だからコンビニATMの紙幣は絶対になくならない…現金がほしいお客ばかりのATMに「入金」している意外な人たち
■金利上昇とキャッシュレスという不安材料 セブン銀行はこれまで順調に成長してきたが、最後にリスクについても分析しておこう。 セブン銀行の今後を占う上で重要な要因が、金利と現金(キャッシュ)の問題である。 まず金利に関しては、創業時から超低金利時代が続いてきたため、セブン銀行は収益を上げられてきたとも言える。しかし高金利時代になると、ATMの中に眠っている紙幣は無利息の状態が続くことになり、貸し出していれば入ってきた利息は入らず、機会損失は大きい。 そのため、金利の上昇は極めて大きな影響を与えると言える。 ちなみにセブン銀行は、ATMに入れる現金を、1台あたり約3000万円から、2026年中に約3割減の約2000万円にする方針である。 また、キャッシュレスの進展も挙げられる。日本では急速にキャッシュレス化が進んでおり、現金を引き出す需要は減る方向にある。そのため、現金を引き出す以外のATMの用途拡大が必要である。 ■ファミマのATMがセブン銀行のATMに こうした環境変化に対して、セブン銀行は量と質の進化を図っている。 量に関しては、伊藤忠商事と資本業務提携し、ファミリーマートに置かれていたATMをセブン銀行のATMに置き換える手を打った。これによって、セブン銀行のATMは、ゆうちょ銀行を上回り、日本一のATMインフラとなる。 さらに、「ATMを現金の出し入れだけでなく、銀行や行政の窓口に代わるチャネルに進化させる」と質的変化も目指す。具体的には、QRコード決済の現金チャージ、ホテルの事前チェックイン、マイナンバーカードの健康保険証利用登録などもセブンのATMでできるようになり、消費者の利便性向上と、他社・行政の事務負担の軽減に資する機能も増やしていく方針である。 ---------- 山田 英夫(やまだ・ひでお) 早稲田大学名誉教授 慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。三菱総合研究所を経て現職。博士(学術:早大)。サントリーHD、ふくおかFG社外監査役。主著に『本業転換』『ビジネス・フレームワークの落とし穴』など。 ----------
早稲田大学ビジネススクール教授 山田 英夫