トランスフォマーシャル - Victorの小説 - pixiv
トランスフォマーシャル - Victorの小説 - pixiv
4,001文字
トランスフォマーシャル
あ〇ちゃんが出ていたCMが「左右に揺れて画面酔いする」とのコメントで溢れていたのを思い出して書きました。
20401,853
2025年10月31日 03:55

「始まった、始まった」
深夜2時、田代悠馬(たしろ ゆうま)はテレビの前にいた。好きなアイドルの冠番組を観るためにテレビの前に待機していた。リアルタイムで見る場合、最初はCMが2分ほど入る。そんな時、あるCMを目にした。
ぐらりぐらりと左右に揺れる画面、真ん中には女優が立ってピースサインをしている。その向こうにはマンホールがある。
「バランスなんて、取らなくていい」
思わず悠馬は目を見張る。女優の名は北村さやか。かつて、悠馬の「推し」だった。在籍時には「不思議ちゃん」キャラで知られ、グループを卒業した現在は女優として活躍している。さやかは真ん中に黒い線が入った衣服を着ている。
「ナンバー“ワン!”より、オンリー“ワン!”。」
最後のワンで犬の鳴き声が流れる。そして就職エージェント会社の社名とロゴが流れた。
「なんだ...このCM...」
悠馬は思わず目眩がしそうだった。左右に振り子のように揺れる画面が三半規管を刺激する。ネットの反応を調べると、「酔いそう」、「女優まで嫌いになりそう」とまで書かれていた。しかし、どこか中毒性があった。
そしてお目当てのアイドル番組が始まった。
番組が終わった後、悠馬はテレビを消そうとする。しかし、また例のCMが流れる。2回目だったからか、以前より酔いはしなかった。むしろそれどころか、もう一度見たいとまで思えてきた。

「…まぁ、もう一回だけ。”推し”が出ているんだし」

悠馬はなぜか、ユーチューブでCMを探し再生した。やがて、悠馬は寝落ちした。

翌朝、目が覚めると妙な感覚が残っていた。身体が、どこか…軽い。そして、背中が痛む。

鏡を見ると、自分の姿はそのままだったが、首を傾ける角度が左右対称ではない。
というか、無意識に左右に揺れようとしていた。

「え……寝不足か?」
一瞬、悠馬は不思議に思うが、空腹にかき消された。
朝食を食べた後、大学に急ぐ。妙なことが続いた。
「あれ...?」
エレベーターがない建物に行った際。階段を一段飛ばしで駆け上がりたくなる。まるで犬のように。
そして、講義中に無意識に足を揺らしてしまう。
「(おいしそう....)」
昼食の際、学生食堂で出るカオマンガイの鶏肉の匂いに異様に興奮した。涎が口内にあふれそうだった。

夜。帰宅してスマホを開く。Twitterのタイムラインを見ると、「北村さやか、宗教疑惑」というツイートが目に入る。
リンクを開くと、さやかの母親が通称「帰獣財団」という新興宗教の幹部らしく、さやかも入信させられているという内容の記事だった。広告にはいかがわしいビデオばかり並んでいる。
「...ってなんだよ、このデマ記事」
悠馬はすぐブラウザバックする。
YouTubeを見ながらコンビニ弁当を食べるとあのCMが流れてきた

「バランスなんか取らなくていい」
「ナンバー”ワン”よりオンリー”ワン”」

不思議と心地よく、なぜか笑顔になってしまう。
画面の中のモデルと一緒に、自分も左右に揺れていた。

トランスフォマーシャル
あ〇ちゃんが出ていたCMが「左右に揺れて画面酔いする」とのコメントで溢れていたのを思い出して書きました。
20401,853
2025年10月31日 03:55
コメント
作者に感想を伝えてみよう

ディスカバリー

関連百科事典記事