要配慮個人情報を扱う企業にとって、セキュリティルームを設置して情報漏えいを防ぐのは効果的な手法だ。しかし、強固な物理的対策が施されていたとしても、人の行動に“魔が差す”懸念がなくなるわけではない。こうしたケースで起こり得るのが、パソコン画面のキャプチャやスマートフォンによる撮影、出力した印刷物の複写や持ち出しだ。
厳重の上にも厳重な物理的なセキュリティ環境を構築しているDeSCヘルスケアだが、顧客である健康保険組合からの監査を毎年受けることになっており、「禁止されていてもスマートフォンや撮影機器が持ち込まれることは本当にないのか?」「実際に持ち込まれて不正が起きた際に実行した個人や漏えい経路は特定できるのか?」といった指摘を受けることが過去にあったと佐藤氏は言う。
こうした懸念を払拭する対応として、同社が3年前に導入したのが、サイバーフォートレスが提供する情報漏えい対策ソリューション「スクリーンウォーターマーク」だ。
サイバーフォートレスは、企業のIT環境や情報資産を守るサイバーセキュリティを専門とする企業で、ITプロフェッショナルサービス事業とセキュリティサービス事業を両輪としている。「スクリーンウォーターマーク」は、米国カリフォルニアに拠点を置くxSecuritas社が開発し、サイバーフォートレスが日本国内の販売店としてサービスを提供しているという。同社の阿多貴大氏は、同ソリューションの特徴をこう説明する。
「パソコン画面にユーザー名や端末情報などの透かしを表示させ、画面キャプチャやスマートフォンによる撮影を抑止するというのが基本機能です。加えて、端末側でのキャプチャ制限、操作ログの記録と一括管理、電子透かしの埋め込み、プリント時の透かし印刷といった多様な機能があり、心理的に不正行為を防ぐだけでなく、仮に不正行為があっても端末や日時を追跡できるのが強みとなっています」(阿多氏)
「スクリーンウォーターマーク」は、機能別に4つのプランを用意している。
透かし表示やログ管理といった基本機能を備えた「SW Basic」、透かし印刷機能を追加した「SW Print」、Webカメラ映像にも透かしを表示できる「SW Webcam」、そして全機能を搭載した「SW Plus」の4つだ。
また、動作環境に応じてクラウド版とオンプレミス版を選択できる。契約は10ライセンスから可能で初期費用も不要。Mac OSにも対応しており、幅広いニーズにきめ細かく応えられるサービス構成となっている。
DeSCヘルスケアが「スクリーンウォーターマーク」を導入した決め手は、情報漏えい防止のラストワンマイルになると判断したからだと佐藤氏は言う。
「従来より物理的な隔離やネットワーク制限、監視カメラ、私物持ち込み禁止といった厳格な対策を運用してきましたが、健康保険組合様が求める水準を満たすには、人為的な流出のわずかな可能性もつぶしておく必要があり、ここに合致したのが『スクリーンウォーターマーク』でした」(佐藤氏)
導入前には他社サービスとの比較も実施したが、テレワークに特化した製品が多くDeSCヘルスケアの使用スタイルにはマッチしなかったと佐藤氏は振り返る。
「テレワーク向けの製品には、AI等で第三者の映り込みや撮影機器を検知し、即座に画面をロックする機能を持つものが多くありますが、当社のように複数の人がセキュリティルームで業務を行う場合はむしろそれが業務の妨げになります」(佐藤氏)
一方、「スクリーンウォーターマーク」はあくまで透かしによるリスクコントロールなので、端末ロックのような形で業務がストップすることがない。これからセキュリティを強化したい企業はもちろん、すでに十分なセキュリティ対策を整備している企業にもマッチするのが「スクリーンウォーターマーク」の優位性だと言えよう。
「スクリーンウォーターマーク」は、正式導入前に30日間の無料トライアル期間が設けられていて機能を試すことができる。
「セキュリティルームでの業務は細かい数値やデータを見るため、透かしが強すぎると視認しづらくなるのではないかという懸念がありましたが、透かしの濃淡が細かく調整できるので問題ないことが確認できました。また、不明点にもすぐに対応いただき、納得して導入することができました」(佐藤氏)
サイバーフォートレスの阿多氏によると、「専門のサポートチームを組織して、クラウドでもオンプレミスでも導入から保守まで迅速に支援させていただいています」とのことだ。
DeSCヘルスケアが「スクリーンウォーターマーク」を導入して3年、セキュリティが強固になったことに加え、佐藤氏は以下の2点を導入効果として挙げる。
「1つは、導入後の健康保険組合様の監査で高い評価を得ることができたこと。これはお客様の信頼をいただく上で重要なポイントです。そしてもう1つは、社員を守るための対策になっているという気づきです。セキュリティ対策はどうしても監視のイメージがありますが、内部不正と無縁の社員にとっては身の潔白を証明するものになるため、安心して業務に集中できる環境を提供できるようになったと感じています」(佐藤氏)
「kencom」の提供先は健康保険組合と自治体だが、地域でのヘルスケアの重要性がますます高まる中、今後は特に自治体への展開強化を一層推進していくという。「そういった意味でも、物理的対策との多層防御で内部不正対策が強化できたのは大きな意義があります」と佐藤氏。
サイバーフォートレスの阿多氏もこの言葉を受け、「機密情報であることを明確にすることで抑止効果が生まれ、万一の際にも流出元を特定できる安心感があります。これこそが『スクリーンウォーターマーク』の意義です。今後もユーザー企業様が日常業務の中で情報漏えい対策を実施できる環境づくりを支援していきたいと思います」と応じる。
セキュリティ対策の重要性が高まる中、システム的な対策や物理的な対策に加え、人為的なリスクへの対策で万全を期すために、「スクリーンウォーターマーク」は最適なラストワンマイルになり得るツールだ。
※1 東京商工リサーチ「上場企業の『個人情報漏えい・紛失』事故 2番目の180件発生、漏えい人数は約2倍増の3,063万人分」(2026年1月30日)
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202348_1527.html