死刑囚が拘置所で自死…「心情の安定」理由に他の受刑者と異なる対応? 長期的拘禁が常態化「日本の死刑制度」が抱える機能不全
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2025年2月1日、大阪拘置所にて、収容されていた死刑確定者の小林竜司氏が死亡しているのが見つかった。報道によれば自死と見られている。 【場所】小林死刑囚が自死した大阪拘置所 心理学者の原田隆之氏が指摘するように、犯した事件の残虐性に鑑みれば、厳罰を望む声が見られるかもしれないが、自死によって刑の執行ができなかったことから刑事司法の責任を果たせなかったことは問題であるし、凶悪な犯罪者が自死したのであるからそれで終わりという問題ではない。 死刑判決確定後も執行までには長期間の拘束下で強度に精神的負担が強いられ、他の刑の確定者などとの交流はできない状態に置かれる。先の原田氏も、長期的拘禁がもたらす心理的影響に関し、国際的視点から見た日本の死刑制度について警鐘を鳴らしている。(本文:丸山泰弘)
冤罪が後を絶たない日本の刑事司法
本記事では、死刑確定者が置かれている状況の問題が現在も続く中で裁判が行われていること、そして諸外国と比べても問題を孕(はら)んでおり、国際的にはより人道的な刑罰へと移行している現実を確認することを目的とする。 しかし、こういった内容の記事を投稿すれば、ネットを中心として「凶悪な犯罪者なのだから、長期の収容が苦痛であるというのであれば早々に死刑を執行してしまえばいい」といった趣旨の発言が出てくるのが容易に想像できる。 だが、問題はそう単純な構図にはなっていない。 2024年9月の冤罪(えん罪)袴田事件の無罪判決は記憶に新しく、世界で最も長く収監された死刑囚としてギネス世界記録に認定されるほど日本の刑事司法は世界的にも問題を抱えている。袴田巖氏は、長期にわたる拘禁と精神的に追い詰められた生活が続いたことなどから、自由を手に入れられた今なお日常生活でも苦しんでおられる。 また、死刑判決がなされた事件以外であっても依然として冤罪事件が発覚することが後を絶たない。さらに、日本では人質司法の問題など刑事司法そのものの課題も山積している現状で、しっかりとした法整備や制度を持たないまま究極の刑罰である死刑を維持することは法治国家としても問題であろう。 筆者は『死刑について私たちが知っておくべきこと』(筑摩書房)を2025年に上梓した。同著では、死刑賛成派であっても死刑反対派であっても思い込みでぶつかり合って終わりなのでなく、歩み寄って議論すべき共通の課題をいくつか紹介している。 死刑反対派はもちろんのこと、仮に死刑賛成派であっても「刑事司法制度に不備がありながら死刑をし続ければいい」という極論で済ませる問題ではなく、法治国家として死刑やその大元の刑事司法手続に問題があるのであれば放置せずに向き合って議論をする必要があると考える。
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