自民党の党大会に自衛官のソプラノ歌手を招いた件が問題になっています。
結論から申し上げると、これは問題だと私も考えます。
なぜか?
自衛隊法に抵触するか、しないか、という問題点でおそらく国会で野党が追及し、「辺野古スルー」の左派系メディアがここぞとばかりに自衛隊の政治利用だ!けしからん!という論点で騒ぎ立てることで右側も反発して盛り上がり、逆に問題点が見えづらくなるとこを懸念しています。まさに「イデオロギーが思考を濁らせる」、です。
そもそも自衛官は自衛隊法61条(政治的行為の制限)によって政治的な行為が厳しく制限されています。
今回の件は、私人として関係者から依頼を受けたという立て付けで小泉防衛大臣は「国家の斉唱は政治的な行為ではなく、自衛隊法違反に当たらない」と述べています。
野党側や左派系メディアは制服姿で歌っていて「政治利用だ」と反発しますから、この議論はどこまでも平行線になるでしょう。
結論から言うと、法的にはグレーかややセーフとなるでしょう。
なぜなら、確かに自衛隊法61条は「政治的行為」を禁止しています。ということは法的には何が政治的行為に当たるか?が問題の本質になります。
そこで法律を見てみると、
自衛隊法には、「勧誘」「署名運動」「寄付」など禁止事項として明記されていますが「政党行事での歌唱」そのものはありません。
一方で、制服姿での歌唱なので私的な行為だったというけど、「外見上の政治的中立性」が損なわれ、政治問題化するリスクは当然予見されるべきものだったとは考えます。
つまり、法的には「直ちに違法とは言い切れない」ことと、政権与党の意思決定として「適切だったのか?」ということは次元の違う話で、この二つを混同して議論すると単なるイデオロギー論争に陥ってしまいます。
その上で問題点は何か?
戦後の日本しかり、そもそも現代の国家は政治と軍を切り離すことで成立しています。軍事が政治を支配した反省と教訓から「軍の政治利用」を禁止するというのは日本だけではなく、現代的民主主義国家の前提です。
中国のように国家ではなく共産党が軍を持つという国とは根本的に違います。(そもそも左派の皆さんは自衛隊は軍隊ではない、と言っているのだからこの論点で批判するなら軍隊と認めているじゃん、とは言いたい)
法的論点というより政治的な適切性の問題だという論点に加えて、自民のマネジメントのお粗末さが今回のもう一つの核心的論点です。
そもそも民間のイベント会社に任せていたから知らなかった、
防衛省はオファーを受けていたけど防衛大臣には上がっていなかった(小泉さんの答弁を信じるという前提ならば)、
こうした対応は政権与党としてお粗末の極みでしょう。イベント会社丸投げて党側で誰も登壇するまでこうした問題になることくらい予見できなかったのか?小泉大臣も写真撮って投稿していたから(のちに削除)まったくこうした指摘を受けることを予できなかったのでしょう。
歴史的な選挙の勝利で国会議員が400人以上の巨大政党です。
当日の党大会は異様な盛り上がりだったと聞いています。その中でこうした政治的な中立性が指摘されるようなイベントをスルーさせている危機管理能力の低さに政権与党任せている国民側から見て不安を覚えます。
そして何より言いたいのは、歌った自衛隊員さんは何も悪くない、ということです。私的なオファーだとしても事前に防衛省が了承しています。組織に黙って勝手に参加したわけではありません。組織がポンコツだっただけです。
2014年に配属され、全国各地でその素晴らしい歌声と笑顔で、多くの被災地などで勇気と感動を与えてくれた隊員さんです。私も何度か生で聞いています。本当に素晴らしい歌声です。この隊員さんがどんな思いされているかと思うと本当に本意ではないと思いますし、今回の件で活動自粛などにならないように切に、切に、切に願います。
以上述べてきた通り、法的にややグレーゾーンだが明確な違法ではない、ただ政治的な中立性と危機管理としては自民党と防衛省がお粗末過ぎる、というのが私の現時点での考えです。
そして何より、今回の件で彼女から歌う機会を奪うことだけは何があっても、誰であっても絶対に許されないことだと私は思います。
自民「法抵触ない」、党大会で自衛官国歌斉唱 「政治的行為」批判も(毎日新聞)
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