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2026.04.13 12:30

世界の目がイランに向く間に、中国は南シナ海の島を奪取した

クレスセント(クレセント)群島、2016年1月。南シナ海に位置する係争中のパラセル諸島(西沙諸島)の一部にあたる、クレスセント群島の衛星画像。2016年1月22日時点で、アンテロープ礁、パトル島、ドラモンド島、ダンカン島、パーム島、ロバート島、オブザベーション・バンク(岩礁)、マネー島が確認できる (Photo by USGS/NASA Landsat /Orbital Horizon/Gallo Images/Getty Images)

クレスセント(クレセント)群島、2016年1月。南シナ海に位置する係争中のパラセル諸島(西沙諸島)の一部にあたる、クレスセント群島の衛星画像。2016年1月22日時点で、アンテロープ礁、パトル島、ドラモンド島、ダンカン島、パーム島、ロバート島、オブザベーション・バンク(岩礁)、マネー島が確認できる (Photo by USGS/NASA Landsat /Orbital Horizon/Gallo Images/Getty Images)

世界がペルシャ湾の島々に注目する中、中国は1発も撃たずに南シナ海の島を奪取した。北京の船団は、ベトナム沿岸から400km沖合で、驚くべき速度で人工島の造成を進めている。さらに衝撃的なのは、世界がこの露骨な権力の奪取をおおむね黙認してきたことだ。

ベトナムが最初の強い正式抗議を行ったのは2026年3月で、海底や土砂の掘削・堆積作業を行う浚渫(しゅんせつ)の開始から5カ月以上も後のことだった。中国は、フィリピンで長年行ってきたのと同様に、ローフェア(法を武器化する戦い)を遂行し、実力行使(キネティック)による戦争のリハーサルを公然と重ねている。国際社会は、南シナ海で新たな危機が起きるのを避け、台湾をめぐる紛争で中国が軍事的優位を得るのを阻むためにも、アンテロープ礁における中国の行動に対抗すべきである。

中国の人工島造成計画が再始動──そして世界は黙殺する

アンテロープ礁は、西沙諸島(パラセル諸島)西部のクレスセント諸島(クレスセント・グループ)に属する海洋地形である。西沙諸島は1974年、中国が南ベトナムから奪取して以来、中国の支配下にある。アンテロープ礁については、中国・台湾・ベトナムが領有を主張している。国際法上アンテロープ礁が「岩」なのか「礁」なのかについては見解が分かれる。いずれにせよ、法的に12カイリの領海と200カイリの排他的経済水域(EEZ)を生み出す「島」ではない。中国は「海洋の憲法」とも呼ばれる国連海洋法条約(UNCLOS)を独自に解釈し、アンテロープ礁を自国のものだと主張している。UNCLOSでは、地形の法的地位は埋め立て前の状態で固定される。つまり、中国はアンテロープ礁の上に人工島を造ったとしても、それが今「島」になったことを根拠に、周辺EEZの経済資源すべてに対する主権的権利を中国が有するとは主張できない。

中国がアンテロープ礁で作業を始めたのは3年前だが、世界はそれを見過ごした。2023年2月、海南省政府はアンテロープ礁の環境収容力評価に関する入札を実施した。衛星画像は、浚渫(しゅんせつ)が2025年10月に始まったことを示している。2026年1月にニューズウィークが、ロールオン/ロールオフ(RoRo)船向けの桟橋を含む礁での建設を最初に報じた。2026年2月までに、カッター・サクション式浚渫船22隻が礁で作業していた。この活動はすでに数平方kmの新たな陸地を生み出し、15平方km超の範囲で顕著な埋め立てが確認できる。衛星画像は、北西側に直線状のエッジも示しており、約2700m(9000フィート)の滑走路を容易に設けられる形状だ。ヘリポート、コンクリートプラント、連絡道路(コーズウェイ)を含む灰色屋根の建築物が50棟以上確認できる。

浚渫船団は、礁の造成にあたり国際法に違反した。船団はマカオと香港の間にある珠江河口に集結し、その後、南下する前に自動識別装置(AIS)のトランスポンダー信号を組織的に停止した。国際法は、海上の安全確保のため、これらトランスポンダーの作動を求めている。建設開始から最初の3カ月間にAISを送信した浚渫船は1隻だけだった。米国が制裁対象とする中国交通建設(CCCC。China Communications Construction Company)の子会社が建設を行っているようだ。

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2026.04.13 08:00

イラン紛争の勝者と敗者 中国と無人機企業に大きな利益、中東とNATOは前途多難

米国とイスラエルによる空爆で被害を受けたイランのシャリフ工科大学。2026年4月7日撮影(Sobhan Farajvan/Pacific Press/LightRocket via Getty Images)

米国とイスラエルによる空爆で被害を受けたイランのシャリフ工科大学。2026年4月7日撮影(Sobhan Farajvan/Pacific Press/LightRocket via Getty Images)

