イーロン・マスク氏がツイッター*1のAIをつかった自動翻訳を、デフォルトで機能する状態にしたことで、良くも悪くも*2原語の壁をこえた交流が活発化しているという。
それ自体はいいとして、下記のはてな匿名ダイアリーが注目を集めていたことに、いろいろな意味で歴史に学ばないといけないな、と思わざるをえなかった。
Xの自動翻訳で日韓の歴史認識の障壁が取り払われつつある
昔から、日韓中の歴史認識は噛み合わなかった。学者が集って日中韓で共通の歴史を作ろうなんて言われても、大方中国が主導し、韓国も付き従い、本当の歴史は蔑ろにされるのだろうと思っていた。
それがこうして、先ずお互いの国民感情が中国寄りの左派によって操作されてる事に気づき始めた。
そして、両国の国民同士による、政治に寄らない歴史の精査が始まった。
韓国政府の嘘に気付き、ショックを受けながらもそれを受け入れる韓国人の真実の探究に敬意を払いたい。
また逆に、時には日本人がそうである可能性もあるのだろうけど、こんなにも民主的に、互いの国民が純粋に本当の歴史を追っている事に素直に感動してる。
ネトウヨと呼ばれたりもして来たけれど、こんなにも壁が氷解する時代が来るなんて。
もうネットde真実2.0である。
たしかに日韓の歴史学は相互にさまざまな意見の相違はあろうが、たとえば日本が韓国を植民地支配したかどうかなどが争点になっていると聞いたことはない。
両国の国民が交流して「韓国政府の嘘」を発見しようとも、日本の歴史学で認められている範囲の主張をくつがえせるわけではない。
こえたい壁の内側に、まず精査しなければいけない対象があることを認識しなければならない。
そもそも、すでに呉善花氏や崔碩栄氏のように、韓国の歴史的な被害を否認して日本の帝国主義を擁護する韓国出身者は過去から現在まで何人もいる。
崔碩栄氏が映画『軍艦島』を批判しようとして、想像力のなさをさらけだす - 法華狼の日記
2012年にも崔基鎬氏が日本併合の実体験者として注目をあつめ、殺される覚悟で親日派であることを表明したと賞賛された。
しかし当時に書消えエントリで疑問を書いたように、特異な立場の証言にすぎなかったし、証言から離れた主張は日本の一般的な歴史学と整合しないものだった。
「当時を知る韓国人(88歳)が殺されるのを覚悟で真実を語る」という嘘 - 法華狼の日記
ドイツ占領下フランスのビシー政権や、通州事件で知られる冀東防共政府のように、植民地人を傀儡として利用することは珍しいことではない。
当時の証言として一つの価値はあると感じるが、当時の平均的な認識として受け取ることは難しい。そもそも、東京に住みながら年1回ほど朝鮮半島へ行く生活は、戦前はもちろん現代でも特殊な事例であることは明らかだ。
こうした主張は批判に耐えられず、一部右派の内輪で「真実」として流通をつづけながらも、歴史学の表舞台からは消えていった。
くりかえし同じような主張が考案されたり発見されて、歴史の「真実」としてもちだされては、同じように批判されて消えていった。
それがインターネットの勃興期には「ネットde真実」と揶揄されたわけだし、はてな匿名ダイアリーが賞揚する「ネットde真実2.0」*3に何か違いがあるようには思えない。
ちなみに今回のデフォルト翻訳機能では、教育をほどこしたりインフラを整備したことをもって日本は植民地にしなかったという主張に対して、それも一般的に植民地支配と指摘する日本側のツイートも好意的に注目されていた。
世界はそれも植民地支配と呼ぶんだぜ!
たとえばインドを植民地支配した英国も鉄道や大学をつくったし、マハトマ・ガンジーのような優秀な支配層は留学して弁護士になることもできたが、それは英国がインドを植民地支配しなかった証拠にはならない。
こうした歴史学的知見にもとづく交流が観測できなかったのだとすれば、デフォルト翻訳機能で言語の壁はこえられたとしても、それ以上の分断がアルゴリズムによっておこなわれていることを懸念すべきではないだろうか。