全国で倒産した医療機関数が最多に…人口減や経費高騰が影響、長崎県内は2件 2025年度

長崎新聞 2026/04/15 [11:30] 公開

2025年度に全国で倒産した医療機関の数が前年度の59件を上回る71件となり、統計が残る1989年度以降で最多を更新したことが14日、東京商工リサーチのまとめで分かった。長崎市で千綿病院を運営していた医療法人誠仁会と、西海市の歯科医院も含まれる。人口減少や経費高騰などの影響で医療機関の経営悪化が深刻さを増している。

 71件のうち診療所が32件(前年度28件)、歯科医院が31件(同20件)でいずれも過去最多。病院は8件で、前年度の11件を下回った。倒産理由は収入減少が47件で、長期の経営悪化のしわ寄せが16件だった。

 形態別では破産が69件とほぼ全体を占めた。民事再生法など再建型の手法を適用したケースは2件にとどまり、医療機関を再建する難しさも浮き彫りとなった。

 負債額10億円以上の倒産は「医療法人財団みさき会」(千葉県)の約18億6千万円など3件。誠仁会は約7億4千万円で5番目の規模だった。

 東京商工リサーチによると、人口減少による患者の減少や設備老朽化、経営者の高齢化といった課題が山積する中、人件費や光熱費、資材費などが高騰。公定価格である診療報酬とのバランスが崩れ、採算が悪化するケースが目立つ。厚生労働省の分析では24年度の医療機関の経営状況で病院の7割超が赤字となり、県内でも県病院企業団の24年度病院事業会計決算が過去最悪の赤字となるなど、経営不振は顕在化している。

 東京商工リサーチは「医療機関の倒産は受診機会の喪失につながり、地方ほど影響が大きい。6月の診療報酬改定が経営改善につながるかは不透明で、抜本的支援策が必要となる。また合併・買収(M&A)など存続に向けた取り組みが加速する可能性もある」としている。