「名古屋=ラーメン空白地」じゃない! こんなにある名古屋のご当地ラーメン&チェーン
名古屋=「ラーメン空白地」の記事に地元民が猛反発!
「『ラーメン空白地』の名古屋。」― タイトルにこんなふうに謳ったネット記事が先ごろ公開され、物議を醸しています。
話題の記事は日経新聞のサイトに4月5日に公開されたもの(本紙では中部版4月7日朝刊に掲載)。「ラーメン二郎」「らーめん小僧」「元祖スタミナ満点らーめん すず鬼」といった東京や大阪の人気ラーメン店が続々進出している現象を取り上げ、理由を「名古屋はラーメン店間の激しい競争がこれまでなく(中略)市場として『空白地』とされていた」からだとしています。
記事が公開されるや、たちまちSNSで紛糾。当の名古屋人が猛反発したのです。
「むしろ名古屋は超激戦区」「味仙の台湾ラーメン、スガキヤ、藤一番、ラーメン福、丸源ラーメンなどと超固定化されたラーメン店がいくつもあるのに」「他地域の有名ラーメン屋が入り込む余地がないだけ」などなど・・・。Yahoo!の「SNSバズまとめ」に取り上げられるほど「空白地」を全否定するコメントが続々と寄せられているのです。
20年前は「ラーメン不毛の地」とも
しかし、実際にかつてはくだんの記事が記しているようなイメージもあり、2000年頃のラーメン本では「名古屋はラーメン不毛の地」とも称されていました。その背景とされたのはうどん文化が強固なこと。きしめん、味噌煮込みうどんといった伝統あるご当地麺が根づいているため、ラーメンがなかなか割って入れない、とされていたのです。
しかし、2002年に博多一風堂が名古屋初進出を果たすとたちまち大行列ができ、これがきっかけのひとつとなって名古屋のラーメンシーンは大いに盛り上がります。ぴあMOOK『究極のラーメン』も2004年から刊行されて食べ歩きのバイブルに。さらにご当地グルメブームも追い風となり、台湾ラーメンやスガキヤのラーメンも名古屋めしのひとつとしてより光が当たるようになりました。また最新の統計でも、外食でのラーメンの支出額で名古屋市は全国11位と上位につけています(総務省家計調査2023~2025年平均)。「名古屋=ラーメン空白地」は20年前のイメージなのです。
日経新聞の記事の「空白地」は、名古屋には東西の有名チェーンが出店していなかったという意味合いで書かれています。その理由は、SNSの投稿に多く見られたように、地元に根づいているご当地ラーメンや地元発のラーメンチェーンが数々あるから、と考えられます。そこであらためて、名古屋および愛知県で愛されているラーメンを紹介していきましょう。
愛知県民の9割が食べている絶対的ソウルフード~スガキヤラーメン
名古屋、愛知で最も親しまれているのが「スガキヤ」のラーメン。これに異を唱える人はまずいないでしょう。1948(昭和23)年に1号店をオープンし、東海地方を中心に約250店舗を展開。優しくまろやかな和風とんこつスープ、一杯430円(2026年4月現在)のリーズナブルさ、主にショッピングモールのフードコートに出店する利用のしやすさで、老若男女に愛されています。かつて地元テレビ番組の調査では愛知県民の約9割が「食べたことがある」と回答。「スガキヤのラーメンを食べたことがある」は名古屋、愛知の人にとって「スマホを持っている」と同じくらい当たり前、生活のデフォルトなのです。
「味仙」発祥の激辛・名古屋めし~台湾ラーメン
台湾料理店「味仙」が昭和40年代に考案したオリジナルラーメン。豚ミンチに唐辛子とニンニクを加えてじっくり炒め煮した通称・台湾ミンチが味の決め手。すすった途端に口から火が出るほど激辛なのですがなぜかクセになり、リピーターをつかんで離しません。「味仙」は兄妹によるのれん分けで名古屋市内を中心に10数店舗があり、他にも人気にあやかって採用する店が多数。あるテレビ番組の調査では、名古屋市内のラーメン店、中華料理店の3割以上が台湾ラーメンをメニューにしていると回答。ご当地ラーメンとしてすっかり浸透しています。
極太メンマに薬膳系スープ~好来系ラーメン
