向ける。すると――コナンは穏やかな笑みを浮かべていた。
「烏間さんって……優しいんだね」
「………」
返す言葉に困り、烏間は視線を彷徨わせた後、運動場代わりの空き地に戻した。その後で、コナンが苦い表情をしたことには気付かなかった。
――優しさや実直さでは、解決できない問題もあるのだと。
「さーて、片付け片付け」
室内球技の練習とはいえ、場所は空き地なので、各自バラバラに用具を回収していた。用具といっても、主にボールだ。茅野カエデは、転がったバスケットボールを追って、他の生徒たちからやや離れたところに走っていた。
「よし、これで終わり!」
独り言とともに、手を伸ばしたその先には。
「はい」
目の前に差し出された、さっきまで見ていたボール。そして、ここ数日で聞き慣れた幼い声――。
大きなバスケットボールを両手で差し出しながら、コナンが不思議な光を宿した瞳を向けて、微笑んでいた。
そして、クロスオーバーでクローズアップされるキャラとしては激レアであろう、彼との絡みにチャレンジしてみました。
コナンって、公安捜査官の尾行にもバッチリ気付く(byハロウィンの花嫁)んで、まあこれくらいは気付くだろうな、と。