インタビュー

米国のホルムズ逆封鎖は「極めてリスク高い」 鈴木一人・東大教授

笹山大志

 トランプ米政権が12日、イランが影響下においてきたホルムズ海峡を逆に封鎖すると宣言した。米国の狙いはどこにあるのか、ホルムズ海峡の航行はどうなるのか。東大公共政策大学院教授(国際政治学)の鈴木一人氏に聞いた。

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 米国にとっても世界にとってもリスクが極めて高い状況になった。

 米国にとって、「逆封鎖」の目的はホルムズ海峡を米国の管理下に置き、航行を可能にすることだ。イランの管理下にあると、いつでも封鎖を可能にさせてしまうからだ。

 だが、米国が管理下に置くことは容易ではない。イランは自分たちの許可なしに航行しているとみなした船を、攻撃する可能性があるためだ。

 米国が「管理下に置いた」と宣言したとしても、船主からすればホルムズ海峡の航行で、攻撃を受けるリスクは残る。このため、運航に必要な海上保険に入れない、という点も問題になる。

 米国は、イランに通航料を払う船を攻撃する可能性を示唆している。この点も、運航側にはリスクになる。

 つまり、米国とイランの双方が「ホルムズ海峡の管理」を主張する状態では、安全な航行は極めて困難になる。その結果、停戦中であっても原油の供給が制限され、価格は上昇する。世界経済への影響は不可避だ。

 さらに戦闘がエスカレートする可能性もある。

 米中央軍はホルムズ海峡にミサイル駆逐艦2隻を派遣した。停戦協議がまとまらなければ、イランが駆逐艦を攻撃する可能性があり、洋上で米国とイランの海軍同士の戦いが勃発しかねない。

 今後、米国が日本などの同盟国に、ホルムズ海峡の管理への協力を求めてくることはあり得る。日本は特に、機雷掃海を求められるだろう。

 だが、米国の要請に応じて掃海艇を派遣すれば、イランから攻撃される可能性が高い。日本が米国の要請に応じることは困難だ。ただ、断れば、日米関係が一時的には悪化してしまう。日本は難しい選択を迫られることになるだろう。

 今後の焦点は米国が停戦に持ち込めるかどうかだ。パキスタンでの停戦協議を見る限り、双方が歩み寄る可能性は低い。恒久停戦での合意は極めて困難だろう。

 日本は、米国とイランの仲介役に名乗り出るなど、停戦を実現に導くための貢献を考えなければならないだろう。

 すずき・かずと 1970年生まれ。地経学研究所長。2013~15年、国連安全保障理事会イラン制裁専門家パネル委員を務める。著書に「資源と経済の世界地図」「地経学とは何か」など。

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