1959(昭和34)年創業の「好来」(こうらい)の流れを汲むのが好来系ラーメン。薬膳系とも称される淡く濁ったスープは、ダシの風味が複雑ながらまろやかかつ後味はさっぱり。もっちりした太麺や極太のメンマも特徴的です。のれん分けの店舗が名古屋市内を中心に10数店舗。店名に「好」の字がつく店が多いものの統一はされていないため、一派とは分かりにくく、隠れご当地ラーメンともいうべき存在です。
ニンニクごろごろスタミナ系~ベトコンラーメン
ほくほくのニンニクがごろごろ入り、ピリ辛ながら鶏ガラダシのスープはすっきり。パンチがありながら素朴で中毒性の高いラーメンです。発祥とされるのは愛知県一宮市にあった新京(現在は閉店)。昭和30年代に満州出身の店主が考案し、名前の由来は「食べるとベストコンディションになる」が公式とされています。名古屋市内はじめ愛知県、岐阜県などにのれん分けが10店舗以上存在し、それ以外の店でもしばしば採用されています。
今や全国区の名古屋発ご当地麺~台湾まぜそば
台湾ラーメンの台湾ミンチをまぜそばに応用したアレンジメニュー。激辛ですがうま味も濃厚で一度食べたらヤミツキに。2009(平成21)年に「麺屋はなび」が売り出すとたちまちブレイクし、フランチャイズやのれん分けが国内外に約120店舗がある他、インスパイア系も全国各地に存在し、名古屋めしの中では最も新しい部類に入りながら、最も全国に普及しています。
まだまだある! 名古屋・愛知のラーメンチェーン
この他にも、名古屋市や愛知県発祥で2ケタ以上の店舗を展開するラーメンチェーンは数々あります。下記がその一覧です。
■「丸源ラーメン」(本社/愛知県豊橋市)・・・熟成醤油を活かしたうま味豊かな肉そばが名物。多彩な外食ブランドを展開する物語コーポレーションが全国に240店舗以上を展開し、愛知県には約30店舗
■「藤一番」(本社/名古屋市)・・・醤油、豚骨、味噌、台湾ラーメンなどメニュー豊富な全方位型ラーメンチェーンはかめの看板が目印。東海3県に約30店舗があり、うち半分を名古屋市内に出店
■ 「ラーメン福」(本社/名古屋市)・・・1978年創業で、名古屋市を中心に11店舗。いい意味で絶妙に普通のラーメンは、昨今のインパクト重視のラーメンシーンの中で貴重。無料でネギ・もやしを大盛にしてくれる太っ腹なサービスも名物で、足繁く通うファンをつかんでいる愛されチェーン
■ 「フジヤマ55」(本社/名古屋市)・・・つけ麺、中華そば、台湾ラーメン、台湾まぜそば、家系ラーメンなど豊富なラインナップを武器に2009年にオープンしたちまち人気店に。グループで約50店舗を展開し、海外にも進出
■ 「岐阜タンメン」(本社/愛知県一宮市)・・・「岐阜と言えば岐阜タンメン」がキャッチフレーズだが本社は愛知県。関東のタンメンとはひと味違う塩だしベースのスープはあっさりしつつもニンニクのパンチが。郊外ロードサイド店で人気をつかみ、約30店舗を展開(名古屋市内は4店舗)
■ 「豚骨麺屋一番軒」(本社/名古屋市)・・・本場・博多仕込みの本格豚骨ラーメンの店。駅前や郊外のロードサイド、商業施設内など多様な立地で、愛知県を中心に20店舗以上を展開する
■「豚旨うま屋ラーメン」(本社/愛知県春日井市)・・・うま味とコクのあるとんこく味のラーメンチェーン。1998年に創業し、愛知・岐阜・三重を中心に30店舗以上がある
このように名古屋、愛知では地元発のラーメンチェーンが群雄割拠。この他にも行列ができる個人経営の人気店は枚挙に暇がありません。「空白地どころか激戦区!」というSNSでの意見は的を得ているといえるでしょう。他地域の人気チェーンも気を引きしめて乗り込んできてもらいもの。もちろん、消費者としてはおいしいラーメンの選択肢が増えるのは喜ばしいこと。切磋琢磨して名古屋のラーメンシーンがいっそう盛り上がることを期待しましょう。
(写真撮影/すべて筆者)
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