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「納得できない」 破産した宇宙ベンチャー創設者が明かす転換点

スペースウォーカーが開発を目指していたスペースプレーン「長友」のイメージ=米本浩一さん提供
スペースウォーカーが開発を目指していたスペースプレーン「長友」のイメージ=米本浩一さん提供

 東京理科大発の宇宙ベンチャー「スペースウォーカー」(東京都港区)が2月、東京地裁から破産開始決定を受けた。飛行機のような再使用型ロケットを開発し、宇宙旅行や衛星の打ち上げを目指していた気鋭の企業だった。政府が成長産業に位置づけ、前途は明るいように見える宇宙業界だが、なぜ資金繰りに行き詰まったのか。創設者で元最高技術責任者(CTO)の米本浩一・元東京理科大教授がターニングポイントを明かした。【聞き手・信田真由美】

弾道飛行する宇宙飛行機を開発

 ――かつては川崎重工業でロケット開発に従事されていました。起業したきっかけは何だったのでしょうか。

 ◆1980年に川崎重工業に入社後、航空機の開発に従事していましたが、文部省宇宙科学研究所(現宇宙航空研究開発機構=JAXA)の故・長友信人先生の研究室に出向して有翼式の再使用型ロケットの研究を手伝うことになり、何をやっても先駆者になれるロケット開発に魅了されました。

 川崎重工業を退職して2005年に九州工業大に教授として着任し、JAXAなどとの共同研究資金が入るようになりました。「大学の先駆的な研究を生かせば実用機ができる」と考え、事業化のために会社を作ることにしました。17年にスペースウォーカーを設立し、19年に東京理科大に移りました。

 ――当初は順調で、宇宙ベンチャーの旗手としても注目を集めていました。

 ◆立ち上げ初期は、10人くらいの投資家から2億~3億円を集めました。三菱重工業やIHIエアロスペースを退職した技術者を迎え、8人という小さな体制でスタートしました。

 目指したのは有翼で再使用できるサブオービタル・スペースプレーン(弾道飛行する宇宙飛行機)の開発です。国際的な価格競争の中で勝つために、使い捨てではなく、繰り返し使うことでコストを下げようとしました。

 まずは科学実験ができる無人機「風神」と、使い捨てロケットを背負って空中で小型衛星を打ち上げる「雷神」の同時開発をスタートさせました。次にパイロット2人とお客さん6人を乗せて10分程度の宇宙旅行体験ができる「長友」も開発する予定でした。

 転機は23年に文部科学省のスタートアップ支援事業に採択されたことです。1年で20億円の補助金がつき、一気に技術者が増え、事務方が10人、技術者は60人規模になりました。新卒を数人採用し、インターン生も来て、若い人も増えていきました。みんな「日本で一番になる」と思って…

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