米国とイランの2週間の停戦合意に伴い、主な当事者以外にも、既に勝者と敗者が現れ始めている。本稿で言及する国や動向の多くは、紛争の直接の当事者である米国、イラン、イスラエルほど世間の注目を集めてはいないものの、今後数年間で地政学情勢に大きな影響を与えることになるだろう。

イラン紛争の2つの勝者

中国

この紛争に伴うロシアの利益には大きな注目が集まっているが、中国もまた、目立たない形で恩恵を受けている。

中国は長年にわたり、地政学的な安定を確保し、経済への悪影響を回避することを外交上の優先事項としてきた。同国は中東産の石油に大きく依存しており、年間石油輸入量の約13%をイランが占めている。これを踏まえ、同国は近年、現在直面しているような市場の混乱に備えるべく、入念な準備を進めてきた。

中国は今年初め、供給途絶への備えとして原油輸入を急増させ、近年では13億~14億バレルの戦略石油備蓄を確保すると同時に、世界最大規模のクリーンエネルギー経済の発展に積極的に取り組んできた。これには、電気自動車(EV)産業の構築や国内の発電に占める再生可能エネルギーの割合の拡大などが含まれる。その結果、中国は他の主要国より石油危機を乗り切り、経済成長を維持しやすいとみられている。

中国政府は戦闘の終結に向けた外交交渉にも介入し、ロシア、オマーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)など複数の国々と協議を行うとともに、パキスタンと緊密に連携し、石油供給を再開するための計画を練っている。中国の取り組みを批判する人々は、イラン紛争を巡る同国の外交は実質よりも見せかけに過ぎないと指摘している。だが、中国が歴史的にさほど重要な役割を果たしてこなかった地域で紛争解決に向けた協議に参加することで、外交上の存在感を増し、責任ある国際社会の一員としての評判を高めてきたという点は否定し難い。

中国はまた、米軍がイランへの軍事作戦に多大な戦力を投入していること、とりわけ数千人の戦闘部隊や数十隻の水上艦艇の展開、通常兵器や先端兵器の大量消費、高性能戦闘機や指揮統制機の損失といった状況からも明らかに利益を得ている。中国の外交官が公の場で何を言おうと、米国がまたしても多大な費用のかかる中東紛争に足を取られているのを見て、中国政府はほくそ笑んでいることだろう。

次ページ > イラン紛争で無人機メーカーにも莫大な利益が

翻訳・編集=安藤清香

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2026.03.09 09:00

中国のサイバーセキュリティ法がさらに厳格化──米国は反撃の構え

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中国で起きたことは中国にとどまる──少なくとも、データに関しては中国の法律がそう定めている。

中国は年初、サイバーセキュリティ法の改正を発表した。これは、中国で事業を行う、あるいは中国と取引する外国企業に大きなリスクをもたらすものだ。この改正は、国境をまたぐデータ移転を制限する外国法に反対するトランプ政権の方針に、暗に異議を唱えるものでもある。

筆者が先日、米国議会で証言したとおり、中国の「法的『万里の長城』」(Legal Great Wall)は、中国国内で事業を行う、あるいは中国に拠点を置く企業と取引のある外国人や外国企業にとってリスクとなっている。中国の攻撃的なデータ主権法に対抗することは、権威主義的な越権行為から米国の市民と企業を守る上で重要な一歩だ。

中国のサイバーセキュリティ法とデータ主権法制は、外国企業のリスクを高めている

トランプ政権は、国境をまたぐ自由なデータ流通を確保し、それを制限する外国の法制度に反対することを重要課題に位置づけてきた。トランプ政権は、国境をまたぐデータ流通がAIの発展、中国との技術競争で優位に立つこと、そして海外での米国企業の利益拡大にとって重要だとしている。

大規模AIモデルの開発には、学習と推論のために膨大かつ多様なデータセットが必要であるため、米国のテック企業はデータ主権に対して懸念を表明してきた。

データローカライゼーション(データの国内保管義務)は通常、ある国の市民や企業から収集されたデータ、あるいはその国内で収集されたデータを、その国内でのみ保存・処理することを求めるものである。こうした法律は、米国のAI企業が成長のために依存するグローバルなデータプールを分断し、多額のインフラ投資と煩雑な法令順守を強いることになる。

「海外からの恐喝および不公正な罰金・制裁から米国企業を守る」と題された大統領令は、国境を越えたデータ流通を制限する外国の法制度について、米国の主権を侵害し、米国企業のグローバル競争力を損ない、運営コストを増大させると同時に機密情報を危険にさらすものだと名指しで非難した。トランプ政権は、こうした外国法に反対することで米国企業の利益を積極的に守る構えを見せている。

次ページ > 技術規制を通じた中国の「法律戦」

翻訳=酒匂寛

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