【特集】「好きなことを貪欲に」大阪万博 ・未来のオムツファッションショーで曲を担当 脳性まひのサウンドクリエイター・井谷優太さん 鳥取県倉吉市
現在開催されている大阪・関西万博。
鳥取県倉吉市に住むサウンドクリエイターが、会場で自身の曲を披露。音楽制作の裏側に密着しました。
星空をイメージしたというこの曲。作ったのは、倉吉市に住むサウンドクリエイター、井谷優太さん。生まれつき、自由に手足を動かすことができません。
井谷優太さん
「好きなことを貪欲にやる」
優太さんは1歳の定期検診で医師から"脳性まひ"があると告げられました。脳性まひとは、受胎から生後4週間までに脳が傷ついたことで、運動機能などに障害が出ること。優太さんの場合は出産の際に産道に長くいたたため酸欠状態となり、脳の一部が損傷。言葉や体を自由に操ることが困難になりました。
その後、両親が離婚。優太さんは、父・憲人さんに男手ひとつで育てられました。18歳まで特別支援学校で過ごした優太さん。卒業後は、福祉作業所でパソコン入力などの事務作業をしていました。
しかし…。
父 憲人さん
「『毎日、作業所に同じように行ったり来たりばっかりじゃつまらん』と。『何か他のことをやりたい』そういうふうに言われて」
井谷優太さん
「自分が社会から認めてもらえているかどうかをはかるのは一人でいても無理なことだから社会に交わることを望んだ」
社会と交わり、社会から認められたい。独学で曲作りにのめりこんでいきました。優太さんの曲作りを支えているのは、DTM。パソコンによる音楽制作です。
曲作りを初めて15年。今では、様々な音楽制作の依頼が舞い込むようになりました。
去年10月。自宅で行っていたのは、オンラインミーティング。
平林景さん
「ロックとかモードとかの感じなんですけど、やっぱりこう、近未来みたいなイメージもその中に入れていきたいんで」
優太さんに楽曲制作を依頼した日本福祉医療ファッション協会代表理事の平林景さん。これまでに、フランス・パリと東京で車いす利用者のためのファッションショーを開催。ショーで流す音楽制作を優太さんに依頼していました。次回のテーマは、未来のオムツ。大阪・関西万博でファッションショーを行うこととなり、再び優太さんに音楽制作を依頼したのです。
日本福祉医療ファッション協会 平林景 代表理事
「完全に音が出来上がってないんですよ、自分の中で。なんですけど、優太さんに投げたらなんとなく言ってることが形になって返ってくるんですよね。これがすごい面白いなと思っていて毎回。いつも期待以上の音楽が返ってくるので、本当にすごくありがたいです」
ロックで近未来なイメージの音楽。抽象的なテーマから、どのように曲を作っていくのでしょうか。
優太さんのパソコンには弦楽器や打楽器など様々な音色が入っていて、その数、1万種類以上。それらを組み合わせてメロディーやリズムなどを打ち込み、曲を作ります。ランダムな音を散りばめ、宇宙空間を表現。さらに…ひずんだギターの音色を重ね、ロックと宇宙の融合を目指したと言います。
井谷優太さん
「盛り上がりつつ音が密集してないようにして初めから入れている宇宙っぽい音がかき消されないようにしてる」
約1か月で、5曲を完成させました。そして迎えた本番当日。
井谷優太さん
「非常に楽しみです。僕の音楽で新しい世代のかっこいいオムツを見て、また新しい価値観が生まれたらいいなって思う」
会場には、約2000人の観客。鳴り響く、優太さんの音楽。ショーは大成功!
観客
「没入感というか、見入ってしまったですし、音楽も相まってショー全体が感動しました」
井谷優太さん
「きっと(観客の)心に残ったんじゃないかなって思う。これも大きな通過点だから今後もさらに活動は広がればいいなって考えてます」
好きなことを、貪欲に。サウンドクリエイターの挑戦は続きます。