スーパーエルニーニョとは
「スーパーエルニーニョ」は科学的な用語ではない。太平洋の表面海水温が平均より少なくとも2℃上回る非常に強力なエルニーニョ現象に予報担当者たちが用いる呼称だ。これは非常にまれな現象であり、前回発生したのはおよそ10年前だ。
スーパーエルニーニョは壊滅的な影響をもたらすおそれがある。NOAAによると、2015年から2016年にかけて起こった直近のスーパーエルニーニョは、北太平洋中部における記録的なハリケーンシーズンやプエルトリコでの水不足、エチオピアでの干ばつ、当時観測史上最高を記録した世界平均地表気温などと関連しているという。(参考記事:「観測史上初、太平洋にカテ4のハリケーンが3つ」)
どんな影響があるのか?
勢力の強さにもよるが、エルニーニョの影響は嵐のパターンや干ばつ、野生生物など広範にわたる。さらには地球が回転する速さにまで変化をもたらすかもしれない。
熱帯太平洋の中部および東部で海水温が上昇すると、一帯で発生する嵐の強度が増し、その嵐が世界各地の気象にも影響を及ぼす可能性がある。
エルニーニョはジェット気流を南へ押しやると、ベッカー氏は言う。過去の例では、米国南東部とテキサスなどでは雨が増えた一方、アフリカ南部などでは気温上がって干ばつが起こり、農作物が打撃を受けて飢餓の一因となった。インドネシアとオーストラリアは降水量の減少と気温の上昇に見舞われ、山火事が増加した(編注:日本の気象庁によると、西日本が冷夏、東日本が暖冬となった)。
太平洋の水温が上昇すると、最終的には気温も上昇する。これまでも、エルニーニョが起きた年は、観測史上でも特に気温が高い傾向にあった。
エルニーニョの影響は、野生生物の数にも波及することがある。ガラパゴス島に生息するペンギンの数は、80年代と90年代に発生した2度の強力なエルニーニョ現象の後、大幅に減少したと、学術誌「Biological Conservation」に掲載されている2006年の研究にはある。エルニーニョによって上昇した海水温のせいで、水中の主要栄養素や魚の数が減少し、その結果、ペンギンが飢餓状態に陥ったと考えられる。
大西洋のハリケーンは減る傾向
米コロラド州立大学の科学者が4月9日付けで発表した2026年最初の大西洋ハリケーン予測によると、2026年のシーズンに発生する数は平年並みか、それを下回るという。
「平年よりもやや下回る理由は主に、2026年の夏から秋にかけて非常に強いエルニーニョ現象が起こる可能性があるためです」と、同大学でハリケーンを研究するフィル・クロッツバック氏は述べている。(参考記事:「エルニーニョがハリケーンを抑制?」)
大西洋では、エルニーニョによってウィンドシアが強まる。ウィンドシアとは、水平または垂直方向に生じる風速や風向きの差で、垂直方向の差には嵐を崩壊させる働きがある。さらには、大西洋の一部海域の水温が2025年ほど高くないこともあり、2026年のハリケーンシーズンの威力はやや弱まる可能性があると、クロッツバック氏は説明する。
壊滅的な影響をもたらす可能性があるとはいえ、こうした長期間にわたる気象パターンを追跡できることにより、われわれは備えをより万全に整えることができると、科学者らは言う。
「エルニーニョやラニーニャをよいもの、悪いものと決めつけることには、いつもためらいを感じます」とベッカー氏は言う。「こうした現象はただ存在するものであり、これまでもずっとそうだったのです」
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